「福祉サービスの組織と経営」では頻出問題とされているのが「社会福祉法人」に関する規定です。概要とポイントを確認しましょう。
社会福祉法人の概要
社会福祉法人は社会福祉法に基づいて社会福祉事業を行うことを目的として設立された法人です。ただし、社会福祉事業に支障がない場合や、公益事業や収益事業を行うことができます。
ポイント①支障がない場合に限ってできます。無制限に許されているわけではありません。
ポイント②あくまでも主たる目的は社会福祉事業でなければなりません
ポイント③公益事業・収益事業の例
厚生労働省の説明によると・・・
公益事業の例
ア 必要な者に対し、相談、情報提供・助言、行政や福祉・保健・医療サービス事業者 等との連絡調整を行う等の事業
イ 必要な者に対し、入浴、排せつ、食事、外出時の移動、コミュニケーション、スポ ーツ・文化的活動、就労、住環境の調整等(以下「入浴等」という。)を支援する事 業
ウ 入浴等の支援が必要な者、独力では住居の確保が困難な者等に対し、住居を提供又 は確保する事業
エ 日常生活を営むのに支障がある状態の軽減又は悪化の防止に関する事業
オ 入所施設からの退院・退所を支援する事業
カ 子育て支援に関する事業
キ 福祉用具その他の用具又は機器及び住環境に関する情報の収集・整理・提供に関す る事業
ク ボランティアの育成に関する事業
ケ 社会福祉の増進に資する人材の育成・確保に関する事業(社会福祉士・介護福祉士・ 精神保健福祉士・保育士・コミュニケーション支援者等の養成事業等)
コ 社会福祉に関する調査研究等
収益事業の例
事業の種類については、特別の制限はないが、法人の社会的信用を傷つけるおそれ があるもの又は投機的なものは適当でないこと。
設立の要件
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社会福祉法人の設立には、所轄庁による認可が必要です。
社会福祉法人の所轄庁は、原則として法人の主たる事務所が所在する都道府県とされており、法人が行う事業が法人の主たる事務所の所在する市の区域を越えない場合は当該市となります。
評議員の数は、理事の員数を超える数です。理事の員数は 6 名以上となりますので、評議員は 7 名以上となります。
ポイント① 所轄の認可が必要 *認証ではありません
ポイント② 社会福祉法人の所轄庁は、都道府県知事又は市長
(法人の行う事業が2以上の地方厚生 局の区域にわたった上で、
特定の要件を満たす法人は厚生労働大臣)
ポイント③ 理事6人以上、監事2人以上、評議員は7名以上(理事の員数を超える数でなければならないので)
会計監査人について
前年度の決算における
・法人単位事業活動計算書の「サービス活動収益計」が 30 億円を超える法人
・法人単位貸借対照表 の「負債の部」の「負債の部合計」が 60 億円を超える法人
については、会計監査人(公認会計士・監査法人)の設置が義務付けられています。
ポイント① 全ての社会福祉法人に会計監査人の義務付けが行われているわけではない
ポイント② 会計監査人は公認会計士・監査法人でなければならない
社会福祉充実計画について
社会福祉法人は、毎会計年度、その保有する財産について、社会福祉充実財産を算定しなければなりません。
もし、社会福祉充実財産が生じる場合には、社会福祉充実計画を策定し、所轄庁の承認を得た上で、これに従って、地域の福祉ニーズ等を踏まえつつ、当該財産を計画的かつ有効に再投下(利用)することが求められます。
※1 社会福祉充実財産は、社会福祉法では「社会福祉充実残額」と規定されています。
社会福祉充実財産の使途については、
第1順位:社会福祉事業
第2順位:地域公益事業
* 地域公益事業とは、社会福祉充実財産を活用して行う事業であって、公益事業のうち、日常生活又は社会生活上の支援を必要とする事業区域の住民に対し、無料又は低額な料金で、その需要に応じた福祉サービスを提供するものをいいます。
第3順位:公益事業
の順に検討を行い、既存事業の充実又は新規事業の実施(例:職員の処遇改善、新規人材の雇入れ、建物の建替等)に係る費用に活用すべきこととされています。
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