【頻出!人名シリーズ③】ティトマスとエスピン=アンデルセン|福祉国家を「タイプ分け」した系譜

頻出!合格のために必ず覚えておきたい人名シリーズ

どうしても勉強がはかどらない日、過去問を開く気持ちになれない時がありますよね。そういう日、「今日はやめた」と1日休むのもいいのですが、私はそういう時こそ、あることに絞って勉強することをおすすめしたいです。

「休む」と決めて何もしない日を作ると、どうしてもペースにムラができてしまいます。疲れている日や、過去問にじっくり取り組む気持ちになれない日は、せめてこれだけしませんか。10分ですみますから。

10分だけ頑張りましょう

今日は「福祉国家研究」の中でも、特に頻出の学説の系譜です。福祉国家研究には、大きく2つの問いがありました。「福祉国家はなぜ発展するのか」という問いと、「福祉国家にはタイプの違いがあるのか」という問いです。

まず、大きな流れを確認します。

「収斂理論」を唱えたのがウィレンスキーです。これは、経済が成長し高齢化が進めば、どの国も似たような規模の福祉国家に「収斂」していく(近づいていく)、という考え方です。イデオロギーや政治体制の違いより、経済水準こそが福祉国家の姿を決める、という主張でした。

しかし実際には、先進国の社会保障のかたちは収斂せず、むしろ多様化していきました。

この「収斂しない、タイプが違う」という発想の先駆けとなったのがティトマスであり、

その系譜を受け継いで理論的に完成させたのがエスピン=アンデルセンです。

今日、覚えてほしいのが以下の3人です。

ウィレンスキー|「収斂理論」の代表的論者

ウィレンスキーは、各国の社会保障支出の差を説明する要因として、経済水準(経済成長の度合い)が最も重要であり、高齢化も大きく影響する一方、イデオロギーや政治体制の違いはさほど重要ではない、と論じました。

つまり「豊かになれば、どの国も似たような福祉国家になっていく」という考え方です。この主張から、ウィレンスキーは収斂理論の代表的論者として位置づけられています。

ティトマス|「タイプ分け」研究の先駆者

この「収斂しない、タイプが違う」という発想の先駆けとなったのがティトマスでです。

ティトマスは、収斂理論とは異なる視点で、福祉国家を国家の役割の大きさによって3つのモデルに分類しました。

  • 残余的(救貧的)モデル: 家族や市場がうまく機能しなかった時にだけ、国家が福祉の責任を引き受ける
  • 産業的業績達成モデル: 経済成長を優先し、成長すれば社会福祉も充実するという考え方
  • 制度的再分配モデル: 社会のあらゆる分配領域に、国家が福祉の責任を広く担う

①が最も市場的で、③が最も公的な介入が大きく、アメリカなどが①、ドイツやフランスが②、北欧などが③に近いとされています。

ティトマスにはもう1つ、重要な主張があります。それは、選別的なサービス(所得などで対象者を絞るサービス)が、スティグマ(恥の烙印)を伴わずに社会権として機能するためには、普遍主義的なサービスという土台があってこそだ、という考え方です。選別主義そのものを否定するのではなく、普遍主義の中に位置づけられた選別主義であれば機能する、という立場です。

エスピン=アンデルセン|「福祉レジーム論」で系譜を完成させる

エスピン=アンデルセンは、ティトマスら先行研究の「タイプ分け」の発想を受け継ぎながら、「脱商品化」という新しい指標を用いて、より精緻な3つの「福祉レジーム」を提示しました。

脱商品化とは、労働者が働かなくても(労働力を「商品」として市場に出さなくても)、どれだけ人間らしい生活を維持できるか、という度合いを表す概念です。

  • 自由主義レジーム: 市場の役割が大きく、脱商品化の程度は低い(アメリカなど)
  • 保守主義レジーム: 職業ごとの社会保険が中心で、家族の役割も重視される(ドイツ・フランスなど)
  • 社会民主主義レジーム: 国家の役割が大きく、脱商品化の程度が高い(北欧など)

なお、この理論は後に、家族内の無償のケア労働(女性が担うことが多い家事・育児・介護)への視点が薄いという批判を受け、「脱家族化」(家族に頼らずケアを社会化できる度合い)という概念で補われています。あわせて覚えておくと理解が深まります。

エスピン=アンデルセンは、ウィレンスキーの「収斂する」という主張を退け、「福祉国家は収斂せず、多様なタイプに分かれる」ということを理論的に示した、この系譜の到達点にあたる人物です。

今日のまとめ

疲れている日は、この3名だけ覚えましょう。また明日、頑張りましょう。

この記事は「頻出!合格のために必ず覚えておきたい人名シリーズ」の一つです。

他の回はこちらから→人名シリーズ一覧

お疲れ様でした。

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