この記事の使い方
事例問題が苦手だという方は多いです。何とか事例問題に慣れようと、過去問を繰り返し読んで、正解の文章まで覚えてしまった方もおられるでしょう。それでも、本当に理解していることにはなりません。○になる理由、×になる理由、その論点がわかって、その事例全体を理解したことになります。ところが、過去問題集の解説は数行しかなく、それぞれの選択肢の正誤を分けている論点のすべてを網羅しているものはありません。そこで、この記事では事例問題を取り上げ、論点を一つ一つ丁寧に並べて、正誤の判断ができる力を養っていくお手伝いをします。
進め方は次のとおりです。はじめに事例と選択肢、そして正答を示します。そのあと、選択肢ごとに、その正誤を分けている論点を一問一答の形で整理します。事例問題の正答をただ確認する記事ではありませんので、それぞれの選択肢について、なぜ○なのか、なぜ×なのかの理由をじっくり確認しながら進めてください。
第38回 問題33
事例を読んで、社会保険の保険料に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事例〕
Aさん(21歳、学生)は、両親であるBさん(50歳)とCさん(52歳)と3人で暮らしている。Aさんはアルバイトとして働いている。Bさんは、民間企業の正社員として働いており厚生年金保険の被保険者である。Cさんは就労経験がなく、Bさんの収入で生活しているので、申告書を提出している。
1 Bさんの年収によっては、Aさんは国民年金保険料の学生納付特例制度を利用できない。
2 Bさんは、国民年金保険料と厚生年金保険料の両方を納付する必要がある。
3 Bさんの介護保険料は、健康保険の保険料と一体的に徴収されている。
4 Cさんは、自ら介護保険料を納付する必要がある。
5 Cさんは、国民健康保険の保険料(税)を納付する必要がある。
正答 3
ここから、選択肢の正誤をわけている論点を確認していきます。
選択肢の論点を確認する
学生であるAさんの国民年金保険料はどうなるのか
登場人物を確認する
Aさん 21歳 学生 アルバイトとして働いている
Bさん Aさんの親 50歳 民間企業の正社員 厚生年金保険の被保険者
Cさん Aさんの親 52歳 就労経験がなく、Bさんの収入で生活している
Aさんは21歳の学生で、アルバイトとして働いています。次の①から③はそれぞれ○でしょうか、×でしょうか。選択肢を押すと答えが出ます。
① 学生納付特例制度は、Aさん本人の所得で判定される
○ 学生納付特例制度は、申請する学生本人の所得で判定します。
② 学生納付特例制度は、世帯主であるBさんの所得でも判定される
× 世帯主や配偶者の所得は問われません。Bさんの年収がいくらであっても、Aさんが学生納付特例制度を利用できるかどうかには影響しません。
③ Aさんは週20時間以上アルバイトをしていれば、厚生年金保険の被保険者になる
× 4分の3基準に満たない短時間労働者については、週20時間以上などの要件を満たしても、学生は適用の対象から除外されています。
国民年金の被保険者についての記事はこちら
→ 国民年金の被保険者|第1号・第2号・第3号を事例で確認
被用者保険の適用拡大についての記事はこちら
→ 被用者保険の適用拡大とは?4分の3基準と51人要件をわかりやすく整理
Bさんが納める保険料はどれか
登場人物を確認する
Aさん 21歳 学生 アルバイトとして働いている
Bさん Aさんの親 50歳 民間企業の正社員 厚生年金保険の被保険者
Cさん Aさんの親 52歳 就労経験がなく、Bさんの収入で生活している
Bさんは民間企業の正社員で、厚生年金保険の被保険者です。次の①から③はそれぞれ○でしょうか、×でしょうか。
① Bさんは、厚生年金保険料と国民年金保険料の両方を納める
× 厚生年金保険料の中に国民年金の分が含まれているため、国民年金保険料を別に納めることはありません。
② Bさんは、国民年金の被保険者ではない
× 厚生年金保険の被保険者は、国民年金の第2号被保険者にもなります。厚生年金保険料を納めることで、国民年金の保険料も納めたことになります。
③ Bさんが納めるのは厚生年金保険料で、その半分を事業主が負担する
○ 厚生年金保険料は、被保険者と事業主が半分ずつ負担します。
Bさんの介護保険料はどのように納めるのか
登場人物を確認する
Aさん 21歳 学生 アルバイトとして働いている
Bさん Aさんの親 50歳 民間企業の正社員 厚生年金保険の被保険者
Cさん Aさんの親 52歳 就労経験がなく、Bさんの収入で生活している
Bさんは50歳です。次の①から③はそれぞれ○でしょうか、×でしょうか。
① Bさんは50歳なので、介護保険の被保険者ではない
× 40歳以上65歳未満の医療保険加入者は、介護保険の第2号被保険者になります。Bさんは第2号被保険者です。
② Bさんの介護保険料は、健康保険の保険料と一体的に徴収される
○ 第2号被保険者の介護保険料は、加入している医療保険の保険料と合わせて徴収されます。
③ Bさんが障害年金を受給していると、介護保険料が年金から天引きされることがある
× 年金から天引きされるのは、65歳以上の第1号被保険者の介護保険料です。第2号被保険者の介護保険料は、年齢や受けている年金にかかわらず、加入している医療保険の保険料と合わせて徴収されます。なお、65歳以上の第1号被保険者については、老齢年金だけでなく障害年金や遺族年金も天引きの対象になります。
介護保険の被保険者についての記事はこちら
→ 介護保険の被保険者|第1号・第2号の区分と保険料の徴収方法
Cさんは保険料を納めるのか
登場人物を確認する
Aさん 21歳 学生 アルバイトとして働いている
Bさん Aさんの親 50歳 民間企業の正社員 厚生年金保険の被保険者
Cさん Aさんの親 52歳 就労経験がなく、Bさんの収入で生活している
Cさんは52歳で、就労経験がなく、Bさんの収入で生活しています。次の①から③はそれぞれ○でしょうか、×でしょうか。
① Cさんは就労経験がないので、国民年金の被保険者ではない
× 第2号被保険者に扶養されている20歳以上60歳未満の配偶者は、第3号被保険者になります。Cさんは第3号被保険者です。
② Cさんは52歳で介護保険の第2号被保険者にあたるので、自ら介護保険料を納める
× Cさんは健康保険の被扶養者ですので、介護保険料を自ら納めることはありません。Bさんが加入する医療保険の保険料に含まれています。
③ Cさんは、国民健康保険の保険料を納める必要はない
○ CさんはBさんの健康保険の被扶養者です。国民健康保険の被保険者ではありませんので、保険料を納めることはありません。
健康保険の被扶養者についての記事はこちら
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