新カリキュラムの傾向
第37回から科目名が「保健医療サービス」から「保健医療と福祉」に変わり、1回あたりの問題数も7問から6問になりました。変わったのは名前と問題数だけではありません。問われる中身が動いています。
第29回から第36回までの8回は、制度の知識をそのまま問う問題が中心でした。医療保険の給付、診療報酬、医療施設の基準、医療計画といった政策・制度・サービスの領域から、1回あたり4問から5問が出題されています。ところが第37回はこの領域が1問、第38回は2問です。
入れ替わるように増えたのが事例問題です。第37回は6問のうち3問、第38回は6問のうち2問が事例形式でした。第29回から第36回までの56問では12問ですから、1回あたり1.5問だったものが2.5問になった計算です。
また、インフォームドコンセント、意思決定支援、医療倫理の4原則、臓器移植といった論点は、第29回から第33回までの5回で出題されていなかったものの、第34回問74で初めて出題されてから、第36回問76、第37回問106、第38回問106と3回続けて出題されています。
一方、専門職の業務範囲と多職種連携(理学療法士や作業療法士の業務、医師法に定める医師の業務、チーム医療の形)といった論点は、第29回から第35回までの7回で10問出題されていましたが、近年は出題されていません。
勉強する順番
第29回から第38回までの10回・68問を分析した結果、次の順番で勉強することをお勧めします。
1 医療保険制度→共通科目の社会保障と必要な知識はほぼ同じ
↓
2 診療報酬制度
↓
3 医療提供体制
↓
4 事例問題
↓
5 保健医療に係る倫理
↓
6 専門職の役割と多職種連携
↓
7 保健医療の動向
1を先頭に置いたのは、10回で15問と最も多く、そしてこの15問が共通科目の社会保障と重なるからです。出題基準では、社会保障の大項目6「社会保障制度の体系」に医療保険制度の概要が入っています。健康保険、国民健康保険、後期高齢者医療制度、高額療養費、傷病手当金、労災保険の療養補償給付は、どちらの科目でも問われます。
2の診療報酬制度を2番目に置いたのは、診療報酬が医療保険という枠組みの一部だからです。療養の給付として保険から支払われる金額を、点数で定めたものが診療報酬です。10回で6問、第35回から第38回まで4回続けて出題されています。
3の医療提供体制は16問です。病院の種類、医療計画、地域医療構想、保健所が中心です。
4の事例問題を4番目に置いたのは、1から3の知識がついていれば解けるようになっているはずなので、まずは基礎をかためてから事例を解いてみてください。
5の倫理は4問です。合計は少ないのですが、第36回から3回続けて出題されています。
6の専門職の役割と多職種連携は10問です。第29回から第35回までの7回に集中していて、第36回、第37回、第38回では出題されていませんが、出題基準には入っていますので、前半が終わったら最後に確認すると良いでしょう。
よく出る分野
現行の出題基準の大項目に1問ずつ割り当てて数えると、次のようになります。
政策・制度・サービスの領域が37問で、68問の半分以上を占めます。この37問を中項目ごとに分けると、次のようになります。
医療保険制度が15問で最も多くなっています。このうち6問は国民医療費の統計を問うもので、第29回問70、第30回問70、第31回問71、第34回問71、第35回問71、第36回問71です。残りの9問は、保険者と被保険者、給付の種類、一部負担金、高額療養費、後期高齢者医療制度を問うものです。
保健医療対策が11問です。医療計画と地域医療構想が5問、保健所が2問、へき地医療、がん対策、災害拠点病院、医療提供体制がそれぞれ1問です。
診療報酬制度が6問、医療施設が5問です。医療施設の5問は、病院と診療所の種類と基準が3問、訪問看護ステーションと訪問看護が2問です。
繰り返し出題されている論点
同じ論点が何度も出題されています。3回以上出題されたものと、直近2回で出題されたものを並べます。
医療費の動向は6問と最も多い論点ですが、第37回・第38回では出題されていません。診療報酬は第35回から4回続いています。医療倫理と意思決定は、第36回から3回続いています。
分析データ
ここから先は、上の勉強の仕方をまとめる根拠にした集計です。勉強の仕方だけ知りたい方は、ここまでで大丈夫です。
集計の方法
第29回から第38回までの10回分を、現行の出題基準の大項目に1問ずつ割り当てて集計しました。複数の項目にまたがる問題は、正答の論点にあたる項目を1つだけ選んでいます。第36回までは「保健医療サービス」という科目名で各回7問、第37回からは「保健医療と福祉」に変わって各回6問です。8回×7問と2回×6問で、合わせて68問になります。社会福祉士の専門科目ですので、精神保健福祉士の試験では出題されません。
大項目別の内訳
大項目2の「保健医療に係る政策・制度・サービスの概要」が37問です。中項目別では、医療保険制度が15問、保健医療対策が11問、診療報酬制度が6問、医療施設が5問です。
大項目5の「保健医療領域における支援の実際」が15問です。医療ソーシャルワーカーの業務指針、入院中・退院時の支援、在宅医療における支援、終末期ケア、家族に対する支援がここに入ります。
大項目4の「保健医療領域における専門職の役割と連携」が10問です。専門職の業務範囲を問うものが7問、多職種連携の形を問うものが3問です。多職種連携は第29回問76の地域連携クリティカルパス、第30回問76の緩和ケアチーム、第35回問76のトランスディシプリナリモデルです。
大項目3の「保健医療に係る倫理」が4問、大項目1の「保健医療の動向」が2問です。
事例問題
大項目にかかわらず、事例形式で出題されたものを別に数えました。10回68問のうち17問です。第29回から第36回までの8回56問では12問、第37回と第38回の2回12問では5問です。
この17問のうち15問は、医療ソーシャルワーカーが登場して、その対応や説明の内容を問うものでした。残りの2問は、第34回問70の公的医療保険の給付を問うものと、第36回問76の人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドラインに沿った対応を問うものです。
なお、この分類は1問につき主たる項目を1つだけ割り当てたものです。特定健康診査を問う第32回問72、訪問看護を問う第33回問75と第36回問74、治療と仕事の両立支援を問う第37回問107は、別の大項目に割り当てる考え方もあります。実際の試験では複数の項目にまたがる選択肢も出題されますので、学習の目安としてご利用ください。


コメント