障害児のサービスの全体像
障害児が使うサービスは、在宅生活を支えるサービス・通って使うサービス・入所サービスの3つに分けて整理すると理解しやすくなります。根拠となる法律も、支給決定を行う主体も、それぞれ異なります。「障害児」のサービスの根拠法は「児童福祉法」と考えてしまいがちですが、サービスの種類によって変わりますので、その点に注意しながら読み進めてください。
在宅生活を支えるサービスは障害者総合支援法
居宅介護(ホームヘルプ)、同行援護、行動援護、短期入所(ショートステイ)、重度障害者等包括支援といった、在宅生活を支えるサービスは、障害者総合支援法に基づいて提供されます。
障害者総合支援法は名称に「障害者」とありますが、一部のサービスについては障害児も対象に含まれています。障害児が居宅介護を利用する場合、根拠は児童福祉法ではなく障害者総合支援法です。支給決定を行うのは、障害者がサービスを使う時と同じなので市町村です。
また、自立支援医療、補装具、地域生活支援事業も障害児が利用できます。自立支援医療のうち、更生医療は18歳以上の身体障害者が対象なので障害児は利用できませんが、育成医療と精神通院医療は障害児も対象です。
通所支援は児童福祉法、支給決定は市町村
障害児通所支援は児童福祉法に基づくもので、次の4つがあります。
児童発達支援は、主に未就学の障害児が通い、日常生活における基本的な動作の指導や、集団生活への適応訓練などを受けるものです。
放課後等デイサービスは、就学している障害児(小・中・高校生等)が、授業の終了後や休業日に通うものです。生活能力の向上のために必要な訓練や、社会との交流の促進などを行います。
居宅訪問型児童発達支援は、重度の障害などにより通所が著しく困難な障害児の居宅を訪問して、発達支援を行うものです。
保育所等訪問支援は、保育所や学校などを訪問し、障害児以外の児童との集団生活に適応するための専門的な支援を行うものです。障害児本人だけでなく、訪問先の施設の職員に対する支援も行います。
通所支援の支給決定(通所給付決定)を行うのは市町村です。
児童発達支援は一元化されました
かつて通所支援には、肢体不自由児を対象とする医療型児童発達支援がありました。令和4年の児童福祉法改正により、医療型児童発達支援は児童発達支援に一元化され、令和6年4月1日から施行されています。
障害の種別にかかわらず障害児を支援できるようにすることが目的で、これにより現在の通所支援は上記の4つになっています。あわせて、この改正では児童発達支援センターが地域における障害児支援の中核的役割を担うことが明確化されました。
入所支援は児童福祉法、支給決定は都道府県
障害児入所支援は児童福祉法に基づくもので、福祉型障害児入所施設と医療型障害児入所施設の2つがあります。医療型は、治療を必要とする障害児が対象です。
通所支援は一元化されましたが、入所支援は福祉型と医療型の2類型のままです。ここは混同しやすいところです。
入所支援の支給決定(入所給付決定)を行うのは都道府県です。通所は市町村、入所は都道府県という違いを押さえておきましょう。
計画作成の担当者は誰か?
計画の名称や作成担当者は、障害児か障害者かで決まるのではなく、どの法律のサービスを使うかで決まります。
在宅生活を支えるサービスを使う場合
障害児が居宅介護などを使う場合、根拠法は障害者総合支援法なので、障害者と同じようにサービス等利用計画を作成してサービスを利用します。これを作るのは、指定特定相談支援事業所の相談支援専門員です。障害者が使う場合とまったく同じ仕組みです。それぞれの事業所が作る個別の計画についても、障害者の場合と同じです。
通所支援を使う場合
障害児が通所支援を使う場合、根拠法は児童福祉法なので、児童福祉法に基づく障害児支援利用計画を作成します。作成するのは、障害者総合支援法の指定特定相談支援事業所ではなく、児童福祉法の指定障害児相談支援事業所の相談支援専門員です。
一方、それぞれの事業所が作成するのが個別支援計画で、これを作るのが児童発達支援管理責任者です。障害者の場合はサービス管理責任者でしたが、障害児の通所支援では児童発達支援管理責任者になります(私は管理責任者は障害者総合支援法でも児童福祉法でも各事業者に配置されていると理解しています)。
計画の名称も、相談支援事業所の種類も、事業所側の職種も変わりますが、全体の計画を相談支援専門員が作り、事業所の中の計画を事業所側(管理責任者)が作成するという構造は同じです。
→サービス等利用計画と個別支援計画の違い|相談支援専門員・サビ管・サービス提供責任者を過去問で整理
整理すると
| 根拠法 | 支給決定 | |
|---|---|---|
| 居宅 | 障害者総合支援法 | 市町村 |
| 通所 | 児童福祉法 | 市町村 |
| 入所 | 児童福祉法 | 都道府県 |
過去問で確認しましょう
第37回 問題94
事例を読んで,市で子育て相談を担当するA職員(社会福祉士)が保護者に伝える内容に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事 例〕
Aのもとに保護者から下記の相談があった。
3歳児健診の際に医師から発達に課題があるかもしれないと指摘され,専門医を受診したところ,軽度の発達障害(自閉スペクトラム症)と診断された。しかし両親ともに発達障害や障害児福祉サービスについての知識がなく,不安だとのことだった。両親はともに常勤の会社員で,子どもは現在保育所を利用している。
1 障害児福祉手当の受給が可能である。
2 保育所の利用はできなくなる。
3 児童発達支援の利用が可能である。
4 放課後等デイサービスの利用が可能である。
5 医療型障害児入所施設への入所が可能である。
解説
1→× 障害児福祉手当は,重度障害児に対して支給されるものです。軽度の発達障害では対象になりません。
2→×障害があることを理由に保育所の利用ができなくなるという規定はありません。
3→○児童発達支援は未就学の障害児を対象とする通所支援です。
4→× 放課後等デイサービスは就学している障害児が対象です。
5→× 医療型障害児入所施設は治療を必要とする障害児を入所させるものであり,この事例には該当しません。
第34回 問題137
次の記述のうち,児童福祉法に定められた事業の説明として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 児童発達支援は,未就学の児童とその保護者を対象に,「子育てひろば」を実施する取組である。
2 放課後等デイサービスは,小学校に通う児童を対象に,放課後,小学校の空き教室や児童館等の公共施設において「学童保育」を実施する取組である。
3 保育所等訪問支援は,保育所等に入所している健診未受診の乳幼児を対象に,保健師が保育所等を訪問する取組である。
4 児童自立生活援助事業は,「自立援助ホーム」における相談その他の日常生活上の援助及び生活指導並びに就業の支援を行う取組である。
5 子育て短期支援事業は,出産直後の子育て家庭を対象に,居宅を訪問して家事支援等を行う取組である。
解説
1→× 児童発達支援は,障害児に対して日常生活における基本的な動作の指導や集団生活への適応訓練などを行うものです。「子育てひろば」の実施ではありません。
2→× 放課後等デイサービスは障害児を対象とするもので,一般的な学童保育とは異なります。
3→× 保育所等訪問支援は,障害児が集団生活に適応するための専門的な支援を行うものです。健診未受診の乳幼児を対象とするものではありません。
4→○ 児童自立生活援助事業の説明として適切です。詳細は下記をご覧ください。
→【児童家庭福祉】法改正「自立援助ホーム」と「ファミリーホーム」の違い|要保護児童の行き先を整理する
5→× 子育て短期支援事業は,保護者の疾病などの理由により家庭で養育を受けることが一時的に困難となった児童を,施設などで預かるものです。


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