【頻出!相談援助のアプローチシリーズ①】リッチモンド|ケースワークの母と「社会診断」

相談援助

この記事は「頻出!相談援助のアプローチシリーズ」の一つです。

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ケースワークの母:ケースワークの定義

リッチモンドは、ケースワークの体系化に貢献したことから、後に「ケースワークの母」と呼ばれますが、そもそもケースワークをどのように定義したのかを確認しましょう。
『ソーシャル・ケース・ワークとは何か』(1922年)で、ケースワークを人間と社会環境との間を個別に意識的に調整することを通して、パーソナリティを発達させる諸過程から成り立っていると定義しました。「人間と社会環境との」です。人だけを見るのでも環境だけを見るのでもなく、その間を調整するというところが、リッチモンドの定義の芯になります。

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『社会診断』(1917年)

『社会診断』では、社会的証拠の探索と収集を重視しました。思い込みや印象で判断するのではなく、事実を集め、確かめ、その上で援助を組み立てます。調査から診断へ、そして処遇へという手順です。
この枠組みを受け継いだ診断主義学派は、後に医学モデルと呼ばれる立場をとっていきます。ただし、リッチモンド自身の定義は「人間と社会環境との間を調整する」でしたから、個人の中だけを見ていたわけではありません。枠組みは引き継がれましたが、中身がそのまま同じだったわけではないのです。

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卸売的方法と小売的方法

もともとは商売の言葉です。卸売は問屋がまとめて大量に扱うこと、小売は店が客ひとりひとりに売ることですね。それを援助の話にあてはめています。

卸売的方法社会改良のことで、法律を作り、制度を整え、貧困を生む仕組みそのものを変えていくやり方です。一度に大勢に届きます。小売的方法個別救済のことで、目の前のひとりの事情を聞いて、その人に合った援助をします。一度にひとりです。

当時は、社会をまとめて変えるほうが本筋であって、ひとりずつ関わるのは対症療法にすぎないと見られていました。焼け石に水だ、というわけです。

リッチモンドはそこに反論して、小売的方法もまた社会環境を改革する一つの形態であると位置づけました。ひとりの人が置かれている状況を丁寧に見ていくと、その人だけの問題ではないものが必ず出てきます。同じ理由で困っている人が、ほかにもいる。それが見えるのは、ひとりに関わったからです。

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マイルズ「リッチモンドに帰れ」

その後、診断主義学派はリッチモンドの枠組みを引き継ぎましたが、そこにフロイトの精神分析が入り、原因を個人の内面に求める方向へ進んでいきます。人の心の中を掘り下げることが援助の中心になっていったわけです。元々、リッチモンドは人間と社会環境との「間」を調整することを重視していたはずが、少しずれてきてしまったということです。
そこでマイルズは1954年に「リッチモンドに帰れ」という表現で、現状のケースワークの在り方に警鐘を鳴らしました。ソーシャルワークが精神分析学に過度に傾斜してきたことへの反省から、社会科学とのつながりを意識して、原点回帰を提唱したのです。

「リッチモンドに帰れ」「ケースワークは死んだ」についての詳細はこちらをどうぞ

マイルズ「リッチモンドに帰れ」パールマン「ケースワークは死んだ」どういう意味?|流れで覚えるアメリカのケースワーク史
「リッチモンドに帰れ」はマイルズ、「ケースワークは死んだ」はパールマンの言葉です。リッチモンドから始まるアメリカのケースワーク史を、1本の流れとして整理します。

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ここで過去問を整理!

第35回 問95
リッチモンドの人物と業績に関する記述のうち、正しいものを2つ選びなさい。

1 ケースワークの専門職として、ニューヨークの慈善組織協会に採用された。

 1 →× ニューヨークではなくボルティモアの慈善組織協会です。
2 ケースワークの体系化に貢献したことから、後にケースワークの母と言われた。

 2 →〇
3 社会的改良を意味する卸売的方法は、個別救済を意味する小売的方法の始点であり終点であると位置づけた。

 3 →× 小売的方法もまた社会環境を改革する一つの形態であると位置づけました。
4 『社会診断』において、ケースワークが社会的証拠の探索と収集を重視することに対して異を唱えた。

 4 →× 『社会診断』で社会的証拠の探索と収集を重視したのがリッチモンドです。
5 『ソーシャル・ケース・ワークとは何か』において、ケースワークを人間と社会環境との間を調整し、パーソナリティを発達させる諸過程と定義した。

 5 →〇

第34回 問92(選択肢)
ハミルトンは、社会科学とのつながりを意識して「リッチモンドに帰れ」と原点回帰を提唱した。
→× マイルズです。

第33回 問98(選択肢)
リッチモンドは、人、状況、人と状況の相互作用という3つの相互関連性を説いた。
→× ホリスの心理社会的アプローチのことです。

すっきり整理

呼ばれ方ケースワークの母
著作『社会診断』(1917年)/『ソーシャル・ケース・ワークとは何か』(1922年)
定義人間と社会環境との間を個別に意識的に調整することを通して、パーソナリティを発達させる諸過程
キーワード社会的証拠の探索と収集/卸売的方法と小売的方法/「リッチモンドに帰れ」(マイルズ・1954年)

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