回復期リハビリ病棟とは?
脳血管疾患(脳卒中等)や大腿骨頸部骨折等により身体機能の低下をきたした患者には集中的なリハビリを行い、早期に社会復帰を果たしてもらおうというのが回復期リハビリ病棟です。
とにかく「 多くの専門職種がチームを組んで集中的なリハビリテーションを実施し、心身ともに回復した状態で自宅や社会へ戻っていただくこと」を第一に考えている病棟なのです。
この病棟では、病名と、病気・怪我を発症してから入院するまでの期間が決められています。
例1:脳梗塞や脳出血などの脳卒中、大腿骨頚部(太ももの付け根部分の)骨折、脊髄損傷、頭部外傷、肺炎や外科手術の治療時の安静による廃用症候群などでは発症または手術後「2か月以内」
例2:股関節・膝関節の神経や筋、靭帯損傷後は「1か月以内」
これらの患者さんに対し、チームの各担当スタッフが入院後すぐ、寝たきりにならないよう、「日常生活動作」(ADL)に積極的な働きかけて改善を図り、家庭復帰を支援していくのです。
なぜ回復期リハビリ病棟に社会福祉士が必要?
リハビリに特化した回復期リハビリ病棟になぜ社会福祉士が必要なのでしょうか。回復期リハビリ病棟(特に脳卒中)に必要な支援について書かれている論文に次のような記載がありました。
問題 解決 に 社会福祉サ ー ビ ス , 住環 境 調 整 , 病病 ・ 病診連携な どが 必 要 な とき に は , 医療社会福祉士 (MSW )が 介入 して 地域 の ケ ア マ ネ ー ジ ャ ー な ど と連携 して 対応 して い る .
脳卒中回復期リハビリテーションにおける心理的諸問題と心身医学の役割
「回復期」という名称になっていることからもわかる通り、この病棟の目的は社会復帰なのです。社会復帰をするにあたって、必要な社会資源が何かを考え、適切に資源やサービスを連携させることが、社会福祉士の役割ですね。
ただし、診療報酬の加算の関係で社会福祉士が常勤で配置されている病棟と、そうではない病棟がありますのでご注意ください
右の「入院料1」と「入院料2」には社会福祉士の常勤配置が求められますが、それ以外には常勤配置ではありません。
現場で働くMSW(メディカルSW)に聞いてきました
以前、介護サービスの情報の公表の調査員をしていた頃、出会った社会福祉士が、回復期リハ病棟で働くMSWでした。今は、急性期病院の事務局長をしています。
さて、彼が言うには、回復期リハで社会福祉士がしなければならないことは
1 入院費用についての説明、入院費用を軽減するための制度の説明
(主に高額療養費の説明や、組合の付加給付の説明等でしょう)
2 障害が残った場合に受けられる給付等について説明
(障害年金や障害者総合支援法の給付について)
(特に2つは、ご家族の経済的負担に対する不安感を解消するために、時間をかけて丁寧に行っていたとのこと)
次に入院のめどがたってきたら
自宅に帰るのか、それともクッションとして回復期病棟から別の病棟(病院)や老健等に移るのかを医師から指示を受けた上で
自宅に帰るために必要な制度を説明したり、患者さんにあった次の病院や施設を探す等の準備をするそうです。
介護保険の申請や障害者総合支援法の手続きなども数えきれないほどしたと言っていました。
一度、彼の病院に行ったことがあるのですが、地域にある施設や病院のパンフレットがきれいにファイリングされていました。それぞれのファイルに「酸素OK」とか「気管切開OK」「胃ろう対応」等の付箋がついていました。
それぞれの患者さんにあわせて、受け入れ可能かどうかをメモしたものだと思います。
最後に彼が大切にしてた仕事をもう一つご紹介します。患者さんが働いていた場合は、会社との連絡をマメに行っていたそうです。
お休みをどれくらいまでだったらとれそうなのか聞いておいて、患者さんに伝えると安心してもらえることが多いそうですし
たとえ元通りの体に戻れなくても、配置転換などで対応できないかを相談して、退院後の生活の安定をいつも目指して仕事をしていたと話してくれました。
事務局長をしている今でも時々現場に戻りたくなると言っていましたので、魅力的な仕事なのだと思います。
MSW→事務局長という道が開けたのも、彼の仕事の正確さ、誠実さが故でしょう。キャリアの広がりという視点でも、彼の仕事の仕方は参考になりそうです。
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