この記事の使い方
事例問題が苦手だという方は多いです。何とか事例問題に慣れようと、過去問を繰り返し読んで、正解の文章まで覚えてしまった方もおられるでしょう。それでも、本当に理解していることにはなりません。○になる理由、×になる理由、その論点がわかって、その事例全体を理解したことになります。ところが、過去問題集の解説は数行しかなく、それぞれの選択肢の正誤を分けている論点のすべてを網羅しているものはありません。そこで、この記事では事例問題を取り上げ、論点を一つ一つ丁寧に並べて、正誤の判断ができる力を養っていくお手伝いをします。
進め方は次のとおりです。はじめに事例と選択肢、そして正答を示します。そのあと、選択肢ごとに、その正誤を分けている論点を一問一答の形で整理します。事例問題の正答をただ確認する記事ではありませんので、それぞれの選択肢について、なぜ○なのか、なぜ×なのかの理由をじっくり確認しながら進めてください。
第37回 問題103
事例を読んで、A医療ソーシャルワーカー(社会福祉士)によるBさんへの説明に関する次の記述のうち、適切なものを2つ選びなさい。
〔事例〕
C県で暮らすBさん(56歳、会社員)は、1年前より箸が持ちにくい、重いものが持てない等の症状が見られ、1か月前より休職していた。1週間前に自宅の階段から転落し、病院に救急搬送された。大きなケガはなかったものの、両下肢の筋力低下が著しく、歩行が困難となっており、外来の医師より難病の疑いがあるとの説明を受け、D神経内科医師を紹介され受診した。その結果、筋萎縮性側索硬化症(ALS)との診断結果を受けた。今後の療養生活の支援が必要と考えたAは、Bさんへ次のような説明を行った。
1 「難病の治療費については、育成医療が適用されます」
2 「『難病法』による医療費の自己負担は徴収されません」
3 「『難病法』により、医療費は公費優先となります」
4 「一定の条件の下で、『障害者総合支援法』による障害福祉サービスの対象となります」
5 「県内の難病相談支援センターのピアサポーターによる支援があります」
正答 4と5
ここから、選択肢の正誤をわけている論点を確認していきます。
選択肢の論点を確認する
難病の治療費はどの制度で助成されるか?
登場人物を確認する
Bさん 56歳 会社員 C県で暮らしている
1年前から手や足の症状があり、1か月前から休職している
筋萎縮性側索硬化症(ALS)と診断された
A 病院の医療ソーシャルワーカー(社会福祉士)
Bさんの治療費について、次の①から③はそれぞれ○でしょうか、×でしょうか。選択肢を押すと答えが出ます。
① 難病の治療費には、育成医療が適用される
× 育成医療は障害者総合支援法の自立支援医療のひとつで、身体に障害のある児童を対象とするものです。難病の治療費を助成する制度ではありません。
② 難病の治療費を助成するのは、難病法の特定医療費である
○ 指定難病と診断され、重症度分類などの要件を満たした人が対象になります。
③ 自立支援医療の種類は、更生医療、育成医療、精神通院医療の3つである
○ 難病法の特定医療費は、この3つに含まれません。
自立支援医療についての記事はこちら
→自立支援医療
難病法による医療費は?
登場人物を確認する
Bさん 56歳 会社員 C県で暮らしている
1年前から手や足の症状があり、1か月前から休職している
筋萎縮性側索硬化症(ALS)と診断された
A 病院の医療ソーシャルワーカー(社会福祉士)
難病法による医療費は( )が優先し、自己負担は( )
医療保険が優先し、自己負担はあります 難病法の特定医療費は、医療保険を適用したうえで、残りの自己負担分を公費が負担します。自己負担は原則2割で、所得に応じた月額上限が設けられています。
公費負担医療についての記事はこちら
→公費負担医療とは|保険優先と全額公費の違いを一覧で整理
障害者総合支援法の対象者は?
登場人物を確認する
Bさん 56歳 会社員 C県で暮らしている
1年前から手や足の症状があり、1か月前から休職している
筋萎縮性側索硬化症(ALS)と診断された
A 病院の医療ソーシャルワーカー(社会福祉士)
Bさんが障害福祉サービスを利用できるかどうかを、順に確認します。
障害者総合支援法のサービスの対象者は誰か
身体障害者、知的障害者、精神障害者(発達障害者を含む)、難病等により一定の障害がある者 この4つです。児童については障害児が対象になります。
身体障害者福祉法の身体障害者とは(3つの要件)
別表に掲げる身体上の障害があること、18歳以上であること、都道府県知事から身体障害者手帳の交付を受けていること この3つを満たす人をいいます。手帳の交付は、指定都市の市長、中核市の市長も行います。
障害者総合支援法のサービスを使う場合、身体障害者は手帳が必要か
必要です 障害者総合支援法の身体障害者は、身体障害者福祉法の身体障害者を指します。定義に手帳の交付を受けていることが含まれていますので、手帳がなければ身体障害者としてサービスを利用できません。
難病等の人は手帳が必要か
必要ありません 対象となる疾病に該当し、一定の障害の程度にあることが医師の診断書などで確認できれば、手帳がなくてもサービスを利用できます。
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