解決志向アプローチ(ド・シェイザー)|ミラクル・クエスチョンとスケーリング・クエスチョン

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ソーシャルワーク
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解決志向アプローチとは

→他のアプローチはこちら
たくさんあるので、読む順番もご紹介しています。

解決志向アプローチは、ド・シェイザー(de Shazer, S.)とバーグ(Berg, I. K.)らが示したものです。名前のとおり、解決に向けて将来に焦点を当てる考え方です。そのため、問題の原因を追求したり、過去を振り返ったり、なぜそうなったのかを掘り下げたりしません。

支援者が何かを与えるのではなく、クライエントがすでに持っている力や周りの人などのリソースを活用します。問題が解決した状態を思い描き、それを実現していくことで、クライエントの社会的機能の向上につなげます。

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質問の技法

解決志向アプローチには、特徴的な質問の技法が4つあります。

ミラクル・クエスチョン

ミラクル・クエスチョンは、問題が解決した状態を、クライエントに具体的に思い描いてもらう問いかけです。ド・シェイザーやバーグは、この問いかけを「ある晩、眠っている間に奇跡が起きて、問題がすっかり解決したとしたら」という形で示しました。

「もし奇跡が起こって、何もかもうまくいくとしたら、どうなると思いますか」
「問題が解決したら、どのようなことにチャレンジしたいですか」

スケーリング・クエスチョン

スケーリング・クエスチョンは、現在の状態を数字で表してもらう問いかけです。

「最悪な状況が0、何もかも解決したのが10だとしたら、今は何点になりますか」

コーピング・クエスチョン

コーピング・クエスチョンは、うまくいっていない中でも、クライエントが自分の強みに気づくように促す問いかけです。

「その状況で、どうやってやってこられたのですか」
「その大変な状況の中で、どのように対応されたのですか」

エクセプション・クエスチョン

エクセプション(exception)は「例外」という意味です。同じ状態がずっと続いているように見えても、少し状態がよかった日や、普段できないことができた日があります。エクセプション・クエスチョンは、それを例外的な状況と捉え、そのときどのような状況だったか、どのような一日だったか、何をしていたのかを尋ねる問いかけです。

「少しでも楽だった日はありましたか。その日は、どんな一日でしたか」
「学校に行くことができた日は、どんな一日でしたか」

面接の中で使う質問や応答の技法についての記事はこちら
→ソーシャルワークの面接技法|明確化・焦点化・言い換え・要約の違いを一つの場面で整理

国家試験では、解決志向アプローチについて次のように出題されました。
○「解決志向アプローチは、クライエントが抱く解決のイメージを尊重し、その実現に向けてクライエントの社会的機能を高めることを目指す。」(第31回問題103)
×機能的アプローチの説明として「クライエントの問題の解決へのイメージに焦点を当て、問題が解決した状態を実現することにより、クライエントの社会的機能の向上を目指す。」(第33回問題101)→これは機能的アプローチではなく、解決志向アプローチのことです。
×ジャーメインによるエコロジカルアプローチの特徴として「問題の原因を追求するよりもクライエントの解決イメージを重視する。」(第34回問題99)→これはエコロジカルアプローチではなく、解決志向アプローチのことです。

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過去問を解いてみましょう

第36回問題115

事例を読んで,Aスクールソーシャルワーカー(社会福祉士)の解決志向アプローチに基づく問いかけとして,適切なものを2つ選びなさい。
〔事 例〕
Bさん(高校1年生)は,父親,弟(小学4年生),妹(小学1年生)の4人家族である。父親は長距離トラックの運転手で,Bさんは長女として家事と弟妹の世話を引き受けている。ある日,Aスクールソーシャルワーカーに,「家族のためにやれることをやるのは当然だし,喜んでもらえるのもうれしい。でも毎日勉強とバイトと家事で精一杯。これ以上はもう無理かも…」とつぶやいた。AはこれまでのBさんの頑張りをねぎらいながら,以下の問いかけをした。

1 「もし奇跡が起こって何もかもうまくいくとしたら,どうなると思いますか?」
2 「最悪な状況を0,何もかも解決したのが10なら,今は何点になりますか?」
3 「Bさんが『もう無理かも』と思ったのは,どのようなときですか?」
4 「Bさんが想像する,最悪の事態はどのようなものでしょうか?」
5 「今,Bさんが抱える状況の根本の原因は何だと思いますか?」

解説

1→○ド・シェイザーやバーグが示した形のミラクル・クエスチョンです。
2→○スケーリング・クエスチョンです。
3→×つらかった場面を尋ねています。解決した状態には向かっていません。
4→×最悪の事態を思い描いてもらうのは、解決した状態を思い描くのとは正反対です。
5→×根本の原因を尋ねています。解決志向アプローチは原因を追求しません。

第34回問題99

次の記述のうち、ジャーメイン(Germain, C.)によるエコロジカルアプローチの特徴として、最も適切なものを1つ選びなさい。

1 空間という場や時間の流れが、人々の価値観やライフスタイルに影響すると捉える。
2 モデルとなる他者の観察やロールプレイを用いる。
3 クライエントのパーソナリティの治療改良とその原因となる社会環境の改善を目的とする。
4 問題の原因を追求するよりもクライエントの解決イメージを重視する。
5 認知のゆがみを改善することで、感情や行動を変化させ、問題解決を図る。

解説

1→○エコロジカルアプローチは、人と環境の交互作用を、空間と時間の流れの中で捉えます。
2→×他者を観察してまねる(モデリング)のは、行動変容アプローチなどで使われる方法です。
3→×パーソナリティの治療改良を目的とするのは、診断主義の流れをくむ考え方です。
4→×原因の追求より解決イメージを重視するのは、解決志向アプローチです。名前だけ入れ替えられています。
5→×認知のゆがみを改善するのは、認知行動療法の考え方です。

第33回問題101

次のうち、ソーシャルワークにおける機能的アプローチに関する記述として、最も適切なものを1つ選びなさい。

1 クライエントが被っている差別や抑圧に対抗するため、既存の制度や政策を批判し、これらの変革を目指す。
2 クライエントとのコミュニケーションを通じ、クライエントのパーソナリティの変容と環境との機能不全の改善を目指す。
3 クライエントのニーズを機関の機能との関係で明確化し、援助過程の中でクライエントの社会的機能の向上を目指す。
4 クライエントの望ましい行動を増加させ、好ましくない行動を減少させることを目指す。
5 クライエントの問題の解決へのイメージに焦点を当て、問題が解決した状態を実現することにより、クライエントの社会的機能の向上を目指す。

解説

1→×差別や抑圧に対抗し、制度や政策の変革を目指すのは、フェミニストアプローチなどの考え方です。
2→×パーソナリティの変容と環境との機能不全の改善を目指すのは、心理社会的アプローチです。
3→○機能的アプローチは、機関の機能を活用し、クライエントの意志の力を発揮できるよう促します。
4→×望ましい行動を増やし、好ましくない行動を減らすのは、行動変容アプローチです。
5→×解決へのイメージに焦点を当て、解決した状態を実現するのは、解決志向アプローチです。

第30回問題101

Cさん(9歳)は不登校であり、ソーシャルワーカーが自宅を訪問した。登校できる日が徐々に減ってきている。「行きたいと思っているが、朝起きると体が動かず、登校することができない」と言っている。解決志向アプローチに基づく対応として、適切なものを1つ選びなさい。

1 学校に行くことができない原因の分析を行う。
2 変える必要のある考え方や行動について伝える。
3 家族の問題の克服を目指す。
4 学校に行き、授業を受ける必要性を強く意識させる。
5 学校に行くことができた日の状況や行動に焦点を当てる。

解説

1→×原因の分析は行いません。
2→×支援者が変えるべき点を指示する形になっています。解決志向アプローチは、クライエントがすでに持っている力を活用します。
3→×家族の問題に焦点を移しています。
4→×必要性を意識させることは、解決した状態を思い描いてもらうこととは別です。
5→○学校に行くことができた日に焦点を当てる、エクセプション・クエスチョンの考え方です。

第29回問題100

解決志向アプローチに関する記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。

1 問題の原因の追求よりも、クライエントのリソースを活用することを重視する。
2 ヒューマンシステムを言語システムとして捉える。
3 対話を、専門家ネットワークと個人的ネットワークの間に生まれるものと捉える。
4 個人と環境の継続的な相互作用により、変化が起こると考える。
5 クライエントが自分の人生を描き出す対話のパートナーとなる。

解説

1→○解決志向アプローチは、問題の原因を追求せず、将来を見据えて、クライエントのリソースを活用します。
2→×ヒューマンシステムを言語システムとして捉えるのは、コラボレイティヴ・アプローチなど、対話そのものを軸にする立場の考え方です。
3→×対話が専門家ネットワークと個人的ネットワークの間に生まれると捉えるのも、対話そのものを軸にする立場の考え方です。
4→×個人と環境の継続的な相互作用に着目するのは、エコロジカルアプローチです。
5→×クライエントが自分の人生を描き出す対話のパートナーとなるのは、ナラティヴアプローチの説明です。

第31回問題103

ソーシャルワークのアプローチに関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。

1 解決志向アプローチは、クライエントが抱く解決のイメージを尊重し、その実現に向けてクライエントの社会的機能を高めることを目指す。
2 行動変容アプローチは、クライエントが、置かれている否定的な抑圧状況を認識し、自らの能力に気付き、その能力を高め、問題に対処することを目指す。
3 エンパワメントアプローチは、行動を学習の結果として捉え、正しく学習することにより問題行動を消去することを目指す。
4 フェミニストアプローチは、クライエント自らが問題を解決するための課題を設定し、あらかじめ決められた期間の中で課題を達成することを目指す。
5 課題中心アプローチは、クライエントが自らの人生のストーリーを理解し、新たなストーリーに書き換えていくことを目指す。

解説

1→○解決志向アプローチの説明です。
2→×これは行動変容アプローチではなく、エンパワメントアプローチのことです。
3→×これはエンパワメントアプローチではなく、行動変容アプローチのことです。
4→×これはフェミニストアプローチではなく、課題中心アプローチのことです。
5→×これは課題中心アプローチではなく、ナラティヴアプローチのことです。

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すっきり整理

項目 内容 提唱者 ド・シェイザー、バーグ キーワード 原因の追求より解決のイメージ キーワード クライエントのリソースの活用 質問の技法 ミラクル・クエスチョン、スケーリング・クエスチョン 質問の技法 コーピング・クエスチョン、エクセプション・クエスチョン ひとことで なぜそうなったかではなく、解決した状態から考える 過去問をもとに著者が作成した図です。無断転載・複製はご遠慮ください。

ほかのアプローチと、読む順番についての記事はこちら
→ソーシャルワークのアプローチ 記事一覧|読む順番と提唱者・人名

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