医療法改正で問われる論点を整理するポイント
医療法は1948年(昭和23年)に制定され、病院や診療所の開設・管理、人員や設備の基準などを定めています。制定から長く大きな改正はありませんでしたが、1985年(昭和60年)の第一次改正で医療計画と医療圏が導入され、以後、人口構造や社会環境の変化に伴い、医療提供体制の整備を進める改正を繰り返してきました。
この記事では、その中でも出題回数が多い第二次改正と第三次改正、第六次改正について主に取り上げます。いずれも第34回問題73と第35回問題73で出題されています。
医療計画と医療圏(第一次医療法改正)
国家試験にも出題される「医療計画」や「医療圏」が導入されたのは、1985年(昭和60年)の第一次医療法改正です。病床の地域的な偏在を是正するために、都道府県が医療計画を策定し、医療圏ごとに必要病床数を定める仕組みが作られました。
医療計画と医療圏については、こちらで整理しています。
→医療計画・保健所と二次医療圏|策定主体・計画期間・医療圏を過去問で解説
特定機能病院(第二次医療法改正)
特定機能病院は、1992年(平成4年)の第二次医療法改正で創設されました。
高度の医療を提供する能力、高度の医療技術の開発及び評価を行う能力、高度の医療に関する研修を行わせる能力を備えた病院として、厚生労働大臣が承認します。国立がんセンターや国立循環器センター、全国の大学病院などが該当します。
同じ第二次医療法改正では、療養型病床群の設置も制度化されました。長期にわたり療養を必要とする患者を対象とする病床です。
地域医療支援病院(第三次医療法改正)
地域医療支援病院は、1997年(平成9年)の第三次医療法改正で創設されました。
かかりつけ医等を支援し、地域医療の確保を図る病院として、都道府県知事が承認します。紹介患者に対する医療の提供、施設や設備の共同利用、救急医療の提供、地域の医療従事者に対する研修などを行います。
承認する主体が、特定機能病院は厚生労働大臣、地域医療支援病院は都道府県知事である点は、区別して押さえておきましょう。
地域医療構想(第六次医療法改正)
地域医療構想は、2014年(平成26年)の第六次医療法改正により、医療計画に位置づけられたものです。
病床の機能分化と連携を進めるために、構想区域ごとに将来の病床数の必要量を定めます。同じ改正で、病床機能報告制度も導入されました。
地域医療構想と病床機能報告については、こちらで整理しています。2025年には地域医療構想の見直しが行われていますので、こちらも要チェックです。
→【2025年医療法改正】新たな地域医療構想をわかりやすく
→病床機能報告制度の「包括期」をわかりやすく解説
最近の動き
令和6年度からの第8次医療計画では、医療計画で扱うべき5事業に新興感染症等の感染拡大時における医療が加わり、6事業となりました。新型コロナウイルス感染症への対応を踏まえたものです。
また、2025年(令和7年)の医療法改正により、新たな地域医療構想が示されました。従来の病床機能に加えて、医療機関機能という視点が加わっています(2025年12月に成立し、2026年4月から順次施行されます)。
過去問で確認しましょう
第34回 問題73
次の記述のうち、2014年(平成26年)の医療法改正(第六次)の内容として、正しいものを1つ選びなさい。
1 地域医療支援病院制度が創設された。
2 医療計画に地域医療構想の策定が位置づけられた。
3 特定機能病院制度が創設された。
4 地域的単位として、新たに区域(医療圏)が創設された。
5 療養型病床群の設置が制度化された。
まとめて解説
1 →× 地域医療支援病院制度が創設されたのは、第三次医療法改正です。
2 →〇 第六次医療法改正により、医療計画に地域医療構想の策定が位置づけられました。
3 →× 特定機能病院制度が創設されたのは、第二次医療法改正です。
4 →× 医療圏が創設されたのは、第一次医療法改正です。
5 →× 療養型病床群の設置が制度化されたのは、第二次医療法改正です。
第35回 問題73
日本の医療提供体制に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 医療計画は、市町村が策定義務を負っている。
2 地域医療支援病院は、第1次医療法の改正(1985年(昭和60年))に基づき設置された。
3 診療所は、最大30人の患者を入院させる施設であることとされている。
4 介護医療院は、主として長期の療養を必要とする要介護者に対し、療養上の管理、看護、医学的管理の下での介護、必要な医療及び日常生活上の世話を行う。
5 地域包括支援センターは、地域における高齢者医療の体制を整えるため、地域医療構想を策定する義務を負う。
まとめて解説
1 →× 医療計画を策定するのは都道府県です。
2 →× 地域医療支援病院が創設されたのは、第三次医療法改正です。第一次改正で導入されたのは医療計画と医療圏です。
3 →× 診療所は、患者を入院させるための施設を有しないもの、又は19人以下の患者を入院させるための施設を有するものです。
4 →〇
5 →× 地域医療構想を策定するのは都道府県です。

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