福祉事務所を整理するポイント
福祉事務所は、社会福祉法第14条に規定されている「福祉に関する事務所」です。福祉六法に定める援護、育成又は更生の措置に関する事務をつかさどる、社会福祉行政の第一線の機関です。
整理する順番は次の3つです。
①どこに設置義務があるか
②どのような職員が配置されるか
③所管するのは六法か三法か
この順で押さえると、過去問はすっきり解けるようになります
福祉事務所の根拠法と設置義務
根拠法は社会福祉法です。設置義務は次のように分かれます。
都道府県・市(特別区)→設置しなければならない
町村→任意設置(福祉事務所を設置しない場合は、都道府県の福祉事務所が所管する)
また、都道府県の福祉事務所か市町村の福祉事務所かによって所管する法律が異なります。
市町村の福祉事務所→福祉六法(生活保護法、児童福祉法、母子及び父子並びに寡婦福祉法、老人福祉法、身体障害者福祉法、知的障害者福祉法)
都道府県の福祉事務所→福祉三法(生活保護法、児童福祉法、母子及び父子並びに寡婦福祉法)
都道府県の福祉事務所が三法になったのは、老人福祉法、身体障害者福祉法、知的障害者福祉法に基づく施設入所措置等の事務が都道府県から町村へ移譲されたためです。老人福祉分野と身体障害者福祉分野は1990年(平成2年)の福祉八法改正により1993年(平成5年)4月から、知的障害者福祉分野は2000年(平成12年)の改正により2003年(平成15年)4月から移譲され、この3つが都道府県の福祉事務所の所管から外れました。
福祉八法改正は歴史の問題としても頻出です。こちらで改正点を整理してあります。
→福祉八法改正をわかりやすく解説|ゴールドプランから老人保健福祉計画
福祉事務所に配置される職員
社会福祉法第15条により、次の所員が置かれます。
①所長
②指導監督を行う所員(査察指導員)
③現業を行う所員(現業員)
④事務を行う所員(事務職員)
このうち査察指導員と現業員は、社会福祉主事でなければならないと規定されています。ここが福祉事務所の職員に関する出題で最も多く問われるところです。社会福祉士でなければならない、という規定ではありません。
社会福祉主事は、社会福祉法第19条により、都道府県知事又は市町村長の補助機関である職員とされています。年齢20年以上で、人格が高潔、思慮が円熟し、社会福祉の増進に熱意があり、かつ次のいずれかに該当する者から任用します。
①大学等において厚生労働大臣の指定する社会福祉に関する科目を修めて卒業した者
②厚生労働大臣の指定する養成機関又は講習会の課程を修了した者
③社会福祉士
④厚生労働大臣の指定する社会福祉事業従事者試験に合格した者
⑤前各号に掲げる者と同等以上の能力を有すると認められる者として厚生労働省令で定めるもの
①の指定科目を3科目以上修めて卒業する方法が、いわゆる三科目主事と呼ばれるものです。
なお、福祉事務所を設置していない町村に置かれる社会福祉主事を置くことができますが、所管するのは老人福祉法、身体障害者福祉法、知的障害者福祉法の三法です。
所員の定数
所員の定数は、条例で定めることとされています。
現業員の数については、被保護世帯の数に応じた数を標準として定めることとされています。市の福祉事務所では被保護世帯80世帯につき1人、都道府県の福祉事務所では被保護世帯65世帯につき1人、町村の福祉事務所では被保護世帯80世帯につき1人が標準です。
これは標準数であって、最低数ではありません。この数を下回っても違法にはなりません。
過去問で確認しましょう
第34回 問題46
福祉行政における専門職等の法令上の位置づけに関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 都道府県の福祉事務所に配置される社会福祉主事は、老人福祉法、身体障害者福祉法、知的障害者福祉法に関する事務を行う。
2 福祉事務所の現業を行う所員(現業員)は、社会福祉主事でなければならない。
3 身体障害者更生相談所の身体障害者福祉司は、身体障害者の更生援護等の事業に5年以上従事した経験を有しなければならない。
4 地域包括支援センターには、原則として社会福祉主事その他これに準ずる者を配置しなければならない。
5 児童相談所においては、保育士資格を取得した時点でその者を児童福祉司として任用することができる。
まとめて解説
1 →× 老人福祉法、身体障害者福祉法、知的障害者福祉法に関する事務を行うのは、福祉事務所を設置していない町村に置かれる社会福祉主事です。都道府県の福祉事務所が所管するのは、生活保護法、児童福祉法、母子及び父子並びに寡婦福祉法の三法です。
2 →〇 社会福祉法第15条の規定のとおりです。査察指導員と現業員は、社会福祉主事でなければなりません。
3 →× 身体障害者福祉司の任用資格に規定されている実務経験は、社会福祉主事の資格を有する者について2年以上です。5年ではありません。
4 →× 地域包括支援センターに配置されるのは、保健師、社会福祉士、主任介護支援専門員です。
5 →× 保育士資格の取得だけで児童福祉司に任用することはできません。児童福祉司の任用資格に保育士は規定されていません。
関連する選択肢を抜粋
設置義務については、次の選択肢が出題されています。
第35回 問題45 選択肢5
町村は、福祉事務所を設置しなければならない。
→× 町村の設置は任意です。設置しなければならないのは都道府県と市です。
第36回 問題66 選択肢1
都道府県は、福祉事務所を任意に設置できる。
→× 都道府県は設置しなければなりません。任意なのは町村です。
第36回 問題66 選択肢3
都道府県は、町村が福祉事務所を設置する場合、その保護費の一部を負担する。
→〇 町村が福祉事務所を設置した場合、保護費は町村が支弁し、都道府県がその一部を負担します。
福祉行政の専門職については、こちらで整理しています。


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