今回は「行動変容アプローチ」です。自信をもって解けるように、キーワードを整理していきましょう。この記事は「頻出!相談援助のアプローチシリーズ」の一つです。
全体像と各記事へのリンクはこちら(記事の一覧表)からどうぞ。
行動変容アプローチとは
行動変容アプローチは、トーマスらが学習理論(行動理論)をケースワークに導入したものです。
発想はシンプルです。問題行動は、生まれつきでも心の奥の病でもなく、学習されたもの。学習されたものなら、学習し直せる。条件づけの原理を使って、望ましくない行動を減らし、望ましい行動を増やしていこうとするアプローチです。
着目するのは、心の内面(目に見えない)ではなく、行動(観察可能)です。心の中は外から観察できませんが、行動は観察できて、変えていける。だから原因を掘り下げずに、今、目の前で起きている行動のほうを見ていきます。
行動をどう変えるか
やり方は、行動の前後を見ることから始まります。
①ある行動の前に何があったか(先行条件)
②その行動の後に何が起きたか(結果)
この仕組みを分析します。
たとえば、子どもがスーパーで大声で騒いでいるとします。よく見ると、騒ぐのは決まって親がスマホを見ているときでした(①きっかけ/先行条件)。そして騒ぐと、親が慌てて「静かにして」と何度もかまってくれます(②結果)。子どもにとっては「親がかまってくれないときに騒げば、注目してもらえる」ことになります。だから、また騒ぐわけです。
なぜ騒ぐのか、この仕組みが見えれば、対応の仕方を考えることができます。望ましい行動が現れたとき(静かに待てたとき)にほめて、その行動を増やし(強化)、望ましくない行動には注目しないようにして減らしていく(消去)ことを目指すのです。
行動と結果を意図的に結びつけていく、条件づけの考え方が土台になっています。
スモールステップで段階的に進めるのも特徴です。
ここで過去問を整理!
第36回 問101
知的障害があるFさんは、作業中に興味のあるものがあると席を立って外に出てしまうことや、床に寝転がるなどの行動がたびたびあった。寝転がっているところに起き上がろうと声かけを行うと、引っ張りっこになっていた。Fさんのこれらの行動は、職員や仲間からの注目・関心を集めていた。そこで社会福祉士のEは、Fさんが席に座って作業を継続することを目標行動にして、支援を開始した。行動変容アプローチに基づく対応として、適切なものを1つ選びなさい。
1 何かに気を取られて席を立つたびに、報酬を与える。
2 支援を始めて1か月後に目標行動の変化を評価し、ベースラインをつける。
3 不適切行動のモデリングとして、職員が寝転がってみせる。
4 作業が継続できるたびにベルを鳴らし、ベルの音と作業を条件づける。
5 寝転がる前の先行条件、寝転がった後の結果といった、行動の仕組みを分析する。
→正答は5
第35回 問99
行動変容アプローチでは、クライエントの主体的な意思決定や自己選択が重視され、自分の行動と決定によって生きる意味を見出すことを促す。
→× 実存主義アプローチの説明です。
第33回 問101
クライエントの望ましい行動を増加させ、好ましくない行動を減少させることを目指すのは、機能的アプローチである。
→× 行動変容アプローチのことです。
第31回 問103
エンパワメントアプローチは、行動を学習の結果として捉え、正しく学習することにより問題行動を消去することを目指す。
→× 行動変容アプローチのことです。
第30回 問103
エンパワメントアプローチとは、観察可能な行動として問題を捉え、行動に影響する諸条件を操作することにより行動変容させることである。
→× 行動変容アプローチのことです。
すっきり整理
| 提唱者 | トーマス |
| 土台 | 学習理論(行動理論) |
| キーワード | 観察できる行動/先行条件と結果の分析/強化と消去/条件づけ |
| ひとことで | 行動は学習されたもの。だから学習し直せる |
この記事は「頻出!相談援助のアプローチシリーズ」の一つです。

コメント