「児童自立生活援助事業(通称自立援助ホーム)」と「小規模住居型児童養育事業(通称ファミリーホーム)」・・・整理できていない受験生が多い気がします。この2つを整理しましょう。
まず、要保護児童はどこに行くのか
虐待や養育困難などの理由で一時保護された児童は、その後、大きく分けて3つのどれかに委託・入所します(自宅での養育が困難と判断された場合は)。
①里親に委託される
②ファミリーホームに委託される
③児童養護施設・乳児院などの児童福祉施設に入所する
上記3つの選択肢がある、というのがまず大前提です。
なぜ「家庭的な環境」が重視されるのか
児童福祉法には、児童をできる限り家庭と同様の環境で養育すべき、という理念が明記されています。里親やファミリーホームでの養育(家庭養育)が優先され、それが難しい場合に児童養護施設等での養育(施設養育)が検討される、という優先順位です。この根拠はこの条文。
児童福祉法第三条の二
国及び地方公共団体は、児童が家庭において心身ともに健やかに養育されるよう、児童の保護者を支援しなければならない。ただし、児童及びその保護者の心身の状況、これらの者の置かれている環境その他の状況を勘案し、児童を家庭において養育することが困難であり又は適当でない場合にあつては児童が家庭における養育環境と同様の養育環境において継続的に養育されるよう、児童を家庭及び当該養育環境において養育することが適当でない場合にあつては児童ができる限り良好な家庭的環境において養育されるよう、必要な措置を講じなければならない。
児童福祉法は、この「家庭的養育優先の原則」を推進しています。だからこそ、今後も里親とファミリーホームは、国試でも重要視される分野だと感じます。
ファミリーホーム|里親と何が違うのか
ファミリーホームの正式名称は小規模住居型児童養育事業です。
つまり、里親と同じく家庭的な環境で子どもを養育する場です。「小規模」で「住居型」ですから、名称からもそのことが読み取れます。でも、里親とは決定的に違う点があります。
それは「事業」だという点です。
ファミリーホームは「事業」です。
ファミリーホームは、養育者が事業として複数の児童を養育します。5〜6人の児童を、複数の養育者(プロの支援者)が組織的に養育する、という体制です。
つまり、里親が「個人の善意・愛情ベースの養育」だとすれば、ファミリーホームは「事業として運営される、専門性を持った養育」ということになります。この違い、意外と見落とされがちなので、しっかり押さえておいてください。
神戸市のHPではこのように紹介されています。
実際の自立援助ホームのHPなどをみていただくと、よりわかりやすくなると思います。
国家試験のためだけでなく、多くの気づきをいただけるサイトです。
自立援助ホーム|18歳を過ぎても、家を出なくてよくなった
もう一つ、大事な制度が「自立援助ホーム(児童自立生活援助事業)」です。
まずは全国援助ホーム連絡協議会HPの説明文をお読みください。
ホームの主たる対象者は、義務教育終了児童等で自立援助ホームでの支援・生活利用を希望する20歳未満の者および20歳以上でやむを得ない事情により自立援助ホームの実施が必要とされた者です。
全国自立援助ホーム連絡協議会HPより
生き生きと生活できる場、安心して生活できる場を提供し、大人との信頼関係を通して社会で生き抜く力を身に着け、若者たちが経済的にも精神的にも自立できるように援助する事を目的としています。
これは、義務教育を終えた後に、家庭で生活できない事情のある児童等が、
共同生活をしながら自立を目指す場です。
就学している入居者と就労している入居者がいます。しかも就学している人も、生活費のためにアルバイトなどを掛け持ちしていることがほとんどで、実質的には就学と就労を両立している人が大半です。
つまり、「働きながら自立を促進する施設」「学びながら生活基盤を整えるための施設」という側面の方があります。近年は、就労の安定にはまず教育が必要だという考え方が広がり、大学や専門学校への進学を積極的に後押しするホームも増えてきています。
そして、ここに大きな法改正がありました。
これまでは、20歳や22歳といった年齢に達すると、いったん「措置解除」という形で支援が一度切れてしまい、そこから自立援助ホームに改めて入り直す、という流れでした。しかも支援を受けられる場所は、自立援助ホームに限られていました。
でも、令和4年の児童福祉法改正(令和6年4月施行)により、この仕組みが大きく変わりました。
①年齢による一律の利用制限が撤廃され、支援が必要な間は途切れることなく支援を継続できるようになった
②支援を受けられる場所も自立援助ホームに限らず、それまで過ごしていた児童養護施設や里親のもとでも継続可能になった
つまり、18歳や20歳になったからといって、住み慣れた施設や里親のもとを離れて、知らない自立援助ホームに移らなければならない・・・ということがなくなったんです。これは、社会に出る準備がまだ整っていない若者にとって、安心できる仕組みです。
今日のまとめ
①要保護児童の行き先は、里親・ファミリーホーム・児童福祉施設の3パターン
②ファミリーホームは里親と違い、「事業」として児童を養育する
③自立援助ホームは、年齢で一律に区切られることなく、必要な間は継続して支援を受けられるようになった(令和6年4月施行) ・・・
以前、この分野を教えていたとき、「ファミリーホームって結局、里親と何が違うんですか?」と聞かれたことがあります。
その時、私は「里親は家族として”うちの子として育てる”感覚に近くて、ファミリーホームは、プロが子どもたちを育てる、事業?会社?みたいなイメージかな」と答えました。
もちろん、どちらも愛情を持って子どもと向き合っている点は同じです。ただ、制度としての位置づけが違う、ということですね。
その他、法改正をまとめた記事はこちら


コメント