心理社会的アプローチ(ホリス)|「状況の中の人」とは?3つの相互関連性

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ソーシャルワーク
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心理社会的アプローチとは

このアプローチがどこから生まれ、次に何につながるのかは、こちらで確認できます。
→相談援助のアプローチを読む順番

心理社会的アプローチは、ホリスが『ケースワーク:心理社会療法』(1964年)で体系化したものです。診断主義の流れを受け継いでいます。クライエントの問題を、心理的な要因と社会的な要因が互いに影響し合うものとして捉えました。

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キーワードは「状況の中の人」

中心にあるのが「状況の中の人」です。

ここで見ているものは3つあります。人、状況、そして両者の相互作用です。

「人と環境の両方を見る」と覚えている方が多いところです。でも、それだと2つです。ホリスは、人と状況が影響し合っているというつながりを、3つ目として数えました。

人は状況から影響を受け、状況は人から影響を受け、循環している状態を指します。

たとえば、実家の母親の介護をしている人が疲れて余裕をなくしてしまう→同居している他の家族に強く当たってしまう→その家族が嫌になって距離を置く→ますます孤立して余裕がなくなる、こうなると、原因は本人の性格でも、家族の冷たさでもありません。両者の間でぐるぐる回っている悪循環が問題です。だから、人に働きかけるだけでも、状況を変えるだけでも足りません。その相互作用に目を向けるべきだということですね。

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6つの介入技法

ホリスは6つの介入技法を示しています。

①持続的支持→傾聴や受容で、クライエントを支え続ける
②直接的指示→ワーカーの意見や提案を直接伝えて、行動を後押しする
③浄化法→気持ちを言葉にして吐き出してもらい、感情を解放する
④人と状況の全体関連性の反省→自分の置かれた状況とのつながりを、クライエント自身に振り返ってもらう
⑤パターン力動的反省→自分の行動や考え方のクセ(パターン)に気づいてもらう
⑥発達的反省→そのクセが生育歴のどこから来たのかを振り返ってもらう

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パールマンとの関係

時代全体でみると、診断主義と機能主義が対立していた時代です。パールマンは、両方を取り入れた4つのPという答えを出しました。

ホリスは診断主義の側に立ったまま、「状況の中の人」という答えを出したということですね。

診断主義と機能主義の論争、パールマンがどのように統合しようとしたのかは、こちらで確認できます。
→診断主義と機能主義はなぜ対立した?|統合までの流れを年表で整理

国家試験では、心理社会的アプローチについて次のように出題されました。
○「ホリス(Hollis, F.)は、「状況の中の人」という視点で、心理社会的アプローチを提唱した。」(第34回問題92)
○「「うんうん、なるほど。そうだったのですね」とうなずきながら話を聞くのは、持続的支持である。」(第31回問題102)
×「リッチモンド(Richmond, M.)は、「人」、「状況」、「人と状況の相互作用」の三重の相互関連性を説いた。」(第33回問題98)→これはリッチモンドではなく、ホリスのことです。
×「ホリス(Hollis, F.)は、パーソナリティの変容を目指し、人と環境との間を個別に意識的に調整すると説いた。」(第33回問題98)→これはホリスではなく、リッチモンドのケースワークの定義です。
×「ホリス(Hollis, F.)の心理社会的アプローチは、診断主義学派と機能主義学派、両アプローチの折衷アプローチであり、両学派の統合を試みた。」(第32回問題101)→両学派の折衷を試みたのは、ホリスではなくパールマンです。
×「「子どもにきつく当たってしまうということですが、あなたが子どもの頃のお母さんとの関係はどうでしたか」と聞くのは、パターン力動的反省である。」(第31回問題102)→子どもの頃までさかのぼるのは、パターン力動的反省ではなく、発達的反省です。

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過去問を解いてみましょう

第34回問題92

ソーシャルワークの発展に寄与した代表的な研究者とその理論に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

1 ホリス(Hollis, F.)は、「状況の中の人」という視点で、心理社会的アプローチを提唱した。
2 トール(Towle, C.)は、「ケースワークは死んだ」という論文を発表し、社会問題へ目を向けることを提唱した。
3 パールマン(Perlman, H.)は、社会的要因が心理的要因に従属させられていると指摘し、両者の再統合を提唱した。
4 ロビンソン(Robinson, V.)は、内的な特徴と外的な特徴を統合させて人間を理解することを提唱した。
5 ハミルトン(Hamilton, G.)は、社会科学とのつながりを意識して、「リッチモンドに帰れ」と原点回帰を提唱した。

解説

1→○ホリスの心理社会的アプローチの説明です。
2→×「ケースワークは死んだ」を発表したのは、トールではなくパールマンです。
3→×社会的要因が心理的要因に従属させられていると指摘し、両者の再統合を提唱したのは、パールマンではなくマイルズです。パールマンは、診断主義と機能主義を折衷して問題解決アプローチを提唱した人物です。
4→×ロビンソンは、タフトとともに機能主義アプローチを提唱した人物です。
5→×「リッチモンドに帰れ」は、ハミルトンではなくマイルズの言葉です。ハミルトンは、診断主義学派を理論化した人物です。

第33回問題98

次の記述のうち、人と環境との関係に関するソーシャルワーク理論として、最も適切なものを1つ選びなさい。

1 リッチモンド(Richmond, M.)は、「人」、「状況」、「人と状況の相互作用」の三重の相互関連性を説いた。
2 ピンカス(Pincus, A.)とミナハン(Minahan, A.)は、生態学的視座に立ち、人が環境の中で生活し、社会的にも機能していると説いた。
3 ホリス(Hollis, F.)は、パーソナリティの変容を目指し、人と環境との間を個別に意識的に調整すると説いた。
4 バートレット(Bartlett, H.)は、人々が試みる対処と環境からの要求との交換や均衡を、社会生活機能という概念で説いた。
5 ジャーメイン(Germain, C.)は、クライエントの環境は、アクション・システムなど、複数のシステムから構成されると説いた。

解説

1→×「人」「状況」「人と状況の相互作用」の三重の相互関連性を説いたのは、ホリスです。
2→×生態学的視座に立ったのは、ジャーメインです。
3→×人と環境との間を個別に意識的に調整すると説いたのは、リッチモンドです。
4→○バートレットの社会生活機能の説明です。
5→×アクション・システムなど複数のシステムを示したのは、ピンカスとミナハンです。

第32回問題101

ソーシャルワーク実践理論の基礎に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

1 ランク(Rank, O.)の意志療法は、利用者の過去に着目し、利用者のパーソナリティの構造や自我の働きを捉える診断主義学派の礎となった。
2 ロス(Ross, M.)のコミュニティ・オーガニゼーション説は、地域における団体間調整の方法としてのインターグループワークを提唱した。
3 ホリス(Hollis, F.)の心理社会的アプローチは、診断主義学派と機能主義学派、両アプローチの折衷アプローチであり、両学派の統合を試みた。
4 タフト(Taft, J.)ら機能主義学派は、ソーシャルワーカーが所属する機関の機能に着目し、機関におけるソーシャルワーカーの役割を重視した。
5 パールマン(Perlman, H.)の問題解決アプローチは、精神分析や自我心理学の理論を否定し、人・状況・その双方の関連性においてケースワークを捉えた。

解説

1→×ランクの意志療法は、機能主義学派の礎です。
2→×インターグループワークを提唱したのは、ニューステッターです。ロスは、住民の参加と組織化を重視する地域組織化説を示しました。
3→×ホリスの心理社会的アプローチは、診断主義の流れをくむアプローチです。両学派の折衷を試みたのは、パールマンです。
4→○機能主義学派の説明です。
5→×パールマンの問題解決アプローチは、自我心理学などの理論を取り入れ、診断主義と機能主義を折衷したものです。

第31回問題102

ホリス(Hollis, F.)が示した心理社会的アプローチの介入技法に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。

1 「福祉事務所の相談窓口に行って話を聞くといいですよ」とアドバイスするのは、発達的な反省である。
2 「親に心配を掛けまいとして、泣きたいのをずっとこらえていたのですね」という言葉掛けは、直接的指示である。
3 「うんうん、なるほど。そうだったのですね」とうなずきながら話を聞くのは、持続的支持である。
4 「教室に入ろうとすると、友だちの視線が気になってつらくなり入れなくなるのですね」という言葉掛けは、浄化法である。
5 「子どもにきつく当たってしまうということですが、あなたが子どもの頃のお母さんとの関係はどうでしたか」と聞くのは、パターン力動的反省である。

解説

1→×相談窓口に行くよう勧めるのは、発達的反省ではなく、直接的指示です。
2→×こらえていた気持ちを受け止めて言葉にするのは、直接的指示ではなく、浄化法にあたる関わりです。
3→○うなずきながら話を聞いて支えるのは、持続的支持です。
4→×状況と気持ちのつながりを振り返ってもらうのは、浄化法ではなく、人と状況の全体関連性の反省です。
5→×子どもの頃の親との関係までさかのぼるのは、パターン力動的反省ではなく、発達的反省です。

すっきり整理

項目 内容 提唱者 ホリス 著書 『ケースワーク:心理社会療法』(1964年) 位置づけ 診断主義の流れを受け継ぐ キーワード 状況の中の人 キーワード 人・状況・両者の相互作用という3つの相互関連性 介入技法 持続的支持・直接的指示・浄化法など6つ 過去問をもとに著者が作成した図です。無断転載・複製はご遠慮ください。

ほかのアプローチと、読む順番についての記事はこちら
→ソーシャルワークのアプローチ 記事一覧|読む順番と提唱者・人名

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