家族システムアプローチ|ハートマン・円環的因果律・境界を整理

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家族システムアプローチとは

家族システムアプローチは、ハートマンが提唱しました。家族を、個人が集まったものとしてではなく、それ自体が1つのシステムとして捉えます。

従来の見方では、家族の中に問題を起こしている人がいると考え、その人に働きかけて解決を目指しました。家族システムアプローチはそこを転換します。問題は家族の誰かにあるのではなく、家族というシステム全体のあり方から生じている、と捉えるのです。

システム理論そのものについては、こちらで確認できます。
システム理論|ホメオスタシス・開放システム

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家族システムアプローチの考え方

押さえておきたい点は5点です。

家族全体の問題として捉える

家族の中の誰かを原因と見なしません。問題として表れている行動は、その人個人の性質から出てきたものではなく、家族全体の関係のあり方が形になったものだと考えます。

そのため、問題を抱えているように見える人を、問題そのものではなく、家族の状態を示している存在として捉えます。この人をIP(Identified Patient、患者とみなされた人)と呼びます。あくまで「みなされた」であって、その人が原因だという意味ではありません。

相互関係性から捉える

家族員は互いに影響を与え合っています。ある人の行動が別の人の反応を引き出し、その反応がまた最初の人の行動に返っていきます。個人を1人ずつ切り離して見るのではなく、その間で起きているやりとりを見ます。

円環的因果律

原因があって結果が生まれる、という直線的な見方をとりません。原因と結果が円を描いて循環していると考えます。

たとえば、母親が心配して声をかける、子どもが鬱陶しいと感じて黙る、母親がさらに心配して声をかける、という繰り返しが起きているとき、どちらが原因でどちらが結果かを決めることはできません。互いが互いの原因になっています。この見方を円環的因果律といいます。

家族の力は相互作用によって変化する

家族が持っている力は、固定されたものではありません。家族員どうしのやりとりが変われば、家族全体の力も変わります。したがって支援は、誰か1人を変えることではなく、家族の中で起きているやりとりに働きかけることになります。

家族は境界を持つ

家族は1つの独立したシステムを形成しており、家族の内と外は区別されます。この区切りを境界といいます。境界が閉じすぎていれば外からの支援が届かず、開きすぎていればまとまりを保てません。境界がどうなっているかを見ることも、支援の手がかりになります。

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ジェノグラムとエコマップ

家族を捉えるために使う図が2点あります。

ジェノグラムは、三世代程度の家族関係を示す図です。世代をさかのぼって、家族の中で繰り返されてきたパターンを読み取れます。

エコマップは、ハートマンが開発した図です。クライエントとその家族を中心に置き、周囲の人や機関との関係を線で結んで示します。家族の外側とのつながりが見えるので、境界の状態や、活用できる社会資源を確認できます。

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過去問を確認しましょう

第36回問題98

ソーシャルワーク実践におけるシステム理論の考え方に関する次の記述のうち,最も適切なものを 1 つ選びなさい。

1 ピンカス(Pincus, A.)とミナハン(Minahan, A.)の実践モデルにおけるターゲットシステムは,目標達成のために,ソーシャルワーカーと協力していく人々を指す。
2 開放システムの変容の最終状態は,初期条件によって一義的に決定される。
3 システムには,他の要素から正負のフィードバックを受けることで,自己を変化・維持させようとする仕組みがある。
4 クライエントの生活上の問題に関し,問題を生じさせている原因と結果の因果関係に着目する。
5 家族の問題に対して,課題を個々の家族員の次元で捉え,個々人に焦点を当てたサービスを提供する。

解説

正答は3です。
1→× ソーシャルワーカーと協力していく人々はアクションシステムです。ターゲットシステムは、目標を達成するために変化を必要とする人々を指します。
2→× 開放システムでは、出発点が異なっていても同じ状態にたどり着くことがあります。初期条件で一義的に決まるわけではありません。
3→○ 記述のとおりです。
4→× 家族システムアプローチでは、原因と結果を直線的に結びつけず、円環的に循環していると捉えます。
5→× 家族の問題を個々の家族員の次元で捉えるのは、家族システムアプローチとは逆の見方です。家族全体を1つのシステムとして捉えます。

第38回問題71

ハートマン(Hartman, A.)によって開発されたエコマップに関する次の記述のうち,適切なものを 2 つ選びなさい。

1 クライエントを含む生態系システムとその境界を可視化することができる。
2 介入前後の変化を確認するツールとして活用できる。
3 関係性を強く示す線は,破線で記すことで関係性の濃淡を視覚的に捉えられる。
4 クライエントの状態をいくつかの典型例に分類することで,クライエントのニーズを把握できる。
5 これまでの複雑な家族ダイナミクスの展開を理解することができる。

解説

正答は1と2です。
1→○ 記述のとおりです。エコマップは家族とその外側との関係を図にするので、境界が見えます。
2→○ 支援の前後で描き比べることで、関係の変化を確認できます。
3→× 関係性の強さは太い線や実線で表します。破線は弱い関係を示します。
4→× 典型例に分類するものではありません。個別の関係をそのまま図にします。
5→× 世代をさかのぼって家族のパターンを読み取るのはジェノグラムです。

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すっきり整理

提唱者ハートマン(Hartman, A.)
基本の捉え方家族の誰かが原因ではなく、家族全体を1つのシステムとして捉える
IP問題を抱えているとみなされた人。原因ではなく、家族の状態を示す存在
円環的因果律原因と結果を直線で結ばず、循環していると捉える
家族の力固定されたものではなく、家族員の相互作用によって変化する
境界家族は独立したシステムを形成し、内と外が区別される
使う図ジェノグラム(世代をさかのぼる)/エコマップ(外とのつながり)

システム理論そのものについては、こちらで確認できます。
システム理論|ホメオスタシス・開放システム

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