手段的事例と固有事例の見分け方|分かれるのは目的ではなく対象

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手段的事例と固有事例

事例分析の対象は、手段的事例と固有事例の2つに分けられます。第36回問題113で出題されました。

固有事例は、その事例そのものを理解するために分析します。目の前のクライエントに何が起きているのか、これからどう支援するのかを考えるために取り上げます。

手段的事例は、ある問題やテーマを学ぶための素材として分析します。関心があるのはその問題のほうで、事例はそれを理解するために使われます。

英語では固有事例が intrinsic、手段的事例が instrumental です。
intrinsic は「それ自体に関心がある」、instrumental は「何かを知るための道具」という意味です。

「手段的」という言葉の使い方に注意

この2つは、分析の目的で分けられていると読めます。
色々なテキストを読んでいると、支援対象者のために分析するなら固有事例、それ以外の目的が含まれるなら手段的事例、というように読めてしまいます。

目の前のクライエントについて分析している時には「固有事例」として迷いませんが、少しでもその分析結果が他者にも応用できる要素が含まれていると、「手段的事例」なのでは?と見えてしまいそうです。

「手段」か「固有」かが分かれるのは目的ではなく対象

2つを分けているのは、何のために分析するか(目的)ではなく、何を分析するかです。

ソーシャルワーカーが実際に担当している事例を取り上げるなら、固有事例です。その目的が
・支援の方向性を考えるためでも
・新人を指導するためでも
・成功要因を明らかにするためでも
・複雑困難な事例についての分析をする場合でも
分析の対象は、あくまでも担当している固有の事例だからです。

一方、ある問題をテーマとして掲げ、それを理解するために事例を取り上げるなら、手段的事例です。
担当している誰かの事例ではなく、そのテーマに当てはまる事例が選ばれます。
例えば、支援に否定的な高齢者に対してどのような対応をすべきかという研修を実施することになりました。そこで、過去の困難事例などをピックアップし、研修の教材として使われる事例が、これにあたります。

事例が主役なら固有事例、事例が脇役(テーマを理解するための素材として使われている)なら手段的事例、と言い換えることもできます。

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過去問を確認しましょう

第36回問題113

事例分析の対象を手段的事例と固有事例に分けたとき,手段的事例の例として,最も適切なものを 1 つ選びなさい。

1 ソーシャルワーカーが担当しているクライエントの支援において,今後の方向性を考えるために,クライエントと共に事例分析をした。
2 新人のソーシャルワーカーが担当しているクライエントの支援過程について,指導的立場のソーシャルワーカーと一緒に,事例分析をした。
3 ソーシャルワーカーが担当している事例で,支援結果が良好なものがあったので,その要因を明らかにするため,事例分析をした。
4 ソーシャルワーカーが担当している事例で,複雑な問題を抱え支援が困難なクライエントがおり,事例分析をした。
5 ソーシャルワーカーが担当している地区で,高齢者から振り込め詐欺に関する相談が頻繁にあるため,研修を目的とした事例分析をした。

解説

選択肢1から4は、いずれもソーシャルワーカーが担当している事例を分析しています。分析の目的はそれぞれ違いますが、対象が担当事例である点は共通しています。

正答は5です。

1→× 担当しているクライエントの支援について分析しています。固有事例です。
2→× 新人が担当しているクライエントの支援過程を分析しています。指導のために行っていますが、対象は担当事例です。固有事例です。
3→× 担当している事例の成功要因を分析しています。支援そのもののための分析ではありませんが、対象は担当事例です。固有事例です。
4→× 担当している事例を分析しています。固有事例です。
5→○ 振り込め詐欺という問題をテーマにして、研修のために分析しています。事例は、その問題を学ぶための素材として使われています。手段的事例です。

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