行動変容アプローチとは
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たくさんあるので、読む順番もご紹介しています。
行動変容アプローチは、トーマスらが学習理論(行動理論)をケースワークに導入したものです。
発想はシンプルです。問題行動は、生まれつきでも心の奥の病でもなく、学習されたもの。学習されたものなら、学習し直せる。条件づけの原理を使って、望ましくない行動を減らし、望ましい行動を増やしていこうとするアプローチです。
着目するのは、心の内面ではなく、観察できる行動です。心の中は外から観察できませんが、行動は観察できて、変えていける。だから原因を掘り下げずに、今、目の前で起きている行動のほうを見ていきます。
行動をどう変えるか
やり方は、行動の前後を見ることから始まります。見るのは2点です。
ある行動の前に何があったか(先行条件)
その行動の後に何が起きたか(結果)
たとえば、子どもがスーパーで大声で騒いでいるとします。よく見ると、騒ぐのは決まって親がスマホを見ているときでした。これが先行条件です。そして騒ぐと、親が慌てて「静かにして」と何度も声をかけてくれます。これが結果です。子どもにとっては「親がかまってくれないときに騒げば、注目してもらえる」ことになります。だから、また騒ぐわけです。
なぜ騒ぐのか、この仕組みが見えれば、対応の仕方を考えることができます。望ましい行動が現れたとき、たとえば静かに待てたときにほめて、その行動を増やします。これが強化です。望ましくない行動には注目しないようにして減らしていきます。これが消去です。
行動と結果を意図的に結びつけていく、条件づけの考え方が土台になっています。スモールステップで段階的に進めるのも特徴です。
国家試験では、行動変容アプローチについて次のように出題されました。
×「行動変容アプローチでは、クライエントの主体的な意思決定や自己選択が重視され、自分の行動と決定によって生きる意味を見いだすことを促す。」(第35回問題99)→これは行動変容アプローチではなく、実存主義アプローチのことです。
×「エンパワメントアプローチは、行動を学習の結果として捉え、正しく学習することにより問題行動を消去することを目指す。」(第31回問題103)→これはエンパワメントアプローチではなく、行動変容アプローチのことです。
×「行動変容アプローチは、クライエントが、置かれている否定的な抑圧状況を認識し、自らの能力に気付き、その能力を高め、問題に対処することを目指す。」(第31回問題103)→これは行動変容アプローチではなく、エンパワメントアプローチのことです。
×機能的アプローチの説明として「クライエントの望ましい行動を増加させ、好ましくない行動を減少させることを目指す。」(第33回問題101)→これは機能的アプローチではなく、行動変容アプローチのことです。
過去問を解いてみましょう
第36回問題101
事例を読んで,就労継続支援B型事業所のE職員(社会福祉士)が,クライエントに危険が及ぶような行動を減らすために,行動変容アプローチを応用して行う対応として,最も適切なものを 1 つ選びなさい。
〔事 例〕
知的障害があるFさん(20 歳)は,作業中に興味があるものが目に入ると勢いよく外に飛び出してしまうことや,作業時間中でも床に寝転がること等の行動が度々あった。寝転がっているところに起き上がるよう声かけを行うと,引っ張り合いになっていた。Fさんのこれらの行動は,職員や仲間からの注目・関心を集めていた。そこで,Eは,Fさんが席に座って作業を継続することを目標行動にして支援を開始した。
1 Fさんが何かに気を取られて席を立つたびに,報酬を与える。
2 支援を始めて 1 か月後に,目標行動の変化を評価しベースラインをつける。
3 不適切行動のモデリングとして,職員が寝転がって見せる。
4 作業が継続できるたびにベルを鳴らし,ベルの音と作業を条件づける。
5 寝転がる前の先行条件,寝転がった後の結果といった行動の仕組みを分析する。
解説
1→× 席を立つという減らしたい行動に報酬を与えると、その行動が強化されます。逆の対応です。
2→× ベースラインは支援を始める前に測っておくものです。1か月後につけるのでは、変化を比べる基準になりません。
3→× モデリングは望ましい行動を示して学んでもらう方法です。不適切行動を見せるのは逆になります。
4→× 目標行動が起きたときにベルを鳴らすだけでは、行動の仕組みを踏まえた支援になりません。
5→○ 先行条件と結果を分析することが、行動変容アプローチの出発点です。
第35回問題99
ソーシャルワークのアプローチに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 行動変容アプローチでは、クライエントの主体的な意思決定や自己選択が重視され、自分の行動と決定によって生きる意味を見いだすことを促す。
2 問題解決アプローチでは、クライエントのニーズを機関の機能との関係で明確化し、援助過程の中で、社会的機能を高めるための力の解放を焦点とする。
3 実存主義アプローチでは、その接触段階で、クライエントの動機づけ・能力・機会についてのソーシャルワーカーからの探求がなされる。
4 ナラティヴアプローチでは、クライエントのドミナントストーリーを変容させることを目指し、オルタナティヴストーリーを作り上げ、人生を再構築するよう促す。
5 機能的アプローチでは、ターゲット問題を明確化し、クライエントが優先順位をつけ、短期処遇を目指す。
解説
1→×これは行動変容アプローチではなく、実存主義アプローチのことです。
2→×これは問題解決アプローチではなく、機能的アプローチのことです。
3→×これは実存主義アプローチではなく、問題解決アプローチのことです。動機づけ・能力・機会は、パールマンが示したものです。
4→○ナラティヴアプローチの説明です。
5→×これは機能的アプローチではなく、課題中心アプローチのことです。
第33回問題101
次のうち、ソーシャルワークにおける機能的アプローチに関する記述として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 クライエントが被っている差別や抑圧に対抗するため、既存の制度や政策を批判し、これらの変革を目指す。
2 クライエントとのコミュニケーションを通じ、クライエントのパーソナリティの変容と環境との機能不全の改善を目指す。
3 クライエントのニーズを機関の機能との関係で明確化し、援助過程の中でクライエントの社会的機能の向上を目指す。
4 クライエントの望ましい行動を増加させ、好ましくない行動を減少させることを目指す。
5 クライエントの問題の解決へのイメージに焦点を当て、問題が解決した状態を実現することにより、クライエントの社会的機能の向上を目指す。
解説
1→×差別や抑圧に対抗し、制度や政策の変革を目指すのは、機能的アプローチではなく、フェミニストアプローチなど、抑圧の構造に目を向けるアプローチの考え方です。
2→×これは機能的アプローチではなく、心理社会的アプローチのことです。
3→○クライエントのニーズを機関の機能との関係で明確化するのは、機能的アプローチの説明です。
4→×これは機能的アプローチではなく、行動変容アプローチのことです。
5→×これは機能的アプローチではなく、解決志向アプローチのことです。
第31回問題103
ソーシャルワークのアプローチに関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 解決志向アプローチは、クライエントが抱く解決のイメージを尊重し、その実現に向けてクライエントの社会的機能を高めることを目指す。
2 行動変容アプローチは、クライエントが、置かれている否定的な抑圧状況を認識し、自らの能力に気付き、その能力を高め、問題に対処することを目指す。
3 エンパワメントアプローチは、行動を学習の結果として捉え、正しく学習することにより問題行動を消去することを目指す。
4 フェミニストアプローチは、クライエント自らが問題を解決するための課題を設定し、あらかじめ決められた期間の中で課題を達成することを目指す。
5 課題中心アプローチは、クライエントが自らの人生のストーリーを理解し、新たなストーリーに書き換えていくことを目指す。
解説
1→○解決志向アプローチの説明です。
2→×これは行動変容アプローチではなく、エンパワメントアプローチのことです。
3→×これはエンパワメントアプローチではなく、行動変容アプローチのことです。
4→×これはフェミニストアプローチではなく、課題中心アプローチのことです。
5→×これは課題中心アプローチではなく、ナラティヴアプローチのことです。
すっきり整理
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→ソーシャルワークのアプローチ 記事一覧|読む順番と提唱者・人名


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