条約に関する問題を解くとき、「採択」「署名」「批准」「発効」という言葉を、なんとなく読み過ごしていませんか。
私は授業でも、この話を先にします。ここを見過ごしたまま各論に入ると、特に障害者の分野や、児童の権利に関する条約のところで、問題が解きにくくなることがあるからです。
この4つの言葉は、実は2つの層に分かれています。そこで今回は、各論に入る前に、条約に関する言葉の使い方と、手続きがどのように進んでいくのかを確認していきましょう。
条約の話には、2つの層があります
ひとつは、条約そのものの動きです。条約はまず採択され、そして発効します。この発効には、世界中の国のどれくらいがこの条約に賛同してくれたのか、ということが反映されます。
もうひとつは、それぞれの国の動きです。世界中の国では、この間どのようなことが行われているのでしょうか。
条約の中身を確認して、賛同すると決めたら署名をします。
でも、署名した段階では、国内法がその条約の中身に追いついていません。そこから法改正が始まります。そして、必要な法改正がすべて終わった時点で、批准するということです。
例えば、障害者の権利に関する条約。日本は2007年に署名していますが、批准したのは2014年です。
| 2007年 | 署名 |
| 2011年 | 障害者基本法の改正 |
| 2012年 | 障害者自立支援法が障害者総合支援法へ |
| 2013年 | 障害者差別解消法の制定、障害者雇用促進法の改正 |
| 2014年 | 批准 |
このように、署名してから批准するまでの7年の間に、数多くの法律が条約に合わせて改正されているのが分かります。
条約を批准するというのは、それだけ大きなことなのですね。ここで動いた法律は、どれも障害者福祉の科目でよく問われるところです。
2つの層は、こうつながっています
条約が作られるたびに、それぞれの国が、その条約に賛同するかどうかを決めて、賛同するのであれば(署名)します。
そして、それに合わせて法改正をし、条約に(批准)します。
こうして批准した国がある程度そろうと、条約が発効します。
ですから、それぞれの国のレベルで見ると、いつ批准したのか、そして条約がいつ発効したのかという順番は、条約によって様々です。決まった形があるわけではありません。
同じ条約であっても、国の背景や宗教が違えば、賛同するかどうかの判断も違ってきます。署名する国が集まらなければ、批准する国も集まりません。署名をしなければ、批准はできません。批准する国がたくさんある条約もあれば、そうでない条約もある、ということですね。
留保
ただし、条約に入るときに、条件を付けることがあります。
全体としては批准するけれども、この部分とこの部分だけは、どうしても受け入れられない、
そう宣言しておくことを、留保といいます。
留保というのは、批准するから出てくる考え方です。批准すらしないときには、留保という考え方は出てきません。
具体的にどのように出題されたかはこちらの記事で紹介しています

まとめ
条約全体としては、
採択 → 発効
国レベルで見ると、
署名 → 批准
ただし、場合によっては一部を留保することもある、ということですね。
この条約に関する流れが理解できていると、各論で条約が出てきたときに、今何の話をしているのかがクリアに理解できるようになります。
今、条約を採択した状態なのか、それとも、すでに発効しているのか。
そして日本国内の文脈で読むと、今、署名をしているのか、それとも、すでに批准しているのか。
批准をしていないのか。あるいは、批准したうえで留保を付けている状態なのか。
今までこれらの単語を気にせず読んでいた方、これが分かると、条約の問題が圧倒的に理解しやすくなりますよ!


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