障害者福祉の歴史①戦後から福祉六法体制へ|身体障害者福祉法・精神衛生法・精神薄弱者福祉法

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社会福祉の原理と政策
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障害者福祉の歴史シリーズ

語呂合わせで、年表を覚えようとしていませんか。法律は、いつできたかではなく、どのような背景で、どのような内容だったかを覚えていないと解けません。時代背景と一緒に、流れで覚えていきましょう。

障害者福祉の歴史は全4回です。

→障害者福祉の歴史①戦後から福祉六法体制へ(この記事)
→②障害者基本法の歴史
→③支援費制度から障害者自立支援法へ
→④障害者権利条約の批准が与えた影響

日本の制度史とあわせて、国連の流れも押さえておきましょう。
→国際障害者年とは?完全参加と平等|権利宣言から障害者権利条約までの流れ

歴史の勉強の仕方についての記事はこちら
→歴史の勉強の仕方

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今回のテーマは戦後の障害者福祉のはじまり

障害者福祉の歴史、第1回は戦後の障害者福祉のはじまりです。1949年の身体障害者福祉法から、1964年の福祉六法体制までを確認します。

この時代の中心は、身体障害者福祉法、精神衛生法、精神薄弱者福祉法の3つです。

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身体障害者福祉法(1949年)

戦後の障害者福祉は、身体障害者福祉法から始まりました。1949年(昭和24年)の制定です。福祉三法(生活保護法、児童福祉法、身体障害者福祉法)の一つとして、戦争で負傷した軍人や戦災者が多数いた時代に制定されました。

この法律の特徴は2つです。
①制定当初の目的は更生でした。
②障害のある人を保護して終わりにするのではなく、職業に就けるよう訓練し、社会復帰させることを目指しました。

現在の身体障害者福祉法の目的規定は、身体障害者の自立と社会経済活動への参加を促進することです。更生という言葉は使われていませんが、その考え方は受け継がれています。

身体障害者手帳の交付、身体障害者更生相談所(都道府県に設置義務)、福祉事務所の身体障害者福祉司などの仕組みは、この法律に規定されています。

身体障害者更生相談所についての記事はこちら
→身体障害者更生相談所と知的障害者更生相談所|設置主体と福祉司の配置を整理

身体障害者福祉司についての記事はこちら
→児童福祉司・身体障害者福祉司・知的障害者福祉司|配置場所と任用資格の違いを整理

国家試験では、次のように出題されました。
×「身体障害者福祉法の目的は、「身体障害者の更生を援助し、その更生のために必要な保護を行い、もつて身体障害者の福祉の増進を図ること」と規定されている。」(第35回問題61)→現在の目的は、身体障害者の自立と社会経済活動への参加を促進することです。更生は制定当初の目的です。
×「身体障害者の定義は、身体障害者手帳の交付を受けたかどうかにかかわらず、別表に掲げる身体上の障害がある18歳以上の者をいうと規定されている。」(第35回問題61)→身体障害者福祉法の身体障害者は、身体障害者手帳の交付を受けた18歳以上の者です。
×「身体障害者手帳に記載される身体障害の級別は、障害等級1級から3級までである。」(第35回問題61)→身体障害者手帳の障害等級は1級から6級までです。
○「都道府県は、身体障害者更生相談所を設置しなければならない。」(第35回問題61)
×「市町村は、その設置する福祉事務所に、身体障害者福祉司を置かなければならない。」(第35回問題61)→市町村は、その設置する福祉事務所に身体障害者福祉司を置くことができます。置かなければならないのは都道府県です。
×「1949年(昭和24年)に制定された身体障害者福祉法では、障害者福祉の対象が生活困窮者に限定された。」(第36回問題57)→生活困窮者に限定されていません。身体障害者の更生を目的とした法律です。

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精神衛生法(1950年)と私宅監置の禁止

翌1950年(昭和25年)、精神衛生法が制定されました。

この法律で、私宅監置が禁止されました。それまで精神障害のある人は、精神病者監護法(1900年)のもとで、自宅の一室や離れに監置することが法律上認められていました。その実態を調査し、「この病を受けたるの不幸のほかに、この国に生まれたるの不幸を重ぬるものというべし」と告発したのが呉秀三です。

精神衛生法により、精神障害のある人は、監置する対象から医療を受ける対象へと位置づけが変わりました。福祉の法律としての性格を持つのは、精神保健法(1987年)を経て、精神保健福祉法(1995年)になってからです。

精神保健福祉法の入院形態についての記事はこちら
→精神保健福祉法5つの入院形態の覚え方|医療保護入院と措置入院の違いを表で整理

国家試験では、次のように出題されました。
×「1987年(昭和62年)に精神衛生法が精神保健法に改正され、保護者制度が廃止された。」(第36回問題57)→1987年の改正で設けられたのは任意入院と精神医療審査会です。保護者制度が廃止されたのは2013年(平成25年)の改正です。

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精神薄弱者福祉法(1960年)

1960年(昭和35年)、精神薄弱者福祉法が制定されました。18歳以上の知的障害のある人を対象とする法律です。知的障害児については児童福祉法で対応していましたが、18歳を超えたあとに対応する法律がありませんでした。そこで制定されたのがこの法律です。

この法律の柱は、入所施設(精神薄弱者援護施設)の整備でした。親亡きあとを心配する家族会の強い要望を受けて、施設が各地に作られました。当時、世界ではノーマライゼーションの考え方が広がり、脱施設化が進みつつありました。日本が選んだのは入所施設の整備です。地域で暮らすという発想が今ほど強くなく、家族介護を中心とした制度のもとで家族が抱えた不安を、入所サービスの充実で解消する形になりました。

この法律は1998年(平成10年)に知的障害者福祉法へと名称が変更され、現在に至ります。名称が変更されたのは精神薄弱者福祉法からで、精神衛生法からではありません。

国家試験では、次のように出題されました。
×「知的障害者に対する入院形態として、医療保護入院が規定されている。」(第34回問題60)→医療保護入院を規定しているのは精神保健福祉法です。
×「市町村は、知的障害者更生相談所を設けなければならないと規定されている。」(第34回問題60)→知的障害者更生相談所を設けるのは都道府県です。
○「市町村は、その設置する福祉事務所に知的障害者福祉司を置くことができると規定されている。」(第34回問題60)
×「1998年(平成10年)に、精神衛生法から知的障害者福祉法に名称が変更された。」(第34回問題60)→名称が変更されたのは精神薄弱者福祉法からです。精神衛生法からではありません。
×「知的障害者に対して交付される「療育手帳」について規定されている。」(第34回問題60)→療育手帳は法律に規定がありません。国の通知に基づいて、都道府県知事や指定都市の市長が交付しています。

福祉六法体制の完成(1964年)

1960年代に入ると、老人福祉法(1963年)、母子福祉法(1964年)が制定され、福祉三法に精神薄弱者福祉法を加えた6つの法律が出そろいました。これが福祉六法体制です。

対象者ごとに法律を整備していく縦割りの体制が、日本の障害者福祉の出発点になりました。身体、知的、精神がそれぞれ別の法律で扱われる状態は、このあと半世紀近く続きます。三障害が一元化されるのは、2005年の障害者自立支援法です。

支援費制度から障害者自立支援法までの流れは③で扱っています。
→障害者福祉の歴史③支援費制度から障害者自立支援法へ

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すっきり整理 戦後から福祉六法体制までの年表

戦後から福祉六法体制までの年表 年 できごと 1949年(昭和24年) 身体障害者福祉法の制定(福祉三法がそろう) 1950年(昭和25年) 精神衛生法の制定(私宅監置の禁止) 1960年(昭和35年) 精神薄弱者福祉法の制定(18歳以上が対象) 1963年(昭和38年) 老人福祉法の制定 1964年(昭和39年) 母子福祉法の制定(福祉六法体制の完成) 1998年(平成10年) 精神薄弱者福祉法が知的障害者福祉法に改称 各制度の内容をもとに著者が作成した図です。無断転載・複製はご遠慮ください。

次回は障害者基本法の歴史です

次回は、心身障害者対策基本法から障害者基本法への流れを扱います。
→障害者福祉の歴史②障害者基本法の歴史

障害者福祉の歴史の一問一答についての記事はこちら
→障害者福祉の歴史の一問一答(30問)|戦後・1990年代・2010年代以降

ほかの分野の歴史の記事はこちら
→歴史の記事マップ

過去問を解いてみましょう

第35回 障害者に対する支援と障害者自立支援制度 問題61

身体障害者福祉法に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。

1 身体障害者福祉法の目的は、「身体障害者の更生を援助し、その更生のために必要な保護を行い、もつて身体障害者の福祉の増進を図ること」と規定されている。
2 身体障害者の定義は、身体障害者手帳の交付を受けたかどうかにかかわらず、別表に掲げる身体上の障害がある18歳以上の者をいうと規定されている。
3 身体障害者手帳に記載される身体障害の級別は、障害等級1級から3級までである。
4 都道府県は、身体障害者更生相談所を設置しなければならない。
5 市町村は、その設置する福祉事務所に、身体障害者福祉司を置かなければならない。

解説

1→× 現在の目的は、身体障害者の自立と社会経済活動への参加を促進することです。更生は制定当初の目的です。
2→× 身体障害者福祉法の身体障害者は、身体障害者手帳の交付を受けた18歳以上の者です。
3→× 身体障害者手帳の障害等級は1級から6級までです。
4→○ 都道府県には身体障害者更生相談所の設置義務があります。
5→× 市町村は、その設置する福祉事務所に身体障害者福祉司を置くことができます。置かなければならないのは都道府県です。

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第34回 障害者に対する支援と障害者自立支援制度 問題60

知的障害者福祉法に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。

1 知的障害者に対する入院形態として、医療保護入院が規定されている。
2 市町村は、知的障害者更生相談所を設けなければならないと規定されている。
3 市町村は、その設置する福祉事務所に知的障害者福祉司を置くことができると規定されている。
4 1998年(平成10年)に、精神衛生法から知的障害者福祉法に名称が変更された。
5 知的障害者に対して交付される「療育手帳」について規定されている。

解説

1→× 医療保護入院を規定しているのは精神保健福祉法です。
2→× 知的障害者更生相談所を設けるのは都道府県です。
3→○ 市町村は、その設置する福祉事務所に知的障害者福祉司を置くことができます。
4→× 名称が変更されたのは精神薄弱者福祉法からです。精神衛生法からではありません。
5→× 療育手帳は法律に規定がありません。国の通知に基づいて都道府県知事や指定都市の市長が交付しています。

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第36回 障害者に対する支援と障害者自立支援制度 問題57

障害者福祉制度の発展過程に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

1 1949年(昭和24年)に制定された身体障害者福祉法では、障害者福祉の対象が生活困窮者に限定された。
2 1987年(昭和62年)に精神衛生法が精神保健法に改正され、保護者制度が廃止された。
3 2004年(平成16年)に改正された障害者基本法では、障害者に対する差別の禁止が基本理念として明文化された。
4 2005年(平成17年)に制定された障害者自立支援法では、利用者負担は所得に応じた応能負担が原則となった。
5 2011年(平成23年)に障害者基本法が改正され、法律名が心身障害者対策基本法に改められた。

解説

1→× 生活困窮者に限定されていません。身体障害者の更生を目的とした法律です。
2→× 1987年の改正で設けられたのは任意入院と精神医療審査会です。保護者制度が廃止されたのは2013年(平成25年)の改正です。
3→○ 2004年の障害者基本法の改正で、差別の禁止が基本理念に明文化されました。
4→× 障害者自立支援法の利用者負担は、サービスの量に応じた応益負担(定率負担)が原則とされました。
5→× 心身障害者対策基本法から障害者基本法に改称されたのは1993年(平成5年)です。順序が逆です。

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