保健所と市町村保健センターを整理するポイント
保健所と市町村保健センターは、どちらも地域保健法に基づく機関です。名称が似ているため混同しやすいですが、設置主体も業務の性格も異なります。
設置主体、業務の内容、所長の資格要件を整理しましょう。
保健所
根拠法:地域保健法第5条に基づく機関です。
設置:都道府県、指定都市、中核市、その他の政令で定める市、特別区が設置します。
所長:医師でなければならないとされています(一定の場合の例外はあります)。
位置づけ:地域保健対策の広域的・専門的・技術的な拠点です。
所管区域:保健医療施策と社会福祉施策との有機的な連携を図るため、二次医療圏等を参酌して設定されます。
<医療圏とは>
医療圏は、医療法に基づいて都道府県が医療計画の中で定める地域の単位で、一次・二次・三次の3種類があります。一次医療圏は日常的な医療で市町村単位、二次医療圏は入院医療を含む一般的な医療で複数市町村をまとめた区域、三次医療圏は特殊な医療で原則として都道府県単位です。都道府県が設置する保健所の所管区域は、この二次医療圏等を参酌して設定するものとされており、三次医療圏と一致するわけではありません。
業務(地域保健法第6条)は次のとおりです(国家試験に出題されたものは黒太文字にしています)。
①地域保健に関する思想の普及及び向上に関する事項
②人口動態統計その他地域保健に係る統計に関する事項
(出生率・死亡率など、国家試験に出るデータのもとになる統計です)
③栄養の改善及び食品衛生に関する事項
(飲食店の営業許可、食中毒の調査など)
④住宅、水道、下水道、廃棄物の処理、清掃その他の環境の衛生に関する事項
(水質検査、理容所・美容所の衛生管理など)
⑤医事及び薬事に関する事項
(医療機関や薬局の許可・立入検査など)
⑥保健師に関する事項
⑦公共医療事業の向上及び増進に関する事項
⑧母性及び乳幼児並びに老人の保健に関する事項
⑨歯科保健に関する事項
⑩精神保健に関する事項
(精神保健福祉相談、訪問指導など)
⑪治療方法が確立していない疾病その他の特殊の疾病により長期に療養を必要とする者の保健に関する事項(難病に関する相談、医療費助成の申請受付など)
①地域保健に関する思想の普及及び向上に関する事項
②人口動態統計その他地域保健に係る統計に関する事項(出生率・死亡率など、国家試験に出るデータのもとになる統計です)
③栄養の改善及び食品衛生に関する事項(飲食店の営業許可、食中毒の調査など)
④住宅、水道、下水道、廃棄物の処理、清掃その他の環境の衛生に関する事項(水質検査、理容所・美容所の衛生管理など)
⑤医事及び薬事に関する事項(医療機関や薬局の許可・立入検査など)
⑥保健師に関する事項
⑦公共医療事業の向上及び増進に関する事項
⑧母性及び乳幼児並びに老人の保健に関する事項
⑨歯科保健に関する事項
⑩精神保健に関する事項(精神保健福祉相談、訪問指導など)
⑪治療方法が確立していない疾病その他の特殊の疾病により長期に療養を必要とする者の保健に関する事項(難病に関する相談、医療費助成の申請受付など)
⑫エイズ、結核、性病、伝染病その他の疾病の予防に関する事項
(エイズの個別カウンセリング、結核患者の発生届の受理など)
⑬衛生上の試験及び検査に関する事項
⑭その他地域住民の健康の保持及び増進に関する事項
(エイズの個別カウンセリング、結核患者の発生届の受理など)
⑬衛生上の試験及び検査に関する事項
⑭その他地域住民の健康の保持及び増進に関する事項
③④のように、食品衛生や環境衛生といった対物保健を担うのが保健所の特徴です。同時に、⑩の精神保健や⑫の感染症対策など対人保健も行います。エイズに関する個別カウンセリングは、対人保健分野の業務の例です。
市町村保健センター
根拠法:地域保健法第18条に基づく施設です。
設置:市町村が設置することができるとされています。必置ではありません。
所長:資格要件の定めはありません。医師である必要はありません。
業務:住民に対し、健康相談、保健指導及び健康診査その他地域保健に関し必要な事業を行うことを目的とする施設です。
市町村保健センターが担うのは、住民に身近な対人保健サービスです。母子保健法に基づく母子健康手帳の交付や1歳6か月児健診・3歳児健診、健康増進法に基づく健康診査などは市町村の業務とされており、その多くが市町村保健センターを場として実施されています。
表で整理
| 保健所 | 市町村保健センター | |
|---|---|---|
| 根拠法 | 地域保健法第5条 | 地域保健法第18条 |
| 設置主体 | 都道府県、指定都市、中核市、その他政令で定める市、特別区 | 市町村(任意設置) |
| 位置づけ | 広域的・専門的・技術的拠点 | 住民に身近な対人保健サービスの拠点 |
| 所長 | 医師(必要) | 資格要件なし |
| 業務の性格 | 対物保健と対人保健の両方 | 対人保健 |
「保健所は対人保健、市町村保健センターは対物保健」という記述は誤りです。対物保健(食品衛生、環境衛生など)を担うのは保健所であり、市町村保健センターではありません。
市町村への技術的助言
地域保健法第8条は、都道府県の設置する保健所について、市町村相互間の連絡調整を行い、市町村の求めに応じ、技術的助言、市町村職員の研修その他必要な援助を行うことができると定めています。
都道府県の保健所が市町村を専門的・技術的に支える関係が、条文に置かれているということです。
保健所の精神保健業務
地域保健法第6条第10号のとおり、精神保健は保健所の業務です。精神保健福祉相談、訪問指導のほか、精神保健福祉法に基づく措置入院関係の事務(申請・通報の受理、届出の受理)なども担っています。
精神保健福祉センターについては、こちらで整理しています。
過去問で確認!
第38回 問題104
保健所及び市町村保健センターに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 保健所は三次医療圏、市町村保健センターは二次医療圏を勘案して設置しなければならない。
2 保健所は二次予防、市町村保健センターは一次予防と役割分担がなされている。
3 保健所は対人保健、市町村保健センターは対物保健と役割分担がなされている。
4 都道府県の設置する保健所は、市町村の求めに応じて技術的助言を行うことができる。
5 保健所及び市町村保健センターの所長は、医師でなければならない。
まとめて解説
1 →× 都道府県の設置する保健所の所管区域は、二次医療圏等を参酌して設定するものとされています。市町村保健センターに医療圏を勘案する規定はありません。
2 →× 一次予防・二次予防による役割分担の規定はありません。
3 →× 対物保健を担うのは保健所です。記述が逆になっています。
4 →〇 地域保健法第8条のとおりです。
5 →× 保健所の所長は医師でなければならないとされていますが、市町村保健センターの所長に資格要件はありません。
第29回 問題72
1 保健所が行うメンタルヘルスの相談では、精神障害者保健福祉手帳所持者は対象外である。
2 保健所における対人保健分野の業務として、エイズに関する個別カウンセリング業務がある。
3 保健所は感染症法に基づき、結核患者の発生届を受理した場合には治療に当たることが義務付けられている。
4 都道府県が設置する保健所の所管区域は、医療法に規定する三次医療圏と一致する。
5 保健所は母子保健法に基づき、母子健康手帳の交付をする。
まとめて解説
1 →× 手帳所持者を対象外とする規定はありません。
2 →〇 エイズを含む疾病の予防は地域保健法第6条に定められた保健所の業務であり、個別カウンセリングは対人保健分野の業務に当たります。
3 →× 発生届の受理は保健所の業務ですが、保健所が治療に当たるわけではありません。
4 →× 二次医療圏等を参酌して設定するものとされており、三次医療圏と一致するわけではありません。
5 →× 母子健康手帳を交付するのは市町村です。


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