どうしても勉強がはかどらない日、過去問を開く気持ちになれない時がありますよね。そういう日、「今日はやめた」と1日休むのもいいのですが、私はそういう時こそ、あることに絞って勉強することをおすすめしたいです。
「休む」と決めて何もしない日を作ると、どうしてもペースにムラができてしまいます。疲れている日や、過去問にじっくり取り組む気持ちになれない日は、せめてこれだけしませんか。10分ですみますから。
10分だけ頑張りましょう
今日は「貧困」を科学的に明らかにした4人です。19世紀末の先駆者2人と、20世紀後半に貧困を「再発見」した2人、あわせて覚えると、貧困観の変遷が線でつながります。
まず、大きな流れを確認します。
19世紀末、ブースとラウントリーは、それぞれロンドンとヨーク市で貧困調査を行い、貧困を初めて科学的に測定しました。この調査が明らかにした一番大切なことは、貧困率の数字そのものよりも、貧困の原因が個人の怠惰や浪費ではなく、雇用や賃金といった社会経済的な要因にあるということでした。
それから半世紀以上経ち、戦後イギリスで福祉国家が整備され「もう貧困は解決した」と思われていた1960年代、エイベル=スミスとタウンゼントは、実は貧困が形を変えて存在し続けていることを再び実証しました。これが「貧困の再発見」です。
今日、覚えてほしいのが以下の4人です。
ブース|貧困地図を作った人
ブースは、1886年から1902年にかけてロンドンで貧困調査を実施し、「貧困線」の概念を導入しました。調査の結果、ロンドン市民の約3割が貧困線以下の生活を強いられていることを明らかにしています。
この調査を通じてブースが示した最も重要な結論は、貧困の主な原因が個人の問題ではなく、雇用や環境の問題にあるということでした。また、ブースの調査でさらに押さえておきたいのが、貧困地区の分布を示した「貧困地図」を作成したという点です(←これは37回の調査論で出題されました)。
ラウントリー|第一次貧困と第二次貧困
ラウントリーは、ヨーク市で貧困調査を行い、マーケットバスケット方式という手法を用いました。
マーケットバスケット方式とは、生活に必要な飲食物や衣類、家具などの品目を1つ1つ積み上げて、最低限の生活費を算出する方法です。買い物カゴ(マーケットバスケット)に必要なものを入れていくイメージから、この名前がついています。この方式、実は日本の生活保護の基準額を算定する方式として、1948年から1960年まで実際に採用されていました。その後エンゲル方式、格差縮小方式を経て、現在は水準均衡方式に移り変わっています(こちらは過去に低所得者支援で出題されています)。
ラウントリーはこの方式を使い、貧困を2段階に分類しました。
- 第一次貧困: 総収入が、肉体的能率を維持するのにも足りない状態。主な原因は雇用問題
- 第二次貧困: 肉体的能率はギリギリ維持できるが、それ以外の支出(娯楽など)ができない状態。主な原因は飲酒などの浪費
ここでもブースと同じく、貧困の原因が個人の怠惰ではなく、社会経済的な要因(特に第一次貧困は雇用問題)にあることを実証した点が、本質的な功績です。
エイベル=スミスとタウンゼント|貧困の再発見
戦後イギリスで福祉国家の制度が整い、「貧困はもう昔の問題だ」と思われていた1960年代、エイベル=スミスとタウンゼントは共著『貧困者と極貧者(The Poor and the Poorest)』(1965年)を発表しました。
この調査は、1953〜54年から1960年にかけてイギリスの貧困世帯・極貧世帯がむしろ増加していることを明らかにし、社会に衝撃を与えました。これが「貧困の再発見」と呼ばれる出来事です。
その後タウンゼントは、貧困を測る新しい考え方として「相対的剥奪」を提唱しました。ここで、よく混同されるポイントを整理しておきます。
相対的貧困率: 等価可処分所得(世帯の可処分所得を世帯人員の平方根で割って調整した所得)の中央値の半分(50%)に満たない世帯員の割合を指します。OECDの作成基準に基づき、厚生労働省が国民生活基礎調査から算出・公表している、所得を基準にした統計指標です 相対的剥奪としての貧困: タウンゼントが提唱した考え方で、所得の多寡だけでなく、その社会において**一般的に推奨される(標準的とされる)**生活習慣・食事・社会活動に、実際にどれだけ参加できているかという、生活の実態から貧困を捉えるものです
「相対的貧困率」は所得という数字で明確に定義された統計指標であるのに対し、「相対的剥奪としての貧困」は生活の中身そのものを見る、という違いがあります。
今日のまとめ
疲れている日は、この4名だけ覚えましょう。また明日、頑張りましょう。
この記事は「頻出!合格のために必ず覚えておきたい人名シリーズ」の一つです。
他の回はこちらから→人名シリーズ一覧
お疲れ様でした。

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