ソーシャルワーク専門職のグローバル定義(2014年)|本文・注釈・2000年定義との違い

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グローバル定義の本文

普段はあまりおすすめしていないのですが、この分野については、過去問を先にみてください。「何が問われるのか」を確認してから読んでいただいたほうがわかりやすいと思います。最後に過去問が4年分記載されていますので、確認してから記事全体をお読みください。

ソーシャルワーク専門職のグローバル定義は、2014年にIFSW(国際ソーシャルワーカー連盟)およびIASSW(国際ソーシャルワーク学校連盟)によって採択されました。読みやすいように4つに分けて記載します。

①ソーシャルワークは、社会変革と社会開発、社会的結束、および人々のエンパワメントと解放を促進する、実践に基づいた専門職であり学問である。

②社会正義、人権、集団的責任、および多様性尊重の諸原理は、ソーシャルワークの中核をなす。

③ソーシャルワークの理論、社会科学、人文学、および地域・民族固有の知を基盤として、ソーシャルワークは、生活課題に取り組みウェルビーイングを高めるよう、人々やさまざまな構造に働きかける。

④この定義は、各国および世界の各地域で展開してもよい。

この中の定義の一部が、他の人物や団体の定義と混同して出題される傾向が高いです。次の語が出てきたらグローバル定義と理解しましょう。

・社会変革、社会開発、社会的結束
・エンパワメントと解放
・集団的責任
・地域・民族固有の知

④は「重層的な定義」と呼ばれる部分です。世界共通の大枠を保ちながら、各国・各地域の歴史や文化的背景、社会情勢に合わせて展開してよいとしています。

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注釈が示していること

定義には注釈が付されており、そこからも出題されています。

価値や原則は対立することがある

「多様性の尊重」と「危害を加えないこと」は、実践の場で常に両立するとは限りません。特定の文化的慣習が個人の権利や生命を脅かす場合など、価値や原則が互いに緊張関係に立ち、対立・競合することがあると注釈は示しています。

社会的安定の維持にも関与する

ソーシャルワークは社会変革を任務としますが、社会的安定の維持にも等しく関与するとされています。ただし条件があります。「特定の集団の周縁化・排除・抑圧に利用されない限りにおいて」です。

優先順位は状況によって変わる

実践の焦点は多様であり、優先順位は国や時代、地域の情勢によって変化します。固定されたものではありません。

研究と理論は利用者とともに作られる

ソーシャルワークの研究と理論は、専門家だけで作られたものではなく、サービス利用者との双方向性のある対話的過程を通じて共同で作り上げられてきたとされています。

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知の基盤

2014年定義では、ソーシャルワークが拠って立つ知の範囲が広がりました。

従来のソーシャルワーク理論は西洋を中心に発達してきましたが、この定義では「地域・民族固有の知」が明記されています。西洋の理論だけでなく、その土地や民族に受け継がれてきた知恵や価値観を尊重し、統合していく姿勢が示されました。

また、ソーシャルワークは医学や社会学など特定の単一分野にとどまらず、複数の学問分野と地域・民族固有の知を基盤とします。研究と理論の独自性は、応用性と解放性にあるとされています。

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2000年定義との違い

2000年の定義(旧定義)から何が変わったのかを整理します。

2000年定義2014年グローバル定義
基本のキーワード人間関係における問題解決、社会変革、人々のウェルビーイングの増進社会変革、社会開発、
社会的結束、エンパワメントと解放
中核原理人権、社会正義社会正義、人権、
集団的責任、多様性尊重
知の基盤人間の行動と社会システムに関する理論ソーシャルワークの理論、社会科学、
人文学、地域・民族固有の知
介入の焦点人々がその環境と相互に影響し合う接点人々やさまざまな構造に働きかける
展開規定なし各国および世界の各地域で
展開してもよい

「人間関係における問題解決」「社会システムに関する理論」「環境と相互に影響し合う接点」は、いずれも2000年定義の文言です。

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過去問を解いてみましょう

第33回 問題92(現:ソーシャルワークの基盤と専門職)

次のうち,「ソーシャルワーク専門職のグローバル定義」(2014年)が「ソーシャルワークの定義」(2000年)と比べて変化した内容として,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 人間関係における問題解決を図ることが加えられた。
2 中核をなす原理として,社会の不変性の尊重が容認された。
3 実践の基盤として,社会システムに関する理論の導入が加えられた。
4 定義は,各国及び世界の各地域で展開することが容認された。
5 人々が環境と相互に影響し合う接点に介入することが加えられた。

まとめて解説

1 →× 2000年定義の文言です。
2 →× 中核原理は社会正義、人権、集団的責任、多様性尊重です。
3 →× 2000年定義の文言です。
4 →○ 定義文の④にあたります。
5 →× 2000年定義の文言です。

第35回 問題92(現:ソーシャルワークの基盤と専門職)

次のうち,「ソーシャルワーク専門職のグローバル定義」(2014年)に関する記述として,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 本定義は,各国および世界の各地域を問わず,同一であることが奨励されている。
2 ソーシャルワーク専門職は,社会変革を任務とするとともに社会的安定の維持にも等しく関与する。
3 ソーシャルワークの原則において,マイノリティへの「多様性の尊重」と「危害を加えない」ことは,対立せずに実現可能である。
4 ソーシャルワークの研究と理論の独自性は,サービス利用者との対話的過程とは異なるところで作り上げられてきた。
5 ソーシャルワークの焦点は多様であるが,実践における優先順位は固定的である。

まとめて解説

1 →× 各国および各地域での展開が認められています。
2 →○ ただし、特定の集団の周縁化・排除・抑圧に利用されない限りにおいて、という条件が付されています。
3 →× 対立・競合することがあると注釈に示されています。
4 →× サービス利用者との双方向性のある対話的過程を通じて共同で作られてきたとされています。
5 →× 優先順位は国や時代、地域の情勢によって変化します。

第36回 問題93(現:ソーシャルワークの基盤と専門職)

「ソーシャルワーク専門職のグローバル定義」(2014年)に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 人間尊重,人間の社会性,変化の可能性の3つの価値を前提とした活動である。
2 人,問題,場所,過程を構成要素とする。
3 価値の体系,知識の体系,調整活動のレパートリーを本質的な要素とする。
4 ソーシャルワーク実践は,価値,目的,サンクション,知識及び方法の集合体である。
5 社会変革と社会開発,社会的結束,および人々のエンパワメントと解放を促進する。

まとめて解説

1 →× ブトゥリムの3つの価値前提です。
2 →× パールマンの4つのPです。
3 →× バートレットの本質的な要素です。
4 →× 全米ソーシャルワーカー協会の作業定義です。
5 →○ 定義文の①にあたります。

第37回 問題65

「ソーシャルワーク専門職のグローバル定義」(2014年)におけるソーシャルワークの知(Knowledge)に関する次の記述のうち,適切なものを2つ選びなさい。

1 ソーシャルワークの理論的基盤及び研究は,専ら医学の知見に基づいて構成されている。
2 ソーシャルワークの研究と理論の独自性は,閉鎖性と応用性にある。
3 人々と作り上げてきたソーシャルワークの知は,それぞれの国や各地域においても,また国を越えて普遍的に,それぞれの形で,より適切に実践されることになる。
4 ソーシャルワークの知は,西洋の理論や知識を根拠としたものであることが期待されている。
5 多くのソーシャルワーク研究と理論は,サービス利用者との双方向性のある対話的過程を通して共同で作られている。

まとめて解説

1 →× 複数の学問分野と地域・民族固有の知を基盤としています。
2 →× 独自性は応用性と解放性にあるとされています。
3 →○
4 →× 西洋中心の理論への批判が、地域・民族固有の知を明記した背景にあります。
5 →○

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