ヴォルフェンスベルガーとソーシャルロールバロリゼーション|PASSとの関係も整理

社会福祉の原理と政策

ヴォルフェンスベルガーは、ノーマライゼーションをアメリカで発展させた人物です。バンク・ミケルセンやニィリエが北欧で作った理念を、独自の理論として体系化しました。ソーシャルロールバロリゼーションとPASSという2つのキーワードを軸に整理します。

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①ノーマライゼーションの流れの中での位置づけ

ノーマライゼーションは、1950年代にデンマークのバンク・ミケルセンが提唱し、スウェーデンのニィリエが8つの原理として体系化しました。この理念がアメリカに渡った際、独自の理論として発展させたのがヴォルフェンスベルガーです。バンク・ミケルセンとニィリエの理念が主に環境の整備を重視したのに対して、ヴォルフェンスベルガーは、専門家の育成や援助プログラムの開発にも力を入れた点に特徴があります。

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②ソーシャルロールバロリゼーションとは

ヴォルフェンスベルガーは1983年、「ノーマライゼーション」という言葉に代えて「ソーシャルロールバロリゼーション(Social Role Valorization)」という言葉を使うことを提案しました。直訳すると、社会的役割に価値を与えるという意味です。

それまで社会的に価値がないとみなされてきた人々に対して、価値ある社会的役割をつくり出したり、それを維持できるよう援助したりすることを指します。単に環境を整えるだけでなく、障害のある人自身の社会的なイメージの向上と、能力の向上の両方を目指す考え方です。

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③PASSとは

PASS(Program Analysis of Service Systems)は、ヴォルフェンスベルガーが開発した、福祉サービスがノーマライゼーションの理念にどれだけ適合しているかを評価するためのツールです。1983年には、PASSINGという改訂版が発表されています。

④覚え方の整理

3人の役割を整理すると、次のようになります。

人物役割
バンク・ミケルセンノーマライゼーションの生みの親(デンマーク)
ニィリエノーマライゼーションの育ての親、8つの原理を体系化(スウェーデン)
ヴォルフェンスベルガーソーシャルロールバロリゼーションとPASSを提唱(アメリカ)

過去問で確認

第37回問題66(ソーシャルワークの基盤と専門職) 事例を読んで、A社会福祉士の発言の基盤となっている考え方を提示した人物として、最も適切なものを1つ選びなさい。

〔事例〕地域活動支援センターで指導員として勤務するAが、地域自立支援協議会の実務者会議に出席したところ、管轄地域内における今後の生活支援の方向性を問われた。そのため、日頃の相談支援活動を踏まえて「私は、障害のある方々の様々な活動が価値ある役割として、社会に認められていくための取組を、私たちはこれからも続けていくことが大切だと思います」と発言し、出席者から賛同を得た。
1 バンク‐ミケルセン(Bank‐Mikkelsen, N.) 
2 ニィリエ(Nirje, B.) 
3 ソロモン(Solomon, B.) 
4 ヴォルフェンスベルガー(Wolfensberger, W.) 
5 バンクス(Banks, S.)

1→× バンク‐ミケルセンはノーマライゼーションの生みの親であり、環境の整備を重視した。 
2→× ニィリエはノーマライゼーションの8つの原理を体系化した人物である。 
3→× ソロモンはエンパワメントアプローチを提唱した人物である。 
4→○ 「価値ある役割として社会に認められる」という発言はソーシャルロールバロリゼーションの考え方そのもので、ヴォルフェンスベルガーの理論に基づく。 
5→× バンクスはソーシャルワークの倫理と価値について論じた人物である。

第38回 問題52(障害者福祉の理念)
1 バンク-ミケルセン(Bank-Mikkelsen, N.)は、ノーマライゼーションの理念に適合しているか否かの観点から、福祉サービスの質を評価する手段として「PASS」を開発した。
→× PASSを開発したのはヴォルフェンスベルガーです。
2 ヴォルフェンスベルガー(Wolfensberger, W.)は、デンマークにおいてノーマライゼーションの理念に基づく知的障害者福祉法の制定に尽力した。
→× デンマークの1959年法に尽力したのはバンク=ミケルセンです。
3 ニィリエ(Nirje, B.)は、知的障害者に一日のノーマルなリズムを提供する観点から、ノーマライゼーションの8つの原則を示した。
→〇
4 ソロモン(Solomon, B.)は、カリフォルニアでの身体障害者の自立生活運動のリーダーとなり、障害者の生活に大きな影響を与えた。
→× 自立生活運動のリーダーはロバーツです。ソロモンはエンパワメントアプローチの提唱者です。

【頻出!相談援助のアプローチシリーズ⑧】エンパワメントアプローチ(ソロモン)
今回は「エンパワメントアプローチ」です。自信をもって解けるように、キーワードを整理していきましょう。この記事は「頻出!相談援助のアプローチシリーズ」の一つです。全体像と各記事へのリンクはこちら(記事の一覧表)からどうぞ。エンパワメントアプロ…

5 ロバーツ(Roberts, E.)は、カナダで生まれたセルフアドボカシー団体であるピープルファーストの活動に尽力した。
→× ロバーツは自立生活運動(IL運動)のリーダーで、バークレーに自立生活センター(CIL)を設立した人物です。ピープルファーストは知的障害のある当事者によるセルフアドボカシー団体です。

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