在留外国人は412万人を超えました。日本の人口に占める割合は3.36%、30人に1人という計算になります。
人口の構造が変われば仕組みを見直さなければなりません。働く仕組み、住む場所、言葉、災害時の対応等。
国家試験は、社会の変化にあわせて問題も変化します。離婚が増えれば年金分割が出題されるようになりますし、共働きが当たり前になれば、妻が亡くなったときに夫が遺族年金を受け取れるかが問われるようになります。当然、外国人が増えれば、外国人との共生が出題されるようになるという流れです。
*働き方については、技能実習から育成就労への移行を別の記事にまとめていますので、この記事では、それ以外に4点に焦点をあてます。①住まい②災害時の対応③言葉④自治体の取り組みです。いろんな単語を羅列しているように見えるかもしれませんが、共通しているのは、いかにしてみんなが暮らしやすい地域を作るかの仕組みであるという点です。
考えてみると、やさしい日本語ガイドライン、多文化共生アドバイザー、災害時外国人支援情報コーディネーターどの仕組みも、外国人だけでなく、日本人にとっても、そして日本国内で住むすべての人たちにとっての暮らしやすさに繋がっています。
総務省は多文化共生を、国籍や民族などの異なる人々が、互いの文化的ちがいを認め合い、対等な関係を築こうとしながら、地域社会の構成員として共に生きていくこと、と定義しています。
この定義に沿って、制度を1つずつ見ていきます。
①住まい
住宅セーフティネット法(住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律)は、住まいが見つかりにくい人を支援するための法律です。
対象となる「住宅確保要配慮者」として、法律には低額所得者、被災者、高齢者、障害者、子どもを養育している者などが挙げられています。
外国人自体が法律の定義に入っているわけではありませんが、「その他住宅の確保に特に配慮を要するものとして国土交通省令で定める者」の中に外国人が含まれています。
省令(施行規則第3条)では、外国人のほか、中国残留邦人等、児童虐待を受けた者、ハンセン病療養所入所者等、DV被害者、拉致被害者、犯罪被害者、矯正施設退所者、生活困窮者などが定められています。
なお、令和7年10月1日に改正法が施行され、家賃債務保証、見守り、入居者が亡くなったときの残置物処理などの手続きが円滑化されました(法改正は要注意です)
②災害時の対応:災害時外国人支援情報コーディネーター
災害時外国人支援情報コーディネーターは、災害が起きたときに、地方公共団体等が設置する災害多言語支援センター等の拠点に配置される人材です。
行政等から提供される災害・生活支援情報を整理し、避難所等にいる外国人被災者のニーズとマッチングを行うことが主な役割です。
2018年度(平成30年度)から総務省がすでに養成研修を実施しています。対象は自治体職員または地域国際化協会職員で、必ずしも通訳者や、外国語を母語とする人である必要はありません。
育成については防災基本計画に総務省が行うべき施策として位置づけられており、地域防災計画に明記する地方公共団体も増えています。災害対策基本法第34条により、中央防災会議が防災基本計画を定めます。その中の具体的な施策の一つとして、コーディネーターの育成が盛り込まれています。
災害対策基本法の詳細はこちらです
こちらも法改正されています。

③言葉「やさしい日本語」
在留外国人が増えるなかで、多言語への翻訳だけでなく、「やさしい日本語」で伝える取り組みが広がっています。
出入国在留管理庁と文化庁が2020年(令和2年)8月に策定した「在留支援のためのやさしい日本語ガイドライン」では、基本ルールの一つとして、外来語(カタカナ語)はできる限り使わないこととされています。
外来語を使うのは、「バス」「ガス」「テレビ」のように、ほかに適切な日本語がない場合だけです。外来語は原語と意味や発音が異なるものが多いためです。
言い換えの例も示されています。「ツール」は「道具」。「プレゼンテーション」は「発表」。「メンタルヘルス」は「心の健康」。
日本語を勉強している人にとって、カタカナ語は一番わかりにくい部分です。英語だと思って聞くと、意味が違う。日本語だと思って辞書を引くと、載っていない、これ、日本語を勉強する人には「あるある」なんだそうです。
④自治体の取り組み
地域における多文化共生推進プラン
総務省が、地方公共団体の「多文化共生の推進に係る指針・計画」の策定に資するために作ったものです。2006年(平成18年)3月に策定され、2020年(令和2年)9月に改訂されました。
改訂の背景には、外国人住民の増加・多国籍化、在留資格「特定技能」の創設、多様性・包摂性のある社会実現の動き、デジタル化の進展、気象災害の激甚化があります。
プランは、自治体が多文化共生施策を推進する今日的意義として、次の4つを挙げています。
①多様性と包摂性のある社会の実現による「新たな日常」の構築
②外国人住民による地域の活性化やグローバル化への貢献
③地域社会への外国人住民の積極的な参画と多様な担い手の確保
④受入れ環境の整備による、都市部に集中しないかたちでの外国人材受入れの実現←37回で出題!
多文化共生アドバイザー
総務省は、多文化共生の取組に関して先進的な知見・ノウハウを持つ、地方公共団体の担当部署または職員を「多文化共生アドバイザー」として登録しています。2019年(平成31年)4月に開始されました。
登録されるのは外部の専門家ではなく、すでに実績を上げている自治体そのもの(担当部署、またはそこに所属する職員)です。これから多文化共生に取り組もうとする自治体は、この名簿を通じて助言やノウハウの提供を求めることができます。自治体同士の学び合いの仕組みですね。
名簿の作成・公表は総務省が行っています。アドバイザー数は87で、全ての都道府県に登録されています(令和6年4月1日現在)。
過去問
第37回 問題23
多文化共生社会の実現に向けた取組に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 「在留支援のためのやさしい日本語ガイドライン」では、外国人に情報を伝えるときは、外来語(カタカナ語)を多く使用するよう示している。
→× 外来語(カタカナ語)はできる限り使わないこととされています。
2 「地域における多文化共生推進プラン(改訂)」では、外国人材の都市部への居住を促すことを目指している。
→× 都市部に集中しないかたちでの外国人材受入れの実現を挙げています。
3 多文化共生に取り組もうとする地方自治体への情報提供等のために、総務省は多文化共生アドバイザーの名簿を作成することとなっている。
→○ 正答です。
4 災害時外国人支援情報コーディネーターは、外国語を母語とする者を充てることとされている。
→× 対象は自治体職員または地域国際化協会職員で、そのような要件はありません。
5 「ヘイトスピーチ解消法」では、本邦外出身者も、日本文化の理解に努めなければならないと規定している。
→× 正式には「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律」(2016年)といい、本邦外出身者に対する不当な差別的言動を解消するための取組を推進する法律です。禁止規定も罰則もない理念法で、国と地方公共団体、そして国民に向けた法律です。
外国人の働き方が変わることも第38回で出題されています。

介護の人材不足が深刻化してるにもかかわらず
特定技能に「介護」が含まれていないことも、問題視されています。

外国人の受け入れについては選挙でも争点になりやすく国民にはいろいろな感情がありそうです。
でも事実30人に一人は外国人であるという現実を捉えた時に
みんなが住みやすい社会を作ることもソーシャルワークなのではないか、
そう考えると、国家試験に多文化共生が出題されるのはある意味当たり前なのかもしれません

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