医療保険という言葉は、国民が加入する公的な医療保険制度全体を指す言葉です。我が国では1922年の健康保険法→1938年の国民健康保険法制定、その後の法改正を経て、国民皆保険制度が確立しています。
ただし、国民全員が同じ医療保険に加入しているわけではありません。年齢や働き方によって、加入する医療保険が分かれています。

まず一番上の段が「被用者保険」で、会社員や公務員が加入する医療保険です。この被用者保険は「被保険者の被扶養者(扶養されている家族)」も対象にしていますので、働いている本人と扶養している家族全員がこの医療保険に加入します。
またここでいう「被用者」は「正社員」という意味ではありません。「使用される者」ですので、短時間労働者も含めて「被用者」なので、注意してください。
「扶養」については別記事(リンク予定)
真ん中の段が被用者とその家族以外の人を対象にしている国民健康保険です。
下の段が後期高齢者を対象にした後期高齢者医療制度です。
今回は一番上の段の被用者保険に着目します。
被用者保険に含まれる3つの制度
被用者保険をさらに三つのグループに分けると①健康保険②船員保険③共済組合に分類されます。さらに①の健康保険には協会けんぽ(全国健康保険協会管掌健康保険)と大企業用の組合健保(組合管掌健康保険)に分類されます。これらを健康保険と呼ぶのは、協会けんぽと組合健保は「健康保険法」に定められているからです。
健康保険=被用者保険
健康保険=医療保険
このようなイメージで問題を解こうとすると、間違ってしまいます。
健康保険=協会けんぽと組合健保のことです。
「健康保険」は、医療保険の「どこ」を指しているのか、最初から意識して覚えましょう。
*この被用者保険には健康保険法第3条第2項被保険者(日雇い特例被保険者制度)もありますが、今回のテーマとは少しずれてしまうのでここでは割愛しています。

| 制度名 | 根拠法 | 対象になる人 |
|---|---|---|
| 健康保険 (協会けんぽ・組合健保) | 健康保険法 | 民間企業の会社員とその家族 |
| 船員保険 | 船員保険法 | 船員とその家族 |
| 国家公務員共済組合 | 国家公務員共済組合法 | 国家公務員とその家族 |
| 地方公務員共済組合 | 地方公務員等共済組合法 | 地方公務員とその家族 |
| 私立学校教職員共済 | 私立学校教職員共済法 | 私立学校の教職員とその家族 |
共済組合の対象者≠健康保険
以上のことから、公務員や私立学校の教職員は「共済組合」の対象者です。
公務員は「健康保険」の対象であるという文章は誤りなので、注意しましょう。
確かに、健康保険と共済組合は、同じ被用者保険の枠組みに含まれていますが、根拠法が異なるため、公務員や私立学校の教職員は健康保険法上の被保険者にはなりません。
過去問を解いて確認しましょう
第38回・問題28
3 公的医療保険のうち被用者の医療保険が、健康保険に一元化された。
3→× 被用者の医療保険は健康保険に一元化されておらず、共済組合や船員保険も別の制度として残っている
第37回・問題28
事例を読んで、社会保険制度の加入に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
〔事例〕 Aさん(23歳)は常勤の国家公務員である。Aさんの配偶者であるBさん(18歳)は無職であり、Aさんに扶養されている。
1 Aさんは厚生年金保険の被保険者である。
2 Aさんは介護保険の第二号被保険者である。
3 Aさんは雇用保険の被保険者である。
4 Bさんは健康保険の被保険者である。
5 Bさんは国民年金の第三号被保険者である。
国家公務員は共済なので、「健康保険」ではないということを問う典型的な問題ですね。
1→○ 国家公務員も厚生年金保険の被保険者である
2→× Aさんは23歳であり、介護保険第2号被保険者の年齢要件(40歳以上65歳未満)を満たさない
3→× 国家公務員は雇用保険の適用が除外されている
4→× Bさんは共済組合の被扶養者であり、健康保険の被保険者ではない
5→× Bさんは18歳であり、国民年金第3号被保険者の年齢要件(20歳以上60歳未満)を満たさない


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