事業所の苦情解決の仕組み|苦情解決責任者・苦情受付担当者・第三者委員

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社会福祉の原理と政策
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2000年の社会福祉基礎構造改革で苦情解決の仕組みができました

2000年(平成12年)に社会福祉事業法が社会福祉法に改められ、措置から契約への転換が行われました。その一環として行政がサービスを提供事業者を決める仕組みから、利用者が自ら事業所を選んで契約を結ぶ仕組みに変わりました。

契約である以上、サービスについての苦情は、契約の当事者である利用者と事業者の間で解決することになります。社会福祉法第82条は、社会福祉事業の経営者は、常に、その提供する福祉サービスについて、利用者等からの苦情の適切な解決に努めなければならないと定めました。

あわせて、事業者の段階で解決できない場合の受け皿として、都道府県社会福祉協議会に運営適正化委員会が置かれました。苦情解決は二段構えになっています。この記事では、前半にあたる事業者の段階を確認します。

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事業所に置かれる3つの役割

社会福祉法第82条は事業所の苦情対応について定めています。具体的な体制は、厚生労働省が示した「社会福祉事業の経営者による福祉サービスに関する苦情解決の仕組みの指針について」(平成12年6月7日)に書示されています。

この指針が示しているのが、次の3つの役割です。

・苦情解決責任者は、苦情解決の責任主体です。施設長や理事が務めます。
・苦情受付担当者は、利用者からの苦情を受け付けます。職員の中から任命します。
・第三者委員は、苦情解決に社会性や客観性を確保するために置かれます。経営者の責任において選任します。

苦情受付担当者は、苦情を受け付けたら、その内容と利用者の意向を記録し、苦情解決責任者と第三者委員に報告します。苦情申出人が第三者委員への報告を明確に拒否した場合は、報告しません。

苦情受付担当者は職員ですから、利用者から見れば苦情の相手方と同じ職場の人です。第37回問題127では、苦情受付担当者が苦情の対象である職員自身であるため相談しづらい、という事例が出題されました。

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第三者委員の要件と職務

第三者委員は、苦情解決を円滑・円満に図ることができる者で、世間からの信頼性を有する者であることが要件です。指針は、評議員、監事又は監査役、社会福祉士、民生委員・児童委員、大学教授、弁護士などを例示しています。評議員は挙げられていますが、理事は除かれています。

人数は、中立・公正性を確保するために複数であること、報酬は、中立性の確保のため、実費弁償を除きできる限り無報酬とすることが望ましいとされています。

第三者委員の職務は次のとおりです。

・苦情受付担当者から、受け付けた苦情内容の報告を聴きます。
・苦情内容の報告を受けたことを、苦情申出人に通知します。
・利用者からの苦情を直接受け付けます。
・苦情申出人に助言します。
・事業者に助言します。
・苦情申出人と苦情解決責任者の話し合いに立ち会い、助言します。
・苦情解決責任者から、改善状況等の報告を聴きます。
・日常的に状況を把握し、意見を傾聴します。

助言や意見の傾聴が職務に含まれている点は、第31回問題124で出題されています。

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苦情を受け付けてから解決までの流れ

苦情解決責任者は、あらかじめ苦情解決責任者・苦情受付担当者・第三者委員の氏名と連絡先、苦情解決の仕組みを、施設内への掲示やパンフレットの配布によって利用者に周知します。

苦情を受け付けたあとは、苦情解決責任者が苦情申出人との話し合いによる解決に努めます。その際、苦情申出人も苦情解決責任者も、第三者委員の助言を求めることができます。

苦情受付から解決・改善までの経過と結果は、苦情受付担当者が記録します。解決結果は、個人情報に関するものを除いて、事業報告書や広報誌に掲載して公表します。

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事業所で解決しない場合は運営適正化委員会

事業者の段階で解決できない場合や、事業者に直接申し出にくい場合には、都道府県社会福祉協議会に置かれた運営適正化委員会が苦情を受け止めます。運営適正化委員会は、相談に応じ、助言をし、事情を調査し、当事者双方の同意を得てあっせんを行います。

運営適正化委員会についての記事はこちらです。

運営適正化委員会とは|社会福祉協議会が行う苦情解決とあっせん

過去問を確認しましょう

第31回問題124

適切な福祉・介護サービスの提供体制に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

1 運営適正化委員会は、福祉サービスに関する苦情について解決の申出があったときは、サービス提供を行った事業者に当事者間での解決を求めなければならない。
2 福祉サービス第三者評価の結果は、「福祉サービス第三者評価結果の公表ガイドライン」に基づき、市町村から公表される。
3 介護サービス情報の公表制度では、事業所から報告された情報内容を独立行政法人福祉医療機構が、審査した後インターネットで公表することになっている。
4 法人内に設置される「第三者委員」の職務には、苦情及び苦情解決の報告に対する助言や意見交換は含まれていない。
5 苦情を収集するためには、意見箱、アンケート調査、苦情受付担当者の配置など、情報収集のチャンネルの多角化が必要である。

解説

正答は5です。
1→× 運営適正化委員会は、相談に応じ、助言をし、事情を調査し、当事者双方の同意を得てあっせんを行います。当事者間での解決を求めなければならないという定めはありません。
2→× 第三者評価の結果を公表するのは、都道府県推進組織です。市町村ではありません。
3→× 介護サービス情報の公表制度では、事業者が都道府県知事に報告し、都道府県知事が公表します。
4→× 第三者委員の職務には、苦情申出人への助言、事業者への助言、日常的な状況把握と意見傾聴が含まれます。
5→○ 記述のとおりです。意見箱の設置やアンケート調査も、苦情を把握するための方法です。

第37回問題127では、事業所の苦情受付担当者が苦情の対象である職員自身で、第三者委員に相談しても改善しない場合に苦情を申し立てられる仕組みが問われました。この問題は運営適正化委員会の記事に掲載しています。

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