「ひきこもり」の定義が見直し|人数、ひきこもり地域支援センター事業も確認

社会福祉の原理と政策

「ひきこもり」というと、若い人の問題というイメージを持っている人は少なくないと思います。しかし、内閣府が令和4年度に行った実態調査では、15〜39歳のひきこもり当事者は約61万人、40〜64歳では約85万人と推計されており、合計すると約146万人、国民のおよそ50人に1人に当たります。

この記事では、ひきこもりに関する国家試験の出題を、定義・8050問題・地域の支援体制・事例対応の4つに整理して確認していきます。

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ひきこもりの定義

これまで、ひきこもりの定義が数回出題されています。

厚生労働省の「ひきこもりの評価・支援に関するガイドライン」による定義では、これまで「様々な要因の結果として社会的参加を回避し、原則的には6か月以上にわたって概ね家庭にとどまり続けている状態」とされています。そのため。以下のような問題が出題されていました。

第31回問36

ひきこもり対策推進事業における「ひきこもり」とは、様々な要因の結果として社会的参加を回避し、原則的には6か月以上にわたって家庭に留まり続けていることをいう。

→○ 厚生労働省のガイドラインによる定義の通りです。「1年以上」ではなく「6か月以上」である点に注意してください。

第36回問33

「ひきこもり支援推進事業の対象となるひきこもり状態にある者のひきこもりとは、『ひきこもりの評価・支援に関するガイドライン』によれば、原則的には2年以上家庭にとどまり続けていることをいう。
→×2年以上ではない

ところが、令和7年1月に策定された「ひきこもり支援ハンドブック~寄り添うための羅針盤~」では、支援対象者の定義が以下のように変わりました。

ひきこもり支援における対象者とは、社会的に孤立し、孤独を感じている状態にある人や、様々な生きづらさを抱えている状態の人となります。それぞれ一人ひとりの状況は違いますが、具体的には、何らかの生きづらさを抱え生活上の困難を感じている状態にある、家族を含む他者との交流が限定的(希薄)な状態にある、支援を必要とする状態にある、本人やその家族(世帯)です。また、その状態にある期間は問いません。

新しいハンドブックの支援対象者には、期間については「問わない」とされました。

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8050問題+生活困窮との複合問題

8050問題とは、80代の高齢の親と、50代の無職やひきこもり状態などにある独身の子が同居し、貧困や社会的孤立などの生活課題を抱えている状況を指します。ひきこもりが長期化すると、親も本人も高齢化し、経済的な困窮や社会的孤立が重なっていきます。8050問題は、ひきこもりの前提として押さえておくべき状況です。国家試験の問題ではより若い親子(60代と30代)の生活困窮とひきこもりの複合問題も出題されています。

生活困窮者自立支援法との複合問題も多いため、生活困窮者自立支援法に理解も深めておきましょう。

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地域の支援体制

ひきこもり地域支援センター事業の内容は、相談窓口としての機能、関係機関との連携体制の構築、普及・啓発、市町村への後方支援です。ひきこもりに特化した第一次相談窓口として、ひきこもり支援コーディネーターが配置されています。電話や来所による相談、訪問支援を行い、適切な関係機関への早期のつなぎを担う役割です。地域の多様な関係機関で構成される連絡協議会を設置するなど、ネットワーク作りに努めるとされています。

また、ひきこもりだけでなく生活困窮という状況に陥っている場合、自立相談支援機関の対応が問われることがあります。自立相談支援機関は、生活困窮者自立支援法に基づく事業として行われているものであり、ひきこもり支援そのものを目的とした専門機関ではありませんが、ひきこもりが生活困窮と重なった場合の相談窓口として事例問題の中に出てくることが多いです。

第33回問37

ひきこもり地域支援センター設置運営事業は、ひきこもりの状態にある人を一般就労につなげるための職業訓練を必須事業にしている。

→× 地域支援センターの事業内容は、相談窓口・関係機関との連携構築・普及啓発・市町村への後方支援です。職業訓練を必須事業とする規定はありません。

過去問で確認しましょう

第32回問34

福祉活動専門員が民生委員に提案することとして最も適切なものはどれか。
事例:社会福祉協議会の福祉活動専門員に、民生委員から、担当地域で80代の父親とひきこもりがちと思われる50代の息子が暮らす世帯があるが、どのように関わってよいか分からないという相談があった。雨戸が閉まっていることが多く、息子は就労しているかどうか分からない状態で、訪問した際には息子から「困っていることはない」というドア越しの対応のみで、父親に会うこともできなかった。

1 親子どちらも支援を求めていないため、民生委員は世帯への関わりを控える。
→× 支援を求めていないと判断するには、状況の把握が不足しています。

2 世帯の状況を把握するために、民生委員と一緒に訪問する。
→○ まだ状況が見えていない段階では、これが最も適切な対応です。

3 民生委員は父親の問題に焦点を当て、息子には関わらない。
→× 息子もひきこもりがちとされており、世帯全体への関わりが必要です。

4 民生委員が中心となって、ひきこもりの人とその家族の集いの場を設ける。
→× 本人や家族とまだ接点も持てていない段階での提案としては早すぎます。

5 複合的な課題を抱えた世帯の問題は、生活困窮者自立支援制度の自立相談支援事業の窓口に対応を任せる。
→× 経済的な困窮が明らかになっていない段階で、任せてしまうのは適切ではありません。

第35回問35

事例を読んで、自立相談支援機関のB主任相談支援員(社会福祉士)がこの時点で検討する支援として、適切なものを2つ選びなさい。

〔事例〕
Cさん(30歳代、男性)は、60歳代の両親と同居している。終日、自室でオンラインゲームをして過ごしており、10年以上ひきこもりの状態にある。父親はいくつかの仕事を転々としてきたが、65歳で仕事を辞め、その後は主に基礎年金で生活をしているため、経済的にも困窮している様子である。また、母親は長年にわたるCさんとの関係に疲れており、それを心配した民生委員が、生活困窮者自立支援制度の相談機関を紹介したところ、母親は自立相談支援機関に来所し、B主任相談支援員にCさんのことを相談した。

1 ひきこもりの人に配慮された居場所が、地域のどこにあるかを調べ、Cさんにその場所と事業・活動を紹介する。

2 まずはCさんが抱える心理的な課題に絞ってアセスメントを行い、支援計画を作成する。

3 福祉専門職による支援だけでなく、当事者や経験者が行うピアサポートや、ひきこもりの家族会などの情報を母親に提供する。

4 手紙やメール等を用いた支援は不適切であるため行わず、直接、Cさんと対面して支援する。

5 地域の支援関係者間で早期に支援を行うため、Cさんの同意を取る前に、支援調整会議で詳細な情報を共有する。

正答:1・3
支援会議と支援調整会議は名称は似ていますが、法律上の役割が全く違うので、必ず整理しておきましょう。支援会議はここ数年毎年出題されています。

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第38回問49

地域福祉における支援・配慮を要する者に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。

1 子ども・若者育成支援推進法に基づくヤングケアラーとは、家族の介護その他の日常生活上の世話を過度に行っていると認められる18歳未満の者をいう。

2 「困難女性支援法」における困難な問題を抱える女性とは、犯罪等により害を被った女性及びその家族又は遺族をいう。

3 「住宅セーフティネット法」における住宅確保要配慮者とは、生活困窮者自立支援制度による住居確保給付金の支給対象にならない者をいう。

4 災害対策基本法における避難行動要支援者とは、都道府県が作成する避難行動要支援者名簿への登載を希望する者をいう。

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5 「ひきこもり支援ハンドブック」におけるひきこもり支援対象者とは、社会的に孤立し、孤独を感じている状態にある人や、様々な生きづらさを抱えている状態の人をいう。

正答:5

念のため、他の4つの選択肢も簡単に触れておきます。

1 →× ヤングケアラーの年齢は「18歳未満」に限定されていません。子ども・若者育成支援推進法上は、より広い年齢層を含みます。
2 →× 困難女性支援法の「困難な問題を抱える女性」は、性的な被害や家庭関係の破綻など、生活上の困難に直面している女性を指すもので、犯罪被害者やその遺族に限定されません。
3 →× 住宅確保要配慮者は、低額所得者・被災者・高齢者・障害者・子育て世帯などを指し、住居確保給付金の対象外かどうかとは無関係です。
4 →× 避難行動要支援者は「登載を希望する者」ではなく、市町村が把握した要配慮者のうち特に支援が必要な者です。

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