相談援助のアプローチを読む順番
この記事マップは、相談援助のアプローチに関する記事をまとめたものです。アプローチ以外の論点は、科目全体の記事マップにまとめています。
→ソーシャルワークの基盤と専門職・ソーシャルワークの理論と方法 記事マップ
アプローチはそれぞれが単体で主張しているのではなく、先にあったアプローチの考え方に対する反発や、さらに補強して発展するなど、様々なかたちで広がっていきます。アプローチが生まれた流れに沿って理解するほうが早く整理できます。
できるだけこの順番で読んでいただくほうが理解しやすいと思います。リンク先で中身を確認してください。
対立から折衷へ
①診断主義アプローチ(ハミルトン・トール)|過去の原因を診断して治療する
②機能的アプローチ(タフト・ロビンソン)|クライエントの意志と機関の機能
③問題解決アプローチ(パールマン)|両派の折衷、4つのP
④心理社会的アプローチ(ホリス)|折衷ではなく、診断主義の流れを受け継いだ整理
①と②が何をめぐって対立したのか、③がどう折衷したのかは、年表で確認できます。
→診断主義と機能主義はなぜ対立した?|統合までの流れを年表で整理
期間を決めて支援する
⑤課題中心アプローチ(リード・エプスタイン)|計画的な短期処遇
⑥危機介入アプローチ(ラポポート・キャプラン)|危機状態への短期集中
⑦行動変容アプローチ(トーマス)|観察できる行動そのものを変える
⑤は短期的処遇、⑥は危機状態からの早期脱却、⑦は原因を掘り下げず行動を変えようとするので、過去の原因を診断して治療するという①の考え方とは全く違うアプローチです。
本人の力に着目する
⑧エンパワメントアプローチ(ソロモン)|パワーレス状態からの回復
⑨フェミニストアプローチ|女性への抑圧の顕在化
⑩パーソンセンタード・アプローチ(ロジャース)|不適応を環境の問題と捉える
⑨は⑧を性別という軸で展開したものと読むと、位置がつかみやすくなります。
語りと意味に着目する
⑪ナラティヴアプローチ(ホワイト・エプストン)|物語の書き換え
⑫解決志向アプローチ(ド・シェイザー)|解決イメージ・ミラクルクエスチョン
⑬実存主義アプローチ(クリル)|苦悩の意味づけ
いずれも、専門職が原因を突き止めて解決するのではなく、本人が語ることや意味づけを支援の中心に置きます。
人と環境の関係に着目する
⑭システム理論|ホメオスタシス・開放システム
⑮家族システムアプローチ|家族全体を1つのシステムとして捉える
⑯エコロジカルアプローチ(ジャーメイン)|人と環境の交互作用
①の診断主義が土台にしたのは、リッチモンドの「人間と社会環境との間を調整する」という定義でした。ところが診断主義はフロイトの精神分析を取り入れ、原因を個人の内面に求める方向へ進みます。②はそれに反発し、③が両者を折衷し、④が診断主義の流れを整理し直しました。⑤⑥⑦は関わる期間を短く区切り、⑧⑨⑩は本人が持つ力に、⑪⑫⑬は本人の語りに目を向けます。
⑭から⑯は、個人だけにフォーカスをあてるのではなく、個人とそれを取り巻くもの全体を見ようとします。⑭で、それらを互いに影響し合うひとつのまとまりとして捉える見方が出て、⑮でそれを家族に、⑯で環境全体に広げます。リッチモンドが人間と社会環境との「間」と呼んだものを、⑯は人と環境の「交互作用」と呼び直したことになります。出発点に戻ったのではなく、対立と反発を重ねたぶんだけ、精度を上げて同じ場所に立ち直したということです。
アプローチと一緒に押さえておきたいもの
→ソーシャルワーク実践の共通基盤(バートレット)|価値・知識・介入
→ピンカスとミナハンの4つのシステム|覚え方はターゲットとチェンジエージェントの違いから
どちらもアプローチ理論ではありませんが、アプローチと同じ問題の選択肢の中で問われることがあります。読む順番にはいれてありませんが、ここにまとめておきます。
最後にアドバイス
国家試験では、アプローチ名と人名の組み合わせが問われることもありますが、アプローチの内容を問われることが多いです。そのため〇〇アプローチを提唱したのは●●というように、そこだけを暗記していても解けません。
「問題解決アプローチでは、急性の感情的な混乱状態にある利用者の対処能力の強化に焦点を当てる」と書かれていたら、これは「危機介入アプローチ」のことだから誤りと判断しなければならないということです。
まずはアプローチの全体像と流れをつかみ、中身を確認していきましょう。


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