機能的アプローチ(タフト・ロビンソン)|機関の機能とは?診断主義との違い

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ソーシャルワーク
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機能的アプローチとは

→他のアプローチはこちら
たくさんあるので、読む順番もご紹介しています。

ロビンソン、スモーリー、タフトら機能主義学派によるアプローチです。ランクの意志心理学を理論的な土台として、診断主義とは正反対の立場を取りました。

診断主義が「ワーカーが診断して治す」なら、機能主義は「クライエントには自ら成長する意志の力がある」と考えます。ワーカーの仕事は治療ではなく、クライエントが自分の意志で問題解決に向かえるよう、機関の機能を活用して側面から支援することです。

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キーワードは「機関の機能」「クライエントの意志」

「機関の機能」とは、ワーカーが所属する機関(福祉事務所、相談所など)が持つ役割やサービスのことです。ワーカー個人が何でもやるのではなく、機関の機能という枠組みの中で、クライエントの意志の力を引き出す。これが機能的アプローチの発想です。

また、クライエントが機関を訪れ、援助が始まっていく初期関係におけるソーシャルワーカーの役割を重視します。

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診断主義との対比で理解する

覚えるべきは診断主義との対比です。

診断主義=ワーカーが診断・治療
機能主義=クライエントの意志・機関の機能

国家試験では、機能的アプローチについて次のように出題されました。
○「クライエントのニーズを機関の機能との関係で明確化し、援助過程の中でクライエントの社会的機能の向上を目指す。」(第33回問題101)
○「タフト(Taft, J.)ら機能主義学派は、ソーシャルワーカーが所属する機関の機能に着目し、機関におけるソーシャルワーカーの役割を重視した。」(第32回問題101)
×「問題解決アプローチでは、クライエントのニーズを機関の機能との関係で明確化し、援助過程の中で、社会的機能を高めるための力の解放を焦点とする。」(第35回問題99)→これは問題解決アプローチではなく、機能的アプローチのことです。
×「ユニタリーアプローチでは,ソーシャルワーカーが所属する機関の機能と専門職の役割機能の活用を重視し,クライエントのもつ意志の力を十分に発揮できるよう促すことを目指す。」(第36回問題100)→これはユニタリーアプローチではなく、機能的アプローチのことです。
×問題解決アプローチの説明として「クライエントのもつ主体的な意志の力に注目し,支援機関の活用を図る。」(第37回問題71)→これは問題解決アプローチではなく、機能的アプローチのことです。
×「機能的アプローチでは,4 つのPを実践の構成要素として,クライエントのコンピテンス,動機づけとワーカビリティを高めることを目指す。」(第36回問題100)→これは機能的アプローチではなく、問題解決アプローチのことです。
×「機能的アプローチでは、ターゲット問題を明確化し、クライエントが優先順位をつけ、短期処遇を目指す。」(第35回問題99)→これは機能的アプローチではなく、課題中心アプローチのことです。
×「ランク(Rank, O.)の意志療法は、利用者の過去に着目し、利用者のパーソナリティの構造や自我の働きを捉える診断主義学派の礎となった。」(第32回問題101)→ランクの意志療法は、診断主義学派ではなく、機能主義学派の礎です。

両者がなぜ対立したのか、その後どう収まったのかは、こちらで確認できます。
→診断主義と機能主義はなぜ対立した?|統合までの流れを年表で整理

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過去問を解いてみましょう

第33回問題101

次のうち、ソーシャルワークにおける機能的アプローチに関する記述として、最も適切なものを1つ選びなさい。

1 クライエントが被っている差別や抑圧に対抗するため、既存の制度や政策を批判し、これらの変革を目指す。
2 クライエントとのコミュニケーションを通じ、クライエントのパーソナリティの変容と環境との機能不全の改善を目指す。
3 クライエントのニーズを機関の機能との関係で明確化し、援助過程の中でクライエントの社会的機能の向上を目指す。
4 クライエントの望ましい行動を増加させ、好ましくない行動を減少させることを目指す。
5 クライエントの問題の解決へのイメージに焦点を当て、問題が解決した状態を実現することにより、クライエントの社会的機能の向上を目指す。

解説

1→×差別や抑圧に対抗し、制度や政策の変革を目指すのは、機能的アプローチではなく、フェミニストアプローチなど、抑圧の構造に目を向けるアプローチの考え方です。
2→×これは機能的アプローチではなく、心理社会的アプローチのことです。
3→○クライエントのニーズを機関の機能との関係で明確化するのは、機能的アプローチの説明です。
4→×これは機能的アプローチではなく、行動変容アプローチのことです。
5→×これは機能的アプローチではなく、解決志向アプローチのことです。

第36回問題100

ソーシャルワークのアプローチに関する次の記述のうち,最も適切なものを 1 つ選びなさい。

1 機能的アプローチでは, 4 つのPを実践の構成要素として,クライエントのコンピテンス,動機づけとワーカビリティを高めることを目指す。
2 問題解決アプローチでは,女性にとっての差別や抑圧などの社会的現実を顕在化させ,個人のエンパワメントと社会的抑圧の根絶を目指す。
3 ユニタリーアプローチでは,ソーシャルワーカーが所属する機関の機能と専門職の役割機能の活用を重視し,クライエントのもつ意志の力を十分に発揮できるよう促すことを目指す。
4 実存主義アプローチでは,クライエントが自我に囚われた状態から抜け出すために,他者とのつながりを形成することで,自らの生きる意味を把握し,疎外からの解放を目指す。
5 フェミニストアプローチでは,システム理論に基づいて問題を定義し,ソーシャルワーカーのクライエントに対する教育的役割を重視し,段階的に目的を達成することを目指す。

解説

1→×これは機能的アプローチではなく、問題解決アプローチ(パールマン)のことです。
2→×これは問題解決アプローチではなく、フェミニストアプローチのことです。
3→×これはユニタリーアプローチではなく、機能的アプローチのことです。「機関の機能」と「意志の力」の二つがそろっています。
4→○実存主義アプローチの説明です。
5→×フェミニストアプローチは、女性が受けている差別や抑圧という社会的現実に目を向けるアプローチです。

第35回問題99

ソーシャルワークのアプローチに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

1 行動変容アプローチでは、クライエントの主体的な意思決定や自己選択が重視され、自分の行動と決定によって生きる意味を見いだすことを促す。
2 問題解決アプローチでは、クライエントのニーズを機関の機能との関係で明確化し、援助過程の中で、社会的機能を高めるための力の解放を焦点とする。
3 実存主義アプローチでは、その接触段階で、クライエントの動機づけ・能力・機会についてのソーシャルワーカーからの探求がなされる。
4 ナラティヴアプローチでは、クライエントのドミナントストーリーを変容させることを目指し、オルタナティヴストーリーを作り上げ、人生を再構築するよう促す。
5 機能的アプローチでは、ターゲット問題を明確化し、クライエントが優先順位をつけ、短期処遇を目指す。

解説

1→×これは行動変容アプローチではなく、実存主義アプローチのことです。
2→×これは問題解決アプローチではなく、機能的アプローチのことです。
3→×これは実存主義アプローチではなく、問題解決アプローチのことです。動機づけ・能力・機会は、パールマンが示したものです。
4→○ナラティヴアプローチの説明です。
5→×これは機能的アプローチではなく、課題中心アプローチのことです。

第37回問題71

問題解決アプローチに関する次の記述のうち,最も適切なものを 1 つ選びなさい。

1 クライエントのもつ主体的な意志の力に注目し,支援機関の活用を図る。
2 クライエントの動機づけ,能力,機会を把握して支援を進める。
3 クライエントが直面している危機状況に対して,短期集中的に働きかける。
4 クライエントへの直接的な支援とともに,個人を取り巻く環境に働きかけを行う。
5 クライエントが解決を望む問題について,目標と期限を設定し課題に取り組む。

解説

1→×これは問題解決アプローチではなく、機能的アプローチのことです。
2→○動機づけ・能力・機会を把握するのは、問題解決アプローチです。
3→×これは問題解決アプローチではなく、危機介入アプローチのことです。
4→×これは問題解決アプローチではなく、心理社会的アプローチのことです。
5→×これは問題解決アプローチではなく、課題中心アプローチのことです。

第32回問題101

ソーシャルワーク実践理論の基礎に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

1 ランク(Rank, O.)の意志療法は、利用者の過去に着目し、利用者のパーソナリティの構造や自我の働きを捉える診断主義学派の礎となった。
2 ロス(Ross, M.)のコミュニティ・オーガニゼーション説は、地域における団体間調整の方法としてのインターグループワークを提唱した。
3 ホリス(Hollis, F.)の心理社会的アプローチは、診断主義学派と機能主義学派、両アプローチの折衷アプローチであり、両学派の統合を試みた。
4 タフト(Taft, J.)ら機能主義学派は、ソーシャルワーカーが所属する機関の機能に着目し、機関におけるソーシャルワーカーの役割を重視した。
5 パールマン(Perlman, H.)の問題解決アプローチは、精神分析や自我心理学の理論を否定し、人・状況・その双方の関連性においてケースワークを捉えた。

解説

1→×ランクの意志療法は、診断主義学派ではなく、機能主義学派の礎です。
2→×インターグループワークを提唱したのは、ニューステッターです。
3→×ホリスの心理社会的アプローチは、診断主義の流れをくむアプローチです。両学派の折衷を試みたのは、パールマンです。
4→○機能主義学派の説明です。
5→×パールマンの問題解決アプローチは、自我心理学などの理論を取り入れ、診断主義と機能主義を折衷したものです。

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すっきり整理

項目 内容 提唱者 タフト、ロビンソン、スモーリー(機能主義学派) 理論的な土台 ランクの意志心理学 キーワード 機関の機能 キーワード クライエントの意志の力 キーワード 初期関係の重視 ひとことで 機関にできることと、クライエントの意志を結びつける 過去問をもとに著者が作成した図です。無断転載・複製はご遠慮ください。

ほかのアプローチと、読む順番についての記事はこちら
→ソーシャルワークのアプローチ 記事一覧|読む順番と提唱者・人名

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