障害者福祉の歴史②障害者基本法の歴史|心身障害者対策基本法から2011年改正まで

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社会福祉の原理と政策
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障害者福祉の歴史シリーズ

語呂合わせで、年表を覚えようとしていませんか。法律は、いつできたかではなく、どのような背景で、どのような内容だったかを覚えていないと解けません。時代背景と一緒に、流れで覚えていきましょう。

障害者福祉の歴史は全4回です。

→①戦後から福祉六法体制へ
→障害者福祉の歴史②障害者基本法の歴史(この記事)
→③支援費制度から障害者自立支援法へ
→④障害者権利条約の批准が与えた影響

日本の制度史とあわせて、国連の流れも押さえておきましょう。
→国際障害者年とは?完全参加と平等|権利宣言から障害者権利条約までの流れ

歴史の勉強の仕方についての記事はこちら
→歴史の勉強の仕方

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今回のテーマは障害者基本法の歴史

障害者福祉の歴史、第2回は障害者基本法の歴史です。1970年の心身障害者対策基本法から2011年の改正までを、一つの法律の流れとして確認します。この時代の中心は、1993年の障害者基本法への改称、2004年の差別の禁止、2011年の社会モデルと合理的配慮です。

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心身障害者対策基本法(1970年)

①で見たとおり、日本の障害者福祉は身体、知的など対象者ごとに別々の法律で作られてきました。その縦割りの施策を横につなぐ基本法として、1970年(昭和45年)に制定されたのが心身障害者対策基本法です。

この法律の対象者に精神障害は含まれていませんでした。また、対策という言葉が示すとおり、障害を個人の問題としてとらえ、施策の対象とする発想の法律でした。

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障害者基本法へ(1993年)

1993年(平成5年)、心身障害者対策基本法は障害者基本法へと改正、改称されました。1981年の国際障害者年をはじめとする国際的な動きが、この改正の背景にあります。

この改正の内容は3つです。
①精神障害者が障害者の定義に明記されました。身体、知的、精神の三障害が、はじめて一つの基本法のもとに並びました。
②国は障害者基本計画を策定することが義務づけられました。
③都道府県と市町村の計画の策定は、このときは努力義務でした。

障害者計画についての記事はこちら
→障害者計画と障害福祉計画の違い|障害者基本法・障害者総合支援法策定義務・計画期間を整理

国家試験では、次のように出題されました。
×「心身障害者対策基本法が障害者基本法に改正、改称された際(1993年(平成5年))に、精神障害には発達障害が含まれることが明確にされた。」(第38回問題53)→精神障害に発達障害が含まれることが明確にされたのは、2011年(平成23年)の改正です。

2004年改正 差別の禁止

2004年(平成16年)の改正では、障害を理由とする差別の禁止が基本理念として明文化されました。のちの障害者差別解消法(2013年成立)に先立って、まず基本法に差別禁止の理念が置かれました。

障害者差別解消法についての記事はこちら
→障害者差別解消法の不当な差別的取扱いと合理的配慮|障害者の定義・環境の整備・対応指針

国家試験では、次のように出題されました。
○「この法律が施行される前から、障害者基本法に「差別の禁止」の規定があった。」(第37回問題55)→障害者基本法には2004年の改正で差別の禁止の規定が置かれました。障害者差別解消法の施行(2016年)より前です。
×「障害を理由とする差別の禁止についての規定はない。」(第34回問題61)→2004年の改正で差別の禁止が明文化されています。

2011年改正 社会モデルと合理的配慮

2011年(平成23年)の改正は、障害者権利条約の批准に向けた国内法整備の一環として行われました。改正の範囲が広いので、主な内容を整理します。

①障害者の定義に、発達障害やその他の心身の機能の障害がある者が加わりました。
②障害者の定義に社会的障壁という言葉が入り、障害を個人の心身機能だけでなく、社会の側の障壁との相互作用でとらえる社会モデルの考え方が反映されました。
③社会的障壁は、事物、制度、慣行、観念その他一切のものと定義されました。慣行や観念も含まれます。
④障害者政策委員会が内閣府に置かれました。委員は内閣総理大臣が任命し、その中に障害者が含まれることが法律に書かれています。
⑤社会的障壁の除去について、必要かつ合理的な配慮がされなければならないと規定されました。
⑥意思疎通のための手段としての言語に手話が含まれることが明記されました。

障害者基本法についての記事はこちら
→障害者基本法をわかりやすく解説|障害者の定義・社会的障壁・障害者計画・障害者政策委員会

国家試験では、次のように出題されました。
×「「障害者」とは、「身体障害、知的障害又は精神障害により、長期にわたり日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける者をいう」と定義されている。」(第34回問題61)→現在の定義には社会的障壁が入っています。
○「意思疎通のための手段としての言語に手話が含まれることが明記されている。」(第34回問題61)→2011年の改正で明記されました。
×「都道府県は、毎年、障害者のために講じた施策の概況に関する報告書を国に提出しなければならないとされている。」(第34回問題61)→毎年、障害者のために講じた施策の概況に関する報告書(障害者白書)を国会に提出するのは政府です。
×「社会モデルを踏まえた障害者の定義は、国際障害者年に向けた取組の一環として導入された。」(第34回問題61)→社会モデルを踏まえた定義は2011年の改正によるもので、障害者権利条約の批准に向けた国内法整備の一環です。国際障害者年は1981年です。

条約の批准をめぐる全体の流れは④で整理しています。
→障害者福祉の歴史④障害者権利条約の批准が与えた影響

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すっきり整理 基本法の系譜

障害者基本法の系譜 年 できごと ポイント 1970年 心身障害者対策基本法 対象は身体と知的(精神は含まず) 1993年 障害者基本法に改正 精神障害者を定義に明記、三障害が並ぶ 2004年 改正 差別の禁止を基本理念として明文化 2011年 改正 社会モデル、社会的障壁、合理的配慮、手話 各制度の内容をもとに著者が作成した図です。無断転載・複製はご遠慮ください。

次回は支援費制度から障害者自立支援法へ

次回は、措置から契約へ変わった支援費制度と、その後の障害者自立支援法を扱います。
→障害者福祉の歴史③支援費制度から障害者自立支援法へ

障害者福祉の歴史の一問一答についての記事はこちら
→障害者福祉の歴史の一問一答(30問)|戦後・1990年代・2010年代以降

ほかの分野の歴史の記事はこちら
→歴史の記事マップ

過去問を解いてみましょう

第38回 障害者福祉 問題53

障害者に関する施策の展開について、次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

1 身体障害者福祉法が制定された際(1949年(昭和24年))に、当該法による身体障害児を含む身体障害者に対する福祉サービスの提供が始まった。
2 身体障害者雇用促進法が「障害者雇用促進法」に改正、改称された際(1987年(昭和62年))に、知的障害者が法定雇用率の算定基礎に追加された。
3 心身障害者対策基本法が障害者基本法に改正、改称された際(1993年(平成5年))に、精神障害には発達障害が含まれることが明確にされた。
4 精神保健法が「精神保健福祉法」に改正、改称された際(1995年(平成7年))に、精神障害者保健福祉手帳の制度が法定された。
5 障害者自立支援法が「障害者総合支援法」に改正、改称された際(2012年(平成24年))に、身体、知的、精神の3障害に共通の自立支援給付の制度が創設された。

解説

1→× 身体障害者福祉法の対象は18歳以上の身体障害者です。身体障害児は含まれていません。
2→× 知的障害者が法定雇用率の算定基礎に加えられたのは1997年(平成9年)の改正です。1987年の改正は、法律名を障害者雇用促進法に改め、対象を身体障害者以外にも広げたものです。
3→× 精神障害に発達障害が含まれることが明確にされたのは2011年(平成23年)の改正です。
4→○ 1995年の精神保健福祉法への改正で、精神障害者保健福祉手帳の制度が法定されました。
5→× 3障害に共通の自立支援給付の制度が創設されたのは、2005年(平成17年)の障害者自立支援法です。

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第34回 障害者に対する支援と障害者自立支援制度 問題61

障害者基本法に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

1 「障害者」とは、「身体障害、知的障害又は精神障害により、長期にわたり日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける者をいう」と定義されている。
2 意思疎通のための手段としての言語に手話が含まれることが明記されている。
3 都道府県は、毎年、障害者のために講じた施策の概況に関する報告書を国に提出しなければならないとされている。
4 社会モデルを踏まえた障害者の定義は、国際障害者年に向けた取組の一環として導入された。
5 障害を理由とする差別の禁止についての規定はない。

解説

1→× 現在の定義には社会的障壁が入っています。障害及び社会的障壁により継続的に日常生活または社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものが障害者です。
2→○ 2011年の改正で明記されました。
3→× 毎年、障害者のために講じた施策の概況に関する報告書(障害者白書)を国会に提出するのは政府です。
4→× 社会モデルを踏まえた定義は2011年の改正によるもので、障害者権利条約の批准に向けた国内法整備の一環です。国際障害者年は1981年です。
5→× 2004年の改正で差別の禁止が明文化されています。

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第37回 障害者福祉 問題55

「障害者差別解消法」に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

1 この法律が施行される前から、障害者基本法に「差別の禁止」の規定があった。
2 民間事業者の合理的配慮の提供は、努力義務である。
3 この法律に基づき、市町村障害者虐待防止センターが設けられている。
4 障害者差別をした事業者には、この法律に基づき科料が科される。
5 この法律に基づく障害者の定義は、障害者基本法に規定されている障害者の定義より狭い。
(注)「障害者差別解消法」とは、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」のことである。

解説

1→○ 障害者基本法には2004年の改正で差別の禁止の規定が置かれています。障害者差別解消法の施行(2016年)より前です。
2→× 民間事業者の合理的配慮の提供は、2021年の改正で義務になりました(2024年4月施行)。
3→× 市町村障害者虐待防止センターは、障害者虐待防止法に基づいて設けられています。
4→× 差別をした事業者に科料が科される規定はありません。報告をせず、または虚偽の報告をした場合の過料の規定があります。
5→× 障害者差別解消法の障害者の定義は、障害者基本法と同じです。

障害者差別解消法についての記事はこちら
→障害者差別解消法の不当な差別的取扱いと合理的配慮|障害者の定義・環境の整備・対応指針

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