高額療養費制度とは?図解でわかる多数回該当・世帯合算・合算療養費

保健医療と福祉
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「高額療養費制度」は、社会福祉士国家試験の保健医療科目で毎回のように出てくる用語です。高額療養費制度の全体像を、5つの軸に分けて整理します。

高額療養費制度とは

高額療養費制度は、医療機関や薬局の窓口で支払った1か月の自己負担額が、一定の上限を超えた場合に、その超えた分が払い戻される制度です。1973年(昭和48年)、いわゆる「福祉元年」に創設されました。受験生にとっては耳タコですが、①老人医療費無料化②高額療養費制度創設③物価スライドの導入・給付水準の引き上げ の②ですね。

この制度は単独で完結しているわけではなく、次の5つの仕組みに分類できます。

*高額療養費は制度の見直しが行われています。こちらの記事では制度の大まかな内容を説明しています。こちらをお読みいただきたあとは、今後の見直しの方向性についてもご確認ください。

高額療養費制度が2段階で見直しへ|福祉元年の政策が今動く【第39回国試演習問題付き】
福祉元年の目玉の一つだった高額療養費が改正されます。内容をすっきり整理しました!

①一般の高額療養費(年齢・所得区分による上限額)

もっとも基本となるのが、この「一般の高額療養費」です。自己負担の上限額は、年齢(69歳以下か、70歳以上か)と所得区分によって段階的に設定されています。所得が高いほど上限額も高く、所得が低いほど上限額も低く設定される仕組みです。

ポイントは、
①年齢と所得によって上限が決定すること
②高額療養費制度を利用しても自己負担がゼロになるわけではないということです。
あくまで「上限を超えた分」が払い戻されるのであって、上限額までは自己負担が発生します。

例えば、23歳・会社員(年収360万円、単身)の場合、70歳未満の所得区分では「区分エ(年収約370万円未満)」に該当します。この区分の上限額は、2026年8月1日現在、月61,500円の定額です。

②多数回該当

同一世帯で、直近12か月以内に3回以上高額療養費の支給を受けている場合、4回目以降は自己負担の上限額がさらに引き下げられる仕組みです。「回数」に着目した軽減措置といえます。

例えば、先ほどの23歳・会社員(年収360万円/単身)の場合、多数回該当が適用されると、直近12か月で4回目からは月61500円→44,400円まで下がります(2026年8月1日現在)。1か月あたり17,100円、負担が軽くなる計算です。

ポイントは、長期間にわたって高額な医療費がかかり続ける人ほど、負担が重くなりすぎないよう配慮された仕組みだということです。
また、高額療養費の対象になるのは、保険診療の自己負担分だけです。差額ベッド代、入院時の食事代(食事療養標準負担額)、先進医療の技術料、自由診療の費用などは対象外で、上限額の計算には含まれません。

③世帯合算

1人分の医療費だけでは上限額に届かない場合でも、同一世帯・同一の医療保険に加入する世帯員の自己負担額を合算して、上限額を超えた分が払い戻される仕組みです。「人」を合算する軽減措置です。


ポイントは、合算できるのは同じ医療保険に加入している場合に限られるということです。

・共働き夫婦が別々の健康保険に加入している場合
・1人が後期高齢者医療制度の対象でもう1人が国民健康保険に加入している場合
などは合算できません。

④高額医療・高額介護合算療養費制度

医療保険と介護保険の両方を利用している世帯で、1年間(毎年8月から翌年7月まで)の自己負担の合計額が著しく高額になった場合に、その超えた分が払い戻される制度です。こちらも医療保険が異なる場合は合算できませんので、注意しましょう。下記の図は世帯員が複数人いるイメージ図ですが、単独の世帯員でも医療と介護の負担分を合算することは可能です。

ポイントは、高額療養費・高額介護サービス費の制度では対象にならないが、年間トータルで医療と介護の費用をある程度負担している世帯の負担を軽減するための制度だということです。

⑤特定疾病の特例(マル長)

人工透析が必要な慢性腎不全、血友病、血液凝固因子製剤の投与に起因するHIV感染症といった、長期にわたって高額な治療が続く特定の疾病について、自己負担の上限額を一律で低く設定する、高額療養費制度の特例です。この特例の適用を受けるために保険者から交付されるのが「特定疾病療養受療証」で、現場では「マル長」とも呼ばれます。上限額は月1万円です(人工透析を要する70歳未満の上位所得者は月2万円)。全額免除されているわけではありませんが、高額療養費の上限とは別の枠組みによる、上限設定が行われています。

過去問で確認!

第34回 問題70
公的医療保険とその給付などに関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
〔事例〕大手企業の会社員Mさん(50歳)は専業主婦の妻(所得なし)と二人で生活し、年収は640万円、標準報酬月額は41万円である。11月中旬に胃がんと診断され、12月1日に入院、翌日に胃全摘術を受け、12月20日に退院した。病床は本人の希望によって有料個室とした。入院医療費の総額は96万9千円であった。

1 Mさんの医療費は、労働者災害補償保険から給付される 
2 Mさんの自己負担は、当該医療費の1割である 
3 Mさんの差額ベッド代は、公的医療保険からの給付の対象外となる 
4 Mさんの自己負担は、高額療養費制度を適用すれば、全額免除となる 
5 Mさんが加入する公的医療保険は、Mさんの妻が加入する公的医療保険とは異なる

正答:3

第36回 問題75
事例を読んで、医療ソーシャルワーカー(社会福祉士)が紹介した現時点で利用可能な制度として、適切なものを2つ選びなさい。
〔事例〕入院中のFさん(39歳、会社員)は、協会けんぽの被保険者であり、正社員の妻(35歳)と息子(7歳)との3人暮らしである。糖尿病性腎症による人工透析導入のため入院することとなった。医師からは、約1か月間の入院となり、退院後は週に3日の継続的な透析治療が必要との説明を受けた。

1 生活保護制度 2 労働者災害補償保険制度 3 高額療養費制度 4 傷病手当金制度 5 雇用保険制度
正答:3・4

法改正についてはこちらもチェック!

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