健康保険や共済組合などの被用者保険は、加入している本人だけでなく、扶養している家族も一緒に医療保険に入れる仕組みになっています。この家族のことを被扶養者と呼びます。ただし、法律で被扶養者の要件が決まっていますので、この範囲を確認し、それに関する国家試験の問題を確認しましょう。
続柄要件
被扶養者になれる範囲を箇条書きにしましょう。
①同居していなくても良い
配偶者(内縁関係を含む)、子、孫、兄弟姉妹、父母などの直系尊属
②同居していることが要件
それ以外の三親等内の親族、たとえば配偶者の父母や配偶者の連れ子等
*民法では、親族を「六親等内の血族、配偶者、三親等内の姻族」と定めています(民法第725条)。連れ子は被保険者本人からみると血のつながった子(血族)ではありませんが、配偶者の子として1親等の姻族にあたるため、三親等内の親族に含まれます。そのため、被保険者と同一世帯で生計を維持していれば、被扶養者になれることを意味しています。
第38回・問題36
事例を読んで、Aさんの家族に適用される社会保障制度に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事例〕 5年前に夫と死別したAさん(40歳)は、遺族基礎年金を受給しながら中学生の子どもBさんと2人で暮らしていたが、会社員のCさんと再婚し3人で一緒に暮らすようになった。Cさんは健康保険組合の被保険者である。AさんとBさんはCさんに生計を維持されるようになったが、CさんとBさんは養子縁組をする予定はない。
4 再婚後は、AさんとBさんはCさんの健康保険の被扶養者になることができる。
→〇です。
(今回関連ある選択肢のみ掲載しています)
生計維持要件
次に収入の面での要件です。一般的には年間収入が130万円未満(60歳以上または障害者は180万円未満)であることに加えて、被保険者と同居している場合は被保険者の年収の半分未満、別居している場合は被保険者からの仕送り額より少ないことが必要です。
*今のところ、具体的な数字が細かく問われことはありません。
また、2025年(令和7年)10月からは、19歳以上23歳未満の認定対象者(配偶者を除く)に限り、この収入基準が150万円未満に引き上げられました。大学生年代の子どもがアルバイトで扶養から外れてしまう、いわゆる「年収の壁」に対応するための見直しです。
*こちらはまだ出題されていません。
国内居住要件
2020年(令和2年)4月の健康保険法改正で、被扶養者の要件に国内居住要件が加わりました。これにより、日本国内に住所(住民票)があることが原則の条件になり、海外に住んでいる家族は被扶養者になれなくなりました。それ以前は、要件さえ満たせば海外在住の家族でも被扶養者になることができました。ただし、日本に生活の基盤があると認められる場合(子どもが留学中など)は例外として扱われます。
第33回・問題32
医療保険制度に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 国民健康保険には、被用者の一部も加入している。
2 医師など同種の事業又は業務に従事する者は、独自に健康保険組合を組織することができる。
3 協会けんぽ(全国健康保険協会管掌健康保険)の保険料率は、全国一律である。
4 健康保険の被扶養者が、パートタイムで働いて少しでも収入を得るようになると、国民健康保険に加入しなければならない。
5 日本で正社員として雇用されている外国人が扶養している外国在住の親は、健康保険の被扶養者となる。
1→○ 国民健康保険には、被用者保険の適用を受けない被用者(短時間労働者など)も加入している
2→× 同種の事業・業務に従事する者が独自に組織できるのは国民健康保険組合であり、健康保険組合ではない
3→× 協会けんぽの保険料率は都道府県ごとに異なる
4→× 少しの収入を得た程度では被扶養者の認定基準を下回らない限り、国民健康保険への加入義務は生じない
5→× 2020年4月の国内居住要件の追加により、海外在住の親は原則として被扶養者になれない
「扶養」があるのは被用者保険だけ
国民健康保険と後期高齢者医療制度には「扶養」という概念がありません。そのため、加入対象者1人1人が個人単位で医療保険に加入します。
そのため、「扶養から抜けたくないから」という理由で年収をコントロールしないといけないのは、配偶者や親などが「被用者保険」に入っている方のみということになります。
ただし、国民健康保険は、0歳から74歳までの人が対象になる可能性があるので、加入手続きや保険料の支払いは世帯主が行います。世帯主自身が被用者保険の対象になっている場合でも、世帯員に1人でも国民健康保険対象者がいる場合は、世帯主が手続等を行わなければなりません。
一方、後期高齢者医療制度は、75歳以上の人がひとりひとり個人単位で被保険者として加入するため、世帯主が手続きをするという考え方ではありません。
| 制度 | 扶養の有無 |
|---|---|
| 被用者保険 健康保険・船員保険・共済組合 | あり ただし、扶養要件あり |
| 国民健康保険 | なし(加入者全員が個人単位の被保険者) ただし世帯主が手続等を行う |
| 後期高齢者医療制度 | なし(75歳以上の人が個人単位の被保険者) |


コメント