DWATとは
DWATは、Disaster Welfare Assistance Teamの略で、日本語では「災害派遣福祉チーム」といいます。大規模災害が発生したときに、一般避難所等に派遣され、高齢者や障害者など福祉的な支援を必要とする人(要配慮者)に対して支援を行う、福祉専門職によるチームです。
根拠となっているのは、2018年(平成30年)5月に厚生労働省が策定した「災害時の福祉支援体制の整備に向けたガイドライン」です。このガイドラインにおいて、各都道府県が災害派遣福祉チームを組成し、必要な支援体制を確保することが示されました。DWATの一般避難所への派遣についても、このガイドラインに明記されています。
チーム員となるのは、社会福祉士、介護福祉士、精神保健福祉士、介護支援専門員、相談支援専門員、保育士など、福祉分野の専門職です。事前に都道府県と協定を結んだ法人・施設から、チーム員として登録された者で構成されます。
DWATが避難所で行うこと
DWATが避難所で行う活動は、大きく分けて次の3つです。
①相談支援です。避難している要配慮者のアセスメントを行い、必要な対応策を検討します。要観察者への巡回、復旧・復興に向けた生活相談なども含まれます。
②環境整備です。個々の生活空間を整えたり、避難所内のバリアフリー化を図ったりします。
③生活支援です。必要な情報を提供したり、避難者から情報を収集したり、健康管理を行ったりします。
避難生活が長期化すると、生活が不活発になって心身の機能が低下する、いわゆる災害関連死につながる二次被害が生じやすくなります。DWATの活動は、こうした二次被害を防ぐことを目的としています。
DMATとの違い
災害時に派遣されるチームとして、よく比較されるのがDMAT(Disaster Medical Assistance Team、災害派遣医療チーム)です。両者は目的も活動時期も異なります。
| DMAT | DWAT | |
|---|---|---|
| 正式名称 | 災害派遣医療チーム | 災害派遣福祉チーム |
| 目的 | 傷病者の生命を守る | 要配慮者の二次被害を防ぐ |
| 活動時期 | 災害発生直後の急性期 (概ね48時間以内) | 避難所生活の段階 |
| 構成 | 医師・看護師・業務調整員 | 社会福祉士・介護福祉士等の 福祉専門職 |
| 主な活動場所 | 災害拠点病院・被災現場 | 一般避難所・福祉避難所 |
DMATは災害の発生直後の急性期(概ね48時間以内)から活動が開始できる機動性を持ったチームとして定義されており、初動チームの活動期間は移動時間を除いて48時間以内が基本とされています。命を助けることが主たる目的です。
一方DWATは、命が助かったあとの避難所生活の場面で、生活機能の低下を防ぐことを目的としています。DMATとDWATのどちらの活動かが問われる場面では、「発災から何日目か(DMATは概ね48時間以内なので)」「どこで活動しているか(病院や災害現場なのか、それとも避難所なのか)」を読み取ることが、正誤判断の手がかりになります。
なお、DWATの活動場所のひとつである福祉避難所については、2021年(令和3年)5月の「福祉避難所の確保・運営ガイドライン」の改定により、指定福祉避難所ごとに受入対象者を特定してあらかじめ公示することとされました。
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第38回 問題121
事例を読んで、次の記述のうち、DWAT(災害派遣福祉チーム)の社会福祉士が主となって行うこの段階での活動として、適切なものを2つ選びなさい。
〔事 例〕
A県B市では大型台風の影響によって河川の氾濫や土砂災害が発生し、多くの家屋が被害を受け、複数の避難所が設置された。災害発生の翌日、B市からA県に対してDWAT(災害派遣福祉チーム)の派遣要請が入り、その7日後にチームがB市の避難所に入った。
1 避難所等を巡回し衛生管理を行う。
2 生活不活発病対策のためのプログラムを実施する。
3 避難所等において、被災した住民の生活課題のスクリーニングを行う。
4 社会福祉協議会と協力し、「BCP」の再検討を行う。
5 被災地において報告される情報や在宅等の巡回を通じて要配慮者の把握を行う。
(注) 「BCP」とは、事業継続計画のことである。
解説
1→× 衛生管理は保健師等が担う保健衛生分野の活動であり(DHEAT)、DWATの社会福祉士が主となって行う活動ではありません。
2→× 生活不活発病対策のプログラム実施(JRAT)は、リハビリ専門職等が中心となる活動です。
3→○ 避難所で被災住民の生活課題をスクリーニングすることは、DWATの相談支援として適切です。
4→× BCP(事業継続計画)の再検討は平時の備えに関する取組であり、避難所に入った段階の活動ではありません。
BCPは地域福祉でも出題されています。こちらもご参照ください。

5→○ 情報収集や在宅等の巡回を通じて要配慮者を把握することは、DWATの活動として適切です。
第37回 問題50
災害時の支援に関する次の記述のうち、適切なものを2つ選びなさい。
1 被災者生活再建支援制度の対象とする自然災害は、市町村において1000世帯以上の住宅全壊被害が発生した場合である。
2 介護保険制度では、全ての介護サービス事業者に対して、業務継続計画(BCP)の策定とその計画に従って必要な措置を講ずることが定められている。
3 災害救助法では、災害ボランティアセンターの設置を市町村社会福祉協議会に義務づけている。
4 厚生労働省の「災害時の福祉支援体制の整備に向けたガイドライン」では、災害派遣福祉チーム(DWAT)の一般避難所への派遣について明記している。
5 内閣府の「福祉避難所の確保・運営ガイドライン」では、指定福祉避難所は受入対象となる者をあらかじめ特定してはならないと定めている。
(注)1 BCPとは、Business Continuity Planのことである。
2 DWATとは、Disaster Welfare Assistance Teamのことである。
解説
1→× 被災者生活再建支援制度の適用要件は、住宅全壊被害が10世帯以上の市町村、100世帯以上の都道府県などとされており、1000世帯という要件はありません。
2→○ 介護保険制度では、全ての介護サービス事業者に業務継続計画(BCP)の策定と、それに従った措置を講ずることが定められています。
3→× 災害救助法に、災害ボランティアセンターの設置を市町村社会福祉協議会に義務づける規定はありません。
4→○ 「災害時の福祉支援体制の整備に向けたガイドライン」において、DWATの一般避難所への派遣が明記されています。
5→× 令和3年5月の改定により、福祉避難所ごとに受入対象者を特定してあらかじめ公示することとされており、記述は逆です。
すっきり整理
| 正式名称 | 災害派遣福祉チーム(Disaster Welfare Assistance Team) |
|---|---|
| 根拠 | 災害時の福祉支援体制の整備に向けたガイドライン(2018年、厚生労働省) |
| 組成主体 | 都道府県 |
| 構成員 | 社会福祉士・介護福祉士・精神保健福祉士等の福祉専門職 |
| 活動場所 | 一般避難所・福祉避難所等 |
| 目的 | 要配慮者への福祉的支援による二次被害の防止 |
災害時の制度面(要配慮者・避難行動要支援者・個別避難計画)については、こちらで整理しています。
→【社会福祉士】災害対策基本法|要配慮者・避難行動要支援者・個別避難計画
災害についてはこちらの法律も改正されています。要チェックです。



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