課題中心アプローチを解説(リード・エプスタイン)問題解決アプローチとの違い

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ソーシャルワーク
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課題中心アプローチとは

→他のアプローチはこちら
たくさんあるので、読む順番もご紹介しています。

課題中心アプローチは、リードとエプスタインが1972年に示したものです。当時のケースワークは、長期にわたるのが当たり前でした。ところがリードとシャインが実証研究をしたところ、短期の処遇と長期の処遇を比べても短期は劣らない、という結果が出ます。1969年のことです。短くても成果は変わらない。この結果が、期間を区切るという発想の土台になりました。

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期間を区切る

特徴は、支援期間を短期に設定すること、処遇目標や面接の回数を決めることです。あれもこれもとなって、何に取り組んでいるのか曖昧になるのを防ぎ、解決すべき問題を絞って短期で取り組みます。

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問題解決アプローチとの違い

名前が似ているので、問題解決アプローチと混同しやすいところです。

問題解決アプローチが見ているのは「人」です。ワーカビリティ、つまり本人が問題に取り組む力に働きかけます。
課題中心アプローチが見ているのは「課題」です。解決可能な具体的課題を選んで、期限を決めて取り組みます。

人の力に働きかけるパールマン、解決可能な「課題」に取り組むリード、という対比になります。

パールマンの問題解決アプローチを表す言葉は、4つのP、ワーカビリティ(動機づけ・能力・機会)です。リードとエプスタインの課題中心アプローチを表す言葉は、期限、面接の回数、具体的な目標です。

→問題解決アプローチ(パールマン)|4つのPとワーカビリティ(MCOモデル)

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どんな課題を扱うか

対象になるのは、クライエント自らの努力で解決できる可能性がある、具体的な生活課題です。大きな問題をそのまま抱えるのではありません。取り組める大きさに分けて、具体的な形にしていきます。解決が難しい問題を選んで長く付き合うのとは、逆の考え方です。

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課題は本人が決める

クライエントが解決を望んでいる問題に焦点を当てます。支援者が専門的な観点から「これが一番大事だ」と選ぶのではありません。クライエントと協働して課題を設定します。

仮に専門職から見て重要でも、本人が取り組む気になっていない課題は扱いません。取り組むのは本人だからです。

過去に遡らない

精神分析的なアセスメントで問題の原因を究明したりしません。見るのは「今」です。目の前にある課題に焦点を当てて、そこから動きます。

リッチモンドの社会診断やホリスの心理社会的アプローチは、問題の背景を丁寧に見ていく立場です。課題中心アプローチは、背景や過去の原因追及ではなく「今」を見るのが特徴になります。

国家試験では、課題中心アプローチについて次のように出題されました。
○「リード(Reid, W.)とエプスタイン(Epstein, L.)の課題中心アプローチは、クライエントが解決を望む問題を吟味し、計画的に取り組む短期支援である。」(第34回問題100)
○「支援期間を短期に設定し、処遇目標や面接の回数などを明確化する。」(第30回問題102)
×「課題中心アプローチでは,支援者が専門的な観点から優先順位が高いと判断した課題に焦点を当てて解決する。」(第38回問題122)→取り組む課題を選ぶのは、支援者ではなくクライエントです。
×問題解決アプローチの説明として「クライエントが解決を望む問題について,目標と期限を設定し課題に取り組む。」(第37回問題71)→これは問題解決アプローチではなく、課題中心アプローチのことです。
×「機能的アプローチでは、ターゲット問題を明確化し、クライエントが優先順位をつけ、短期処遇を目指す。」(第35回問題99)→これは機能的アプローチではなく、課題中心アプローチのことです。
×「フェミニストアプローチは、クライエント自らが問題を解決するための課題を設定し、あらかじめ決められた期間の中で課題を達成することを目指す。」(第31回問題103)→これはフェミニストアプローチではなく、課題中心アプローチのことです。
×「課題中心アプローチは、クライエントが自らの人生のストーリーを理解し、新たなストーリーに書き換えていくことを目指す。」(第31回問題103)→これは課題中心アプローチではなく、ナラティヴアプローチのことです。

過去問を解いてみましょう

第34回問題100

ソーシャルワークのアプローチに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

1 ソロモン(Solomon, B.)のエンパワメントアプローチは、人の自我機能に着目し、自己対処できないほどの問題に直面しバランスを崩した状態を危機と捉える。
2 キャプラン(Caplan, G.)の危機介入アプローチは、クライエントが社会から疎外され、抑圧され、力を奪われていく構造に目を向ける。
3 ホワイト(White, M.)とエプストン(Epston, D.)のナラティヴアプローチは、クライエントの生活史や語り、経験の解釈などに関心を寄せ、希望や意欲など、肯定的側面に着目する。
4 リード(Reid, W.)とエプスタイン(Epstein, L.)の課題中心アプローチは、クライエントが解決を望む問題を吟味し、計画的に取り組む短期支援である。
5 サリービー(Saleebey, D.)のストレングスアプローチは、クライエントの否定的な問題が浸み込んでいるドミナントストーリーに焦点を当て家族療法を行う。

解説

1→×これはエンパワメントアプローチではなく、危機介入アプローチのことです。
2→×これは危機介入アプローチではなく、エンパワメントアプローチのことです。
3→×希望や意欲などの肯定的側面に着目するのは、ナラティヴアプローチではなく、ストレングスアプローチです。
4→○課題中心アプローチの説明です。
5→×ドミナントストーリーに焦点を当てるのは、ストレングスアプローチではなく、ナラティヴアプローチです。

第30回問題102

リードとエプスタインが提唱した課題中心アプローチに関する記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

1 ストレングスモデルの影響を受けている。
2 過去に起きた出来事について探求し、問題の原因を究明する。
3 支援期間を短期に設定し、処遇目標や面接の回数などを明確化する。
4 クライエント自らが解決困難と考える問題を支援対象とする。
5 精神分析的な方法を用いて、クライエントのアセスメントをする。

解説

1→×課題中心アプローチは、1972年にリードとエプスタインが示したもので、ストレングスモデル(1980年代以降、ラップやサリービーが広めたもの)より前に生まれています。短期の処遇でも長期に劣らないという実証研究をもとに生まれたアプローチです。
2→×課題中心アプローチが見るのは「今」です。過去にさかのぼって原因を究明するのは、診断主義の流れをくむアプローチです。
3→○期間を区切り、目標や面接の回数を決めて取り組みます。
4→×対象は、クライエント自らが解決困難と考える問題ではなく、自らの努力で解決できる可能性がある具体的な生活課題です。
5→×精神分析的なアセスメントで原因を探るのは、診断主義の流れをくむアプローチです。

第33回問題103

事例を読んで、課題中心アプローチに基づくL指導員(社会福祉士)の応答として、適切なものを2つ選びなさい。

〔事 例〕
W自立援助ホームのL指導員は、Mさん(18歳、男性)から将来についての相談を受けた。Mさんは就職をして一人暮らしをしたいと思っているが、求人募集に何度応募しても不採用が続いている。自信を失ったMさんは、「また駄目かもしれないと思うと、面接が怖いです」とうつむいた。

1 「就職活動をする上で、今、何が一番問題だとMさんは思われますか」と尋ねる。
2 「面接が奇跡的にうまくいったとしたら、どのように感じますか」と尋ねる。
3 「面接が怖いのであれば、採用試験に面接がない職場を探しましょう」と提案する。
4 「Mさんが次の面接の日までに取り組む具体的な目標を一緒に考えましょう」と提案する。
5 「大丈夫、Mさんなら自信を持って何でもできますよ」と励ます。

解説

1→○今、何が一番の問題かをMさん自身に尋ねて、取り組む課題を一緒に絞っていきます。
2→×奇跡が起きたらと尋ねるのは、解決志向アプローチの技法(ミラクル・クエスチョン)です。
3→×面接のない職場を探すのは、L指導員が先回りして解決策を決めることになります。課題は、Mさんと一緒に決めます。
4→○次の面接の日までという期限を区切り、具体的な目標を一緒に考えています。
5→×励ますだけでは、取り組む課題が決まりません。

第38回問題122

ソーシャルワークの支援に関する次の記述のうち,適切なものを 2 つ選びなさい。

1 パーソン・センタード・アプローチでは,不適応はその人の問題というより環境の問題と捉え,環境を人に合うように変えたり調整したりする。
2 エンパワメント・アプローチは,クライエントが自身の思考パターンを見い出し,誤った信念を修正して,内面化された抑圧に対処させる方法である。
3 ナラティブ・アプローチでは,クライエントがこれまでに気づいていなかった真実や過去の出来事に対する新たな解釈を見い出し,人生を「書き直す」ための助けをする。
4 認知行動アプローチは,まず偏った行動を変えることにより思考プロセスの変化を促すための支援方法である。
5 課題中心アプローチでは,支援者が専門的な観点から優先順位が高いと判断した課題に焦点を当てて解決する。

解説

1→○パーソン・センタード・アプローチの説明です。合わないのは人ではなく環境だと考え、環境のほうを調整します。
2→×思考パターンを見つけて誤った信念を修正するのは、エンパワメント・アプローチではなく、認知行動アプローチの考え方です。
3→○ナラティブ・アプローチの説明です。
4→×認知行動アプローチは、物事の受け止め方(認知)に働きかけて、感情や行動の変化につなげる方法です。
5→×取り組む課題を選ぶのは、支援者ではなくクライエントです。

第37回問題71

問題解決アプローチに関する次の記述のうち,最も適切なものを 1 つ選びなさい。

1 クライエントのもつ主体的な意志の力に注目し,支援機関の活用を図る。
2 クライエントの動機づけ,能力,機会を把握して支援を進める。
3 クライエントが直面している危機状況に対して,短期集中的に働きかける。
4 クライエントへの直接的な支援とともに,個人を取り巻く環境に働きかけを行う。
5 クライエントが解決を望む問題について,目標と期限を設定し課題に取り組む。

解説

1→×これは問題解決アプローチではなく、機能的アプローチのことです。
2→○動機づけ・能力・機会を把握するのは、問題解決アプローチです。
3→×これは問題解決アプローチではなく、危機介入アプローチのことです。
4→×これは問題解決アプローチではなく、心理社会的アプローチのことです。
5→×これは問題解決アプローチではなく、課題中心アプローチのことです。

第35回問題99

ソーシャルワークのアプローチに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

1 行動変容アプローチでは、クライエントの主体的な意思決定や自己選択が重視され、自分の行動と決定によって生きる意味を見いだすことを促す。
2 問題解決アプローチでは、クライエントのニーズを機関の機能との関係で明確化し、援助過程の中で、社会的機能を高めるための力の解放を焦点とする。
3 実存主義アプローチでは、その接触段階で、クライエントの動機づけ・能力・機会についてのソーシャルワーカーからの探求がなされる。
4 ナラティヴアプローチでは、クライエントのドミナントストーリーを変容させることを目指し、オルタナティヴストーリーを作り上げ、人生を再構築するよう促す。
5 機能的アプローチでは、ターゲット問題を明確化し、クライエントが優先順位をつけ、短期処遇を目指す。

解説

1→×これは行動変容アプローチではなく、実存主義アプローチのことです。
2→×これは問題解決アプローチではなく、機能的アプローチのことです。
3→×これは実存主義アプローチではなく、問題解決アプローチのことです。動機づけ・能力・機会は、パールマンが示したものです。
4→○ナラティヴアプローチの説明です。
5→×これは機能的アプローチではなく、課題中心アプローチのことです。

第31回問題103

ソーシャルワークのアプローチに関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。

1 解決志向アプローチは、クライエントが抱く解決のイメージを尊重し、その実現に向けてクライエントの社会的機能を高めることを目指す。
2 行動変容アプローチは、クライエントが、置かれている否定的な抑圧状況を認識し、自らの能力に気付き、その能力を高め、問題に対処することを目指す。
3 エンパワメントアプローチは、行動を学習の結果として捉え、正しく学習することにより問題行動を消去することを目指す。
4 フェミニストアプローチは、クライエント自らが問題を解決するための課題を設定し、あらかじめ決められた期間の中で課題を達成することを目指す。
5 課題中心アプローチは、クライエントが自らの人生のストーリーを理解し、新たなストーリーに書き換えていくことを目指す。

解説

1→○解決志向アプローチの説明です。
2→×これは行動変容アプローチではなく、エンパワメントアプローチのことです。
3→×これはエンパワメントアプローチではなく、行動変容アプローチのことです。
4→×これはフェミニストアプローチではなく、課題中心アプローチのことです。
5→×これは課題中心アプローチではなく、ナラティヴアプローチのことです。

すっきり整理

項目 内容 提唱者 リード、エプスタイン(1972年) 背景 リードとシャインの実証研究(1969年) 背景 短期の処遇は長期に劣らないと示された キーワード 短期・計画的・期限と面接回数の明確化 キーワード 解決可能な具体的課題、クライエントとの協働 キーワード 過去ではなく「今」に焦点 ひとことで 本人が解決したい課題を絞り、期限を決めて一緒に取り組む 過去問をもとに著者が作成した図です。無断転載・複製はご遠慮ください。

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→ソーシャルワークのアプローチ 記事一覧|読む順番と提唱者・人名

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