産前産後及び育児休業期間中の保険料免除には、①年金の保険料と②医療保険の保険料に関するものがあります。さらに年金は国民年金と厚生年金、医療保険は国民健康保険と健康保険に分類して、それぞれ免除の仕組みを確認します。特に2026年に国民年金法が改正されていますので、要注意です。
年金保険の保険料免除
国民年金(第1号被保険者)
〇産前産後期間の国民年金保険料は納付しなくてよい。
〇免除される期間は、出産予定日または出産日が属する月の前月から4か月間。
(多胎妊娠の場合は、出産予定日または出産日が属する月の3か月前から6か月間。ここでいう出産とは妊娠85日(4か月)以上の出産を指し、死産、流産、早産、人工妊娠中絶も含まれる)
〇免除された期間は保険料を納付したものとして扱われ、老齢基礎年金の受給額には満額が反映。
今回法改正!
〇国民年金第1号被保険者については、産前産後期間の免除に加えて、2026年10月から育児免除制度が始まり、子が1歳になるまでの期間(産前産後免除期間と合わせて最大13か月間)も免除の対象になる。
厚生年金保険
〇厚生年金保険の被保険者が、産前産後期間中及び育児・介護休業法に基づく育児休業等を取得した場合、厚生年金保険料(被保険者本人の負担分と事業主の負担分の両方)が免除される。
〇産前産後休業とは、出産の日(予定日より後に出産した場合は予定日)以前42日(多胎妊娠の場合は98日)から、出産の日後56日までの間で、妊娠または出産を理由に労務に従事しなかった期間を指す。
〇免除された期間も、将来の年金額を計算する際には保険料を納めた期間として扱われる。
医療保険の保険料免除
国民健康保険
〇出産する被保険者本人(出産被保険者)の保険料のうち、所得割額と均等割額が産前産後期間相当分だけ免除される。
〇免除される期間は、出産予定日または出産日が属する月の前月から翌々月までの合計4か月間。
(多胎妊娠の場合は3か月前から翌々月までの合計6か月間になります)
〇国民健康保険には、育児期間中の保険料を免除する制度はなく、産前産後期間の免除(前月から翌々月までの4か月間)のみが設けられている。
健康保険
〇被保険者が取得した産前産後休業及び育児休業期間中は健康保険料が免除される。
〇免除される保険料は健康保険料(介護保険料を含む)で、被保険者本人の負担分と事業主の負担分の両方が対象。
制度の比較(注意点)
〇厚生年金保険と健康保険は、産前産後休業でも育児休業でも、休業した期間に応じて保険料が免除
〇国民年金(2026年改正)
2026年10月から育児免除制度開始
子が1歳になるまでの期間(産前産後免除期間と合わせて最大13か月間)も免除の対象
〇国民健康保険(改正無し)
産前産後期間の免除(前月から翌々月までの4か月間)のみ
過去問でチェックしましょう
第32回問題54
国民年金に加入している自営業者は,「産前産後期間」の間も国民年金の保険料を支払わなければならない。
→× 国民年金第1号被保険者の産前産後期間は、保険料の納付を要しない。
第32回51
育児休業期間中の厚生年金保険料は,被保険者分のみ免除される。
→× 育児休業期間中の厚生年金保険料は、被保険者分・事業主分の両方が免除される。
第36回問題50
出産・育児に係る社会保障の給付等に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 「産前産後期間」の間は、国民年金保険料を納付することを要しない。
2 出産育児一時金は、産前産後休業中の所得保障のために支給される。
3 育児休業給付金は、最長で子が3歳に達するまで支給される。
4 児童手当の費用は、国と地方自治体が折半して負担する。
5 児童扶養手当の月額は、第1子の額よりも、第2子以降の加算額の方が高い。
1 →〇 国民年金第1号被保険者の産前産後期間は、国民年金保険料の納付を要しません。
2 →× 出産育児一時金は出産費用を軽減するための一時金であり、産前産後休業中の所得保障を目的とするものではありません。
3 →× 育児休業の取得期間は、延長を含めても最長で子が2歳に達するまでであり、3歳までではありません。
4 →× 児童手当の費用は、国と地方自治体のほか、事業主からの拠出金によっても賄われており、国と地方の折半ではありません。
5 →× 児童扶養手当は、第2子以降の加算額よりも第1子の基本額の方が高くなっています。
第38回30
社会保険の保険料に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 労働者災害補償保険の保険料は,特別加入者については全額が免除となる。
2 雇用保険の保険料率は,事業主の負担分の方が労働者の負担分よりも大きい。
3 生活保護受給者による介護保険の保険料負担分は,介護扶助に加算される。
4 協会けんぽ(全国健康保険協会管掌健康保険)の保険料率は全国一律に設定されている。
5 介護休業期間中は,厚生年金保険の保険料負担が労使ともに免除される。
1 →× 労働者災害補償保険の特別加入者の保険料は、給付基礎日額に応じて算定され、全額免除にはならない。
2 →〇 雇用保険の保険料率は、雇用保険二事業(雇用安定事業・能力開発事業)の分が事業主のみの負担として上乗せされるため、事業主負担分の方が労働者負担分よりも大きい。
3 →× 生活保護受給者(第1号被保険者)の介護保険料は、生活扶助に加算される。介護扶助に加算されるのは介護サービスの利用料である。
4 →× 協会けんぽの保険料率は都道府県ごとに設定されており、全国一律ではない。
5 →× 介護休業期間中には、産前産後休業・育児休業のような社会保険料の免除制度はなく、休業中も労使双方が保険料を納める必要がある。


コメント