エンパワメントアプローチとは
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たくさんあるので、読む順番もご紹介しています。
ソロモンが『黒人のエンパワメント』(1976年)で提唱しました。アメリカの黒人差別の現実から生まれたアプローチです。
問題の原因を個人の弱さに求めません。人が無力な状態(パワーレスネス)に置かれるのは、社会から疎外され、抑圧され、力を奪われてきた構造があるからだと捉えます。支援とは、その奪われた力を取り戻す過程を支えることです。
キーワードは「パワーレスネス」「抑圧構造」
本人が本来持っている力や強さに着目し、自らの生活と環境をコントロールする力を回復していきます。個人の内面だけでなく、力を奪っている社会の側にも目を向けるのが、このアプローチの核心です。
そのために、自分を無力な状態に置いている抑圧の構造に気づき、批判的に捉える意識を育てていきます。力の獲得は、本人の気持ちの中だけで終わりません。個人、対人関係、組織、社会という四つの次元で目指します。たとえば、「自分にもできる」という感覚を取り戻す(個人)、周りの人に自分の考えを伝えられるようになる(対人)、同じ立場の人と会をつくる(組織)、制度を変えるよう働きかける(社会)という広がりです。
力はもともと本人にあるものです。ワーカーは、本人がその力を取り戻していく過程を支えます。
国家試験では、エンパワメントアプローチについて次のように出題されました。
○「クライエントのパワーレス状態を生み出す抑圧構造への批判的意識を醸成する。」(第35回問題100)
○「個人、対人、組織、社会の四つの次元における力の獲得を目指す。」(第35回問題100)
×「キャプラン(Caplan, G.)の危機介入アプローチは、クライエントが社会から疎外され、抑圧され、力を奪われていく構造に目を向ける。」(第34回問題100)→これは危機介入アプローチではなく、エンパワメントアプローチのことです。
×「ソロモン(Solomon, B.)のエンパワメントアプローチは、人の自我機能に着目し、自己対処できないほどの問題に直面しバランスを崩した状態を危機と捉える。」(第34回問題100)→これはエンパワメントアプローチではなく、危機介入アプローチのことです。
×「エンパワメントアプローチは、行動を学習の結果として捉え、正しく学習することにより問題行動を消去することを目指す。」(第31回問題103)→これはエンパワメントアプローチではなく、行動変容アプローチのことです。
×「エンパワメント・アプローチは,クライエントが自身の思考パターンを見い出し,誤った信念を修正して,内面化された抑圧に対処させる方法である。」(第38回問題122)→思考パターンを見つけて誤った信念を修正するのは、エンパワメント・アプローチではなく、認知行動アプローチの考え方です。
過去問を解いてみましょう
第35回問題100
エンパワメントアプローチに関する次の記述のうち、適切なものを2つ選びなさい。
1 クライエントが持つ資源より、それ以外の資源を優先して活用する。
2 クライエントのパーソナリティに焦点を絞り、行動の変化を取り扱う。
3 クライエントのパワーレス状態を生み出す抑圧構造への批判的意識を醸成する。
4 個人、対人、組織、社会の四つの次元における力の獲得を目指す。
5 クライエントが、自らの置かれた社会状況を認識しないように注意する。
解説
1→×エンパワメントアプローチは、本人が本来持っている力や資源に着目します。
2→×パーソナリティだけに焦点を絞るのではなく、力を奪っている社会の構造にも目を向けます。
3→○自分を無力な状態に置いている抑圧の構造に気づき、批判的に捉える意識を育てます。
4→○個人、対人、組織、社会の四つの次元で、力の獲得を目指します。
5→×反対です。自分の置かれた社会状況に気づくことが、力を取り戻す出発点です。
第34回問題100
ソーシャルワークのアプローチに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 ソロモン(Solomon, B.)のエンパワメントアプローチは、人の自我機能に着目し、自己対処できないほどの問題に直面しバランスを崩した状態を危機と捉える。
2 キャプラン(Caplan, G.)の危機介入アプローチは、クライエントが社会から疎外され、抑圧され、力を奪われていく構造に目を向ける。
3 ホワイト(White, M.)とエプストン(Epston, D.)のナラティヴアプローチは、クライエントの生活史や語り、経験の解釈などに関心を寄せ、希望や意欲など、肯定的側面に着目する。
4 リード(Reid, W.)とエプスタイン(Epstein, L.)の課題中心アプローチは、クライエントが解決を望む問題を吟味し、計画的に取り組む短期支援である。
5 サリービー(Saleebey, D.)のストレングスアプローチは、クライエントの否定的な問題が浸み込んでいるドミナントストーリーに焦点を当て家族療法を行う。
解説
1→×これはエンパワメントアプローチではなく、危機介入アプローチのことです。
2→×これは危機介入アプローチではなく、エンパワメントアプローチのことです。
3→×希望や意欲などの肯定的側面に着目するのは、ナラティヴアプローチではなく、ストレングスアプローチです。
4→○課題中心アプローチの説明です。
5→×ドミナントストーリーに焦点を当てるのは、ストレングスアプローチではなく、ナラティヴアプローチです。
第31回問題103
ソーシャルワークのアプローチに関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 解決志向アプローチは、クライエントが抱く解決のイメージを尊重し、その実現に向けてクライエントの社会的機能を高めることを目指す。
2 行動変容アプローチは、クライエントが、置かれている否定的な抑圧状況を認識し、自らの能力に気付き、その能力を高め、問題に対処することを目指す。
3 エンパワメントアプローチは、行動を学習の結果として捉え、正しく学習することにより問題行動を消去することを目指す。
4 フェミニストアプローチは、クライエント自らが問題を解決するための課題を設定し、あらかじめ決められた期間の中で課題を達成することを目指す。
5 課題中心アプローチは、クライエントが自らの人生のストーリーを理解し、新たなストーリーに書き換えていくことを目指す。
解説
1→○解決志向アプローチの説明です。
2→×これは行動変容アプローチではなく、エンパワメントアプローチのことです。
3→×これはエンパワメントアプローチではなく、行動変容アプローチのことです。
4→×これはフェミニストアプローチではなく、課題中心アプローチのことです。
5→×これは課題中心アプローチではなく、ナラティヴアプローチのことです。
第38回問題122
ソーシャルワークの支援に関する次の記述のうち,適切なものを 2 つ選びなさい。
1 パーソン・センタード・アプローチでは,不適応はその人の問題というより環境の問題と捉え,環境を人に合うように変えたり調整したりする。
2 エンパワメント・アプローチは,クライエントが自身の思考パターンを見い出し,誤った信念を修正して,内面化された抑圧に対処させる方法である。
3 ナラティブ・アプローチでは,クライエントがこれまでに気づいていなかった真実や過去の出来事に対する新たな解釈を見い出し,人生を「書き直す」ための助けをする。
4 認知行動アプローチは,まず偏った行動を変えることにより思考プロセスの変化を促すための支援方法である。
5 課題中心アプローチでは,支援者が専門的な観点から優先順位が高いと判断した課題に焦点を当てて解決する。
解説
1→○パーソン・センタード・アプローチの説明です。合わないのは人ではなく環境だと考え、環境のほうを調整します。
2→×思考パターンを見つけて誤った信念を修正するのは、エンパワメント・アプローチではなく、認知行動アプローチの考え方です。
3→○ナラティブ・アプローチの説明です。
4→×認知行動アプローチは、物事の受け止め方(認知)に働きかけて、感情や行動の変化につなげる方法です。
5→×取り組む課題を選ぶのは、支援者ではなくクライエントです。
すっきり整理
ほかのアプローチと、読む順番についての記事はこちら
→ソーシャルワークのアプローチ 記事一覧|読む順番と提唱者・人名


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