家庭養育優先
児童福祉法第3条の2は、子どもをどこで、どのように養育するかについての優先順位を定めた条文です。2016年(平成28年)の児童福祉法改正で新設され、「家庭養育優先の原則」と呼ばれています。
里親制度や児童福祉施設、児童相談所の措置判断は、この条文の考え方が土台になっています。
国及び地方公共団体は、児童が家庭において心身ともに健やかに養育されるよう、児童の保護者を支援しなければならない。ただし、児童及びその保護者の心身の状況、これらの者の置かれている環境その他の状況を勘案し、児童を家庭において養育することが困難であり又は適当でない場合にあっては児童が家庭における養育環境と同様の養育環境において継続的に養育されるよう、児童を家庭及び当該養育環境において養育することが適当でない場合にあっては児童ができる限り良好な家庭的環境において養育されるよう、必要な措置を講じなければならない。
3段階の優先順位で理解する
<1段階>
まずは家庭での養育を最優先します。だからこそ、国や地方公共団体は、児童が家庭において心身ともに健やかに養育されるよう、児童の保護者を支援しなければなりません。この段階を支える仕組みとして、児童福祉法には子育て支援事業が規定されており、母子保健法にも産後ケア事業が導入されています。また、様々なニーズにトータルで対応できるようこども家庭センターも設置されています。
こども家庭センターについての記事はこちら
→こども家庭センターとは|児童家庭支援センター・児童相談所との違いを整理
<2段階>
しかし、児童福祉法における要保護児童(保護者のない児童又は保護者に監護させることが不適当であると認められる児童)に該当する場合は、一時保護を含めた対応を検討することになります。
一時保護についての記事はこちら
→一時保護とは?要件・期間・2025年施行の保護状司法審査をわかりやすく解説
一時保護を経たうえで、家庭での養育が継続できないと判断した場合は、国や地方公共団体は、家庭における養育環境と同様の養育環境(里親、特別養子縁組、小規模住居型児童養育事業:ファミリーホーム)において継続的に養育されるよう、必要な措置を講じなければなりません。これを家庭養護といいます。
里親と特別養子縁組についての記事はこちら
→里親の種類をわかりやすく解説|里親研修と認定・特別養子縁組制度についても
ファミリーホームについての記事はこちら
→【児童家庭福祉】法改正「自立援助ホーム」と「ファミリーホーム」の違い|要保護児童の行き先を整理する
<3段階>
<3段階>
さらに、里親やファミリーホームへの委託が難しい場合は、できる限り良好な家庭的環境(施設養育の中でもできるだけ家庭に近い形態)において継続的に養育されるよう、必要な措置を講じなければなりません。これを家庭的養護といいます。
社会的養護についての記事はこちら
→社会的養護とは|対象となる児童と5つの施設・措置の手続を整理さらに、里親やファミリーホームへの委託が難
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第35回問題137
児童福祉法の総則規定に関する次の記述のうち,最も適切なものを 1 つ選びなさい。
1 全て国民は,児童の年齢及び発達の程度に応じて,その意見が尊重されるよう努めなければならない。
2 全て保護者は,その養育する児童の福祉を等しく保障される権利を有する。
3 国は,児童を育成する第一義的責任がある。
4 全て国民は,児童の最善の利益を実現しなければならない。
5 全て児童は,家庭で育てられなければならない。
解説
正答は1です。
1→○ 記述のとおりです。2条1項です。
2→× 福祉を等しく保障される権利を有するのは、保護者ではなく児童です。
3→× 児童を育成する第一義的責任を負うのは保護者です。国及び地方公共団体は、保護者とともにその責任を負います。
4→× 児童の最善の利益が優先して考慮されるよう努めなければならない、と定められています。
5→× 3条の2は、家庭での養育が困難又は適当でない場合について、家庭における養育環境と同様の養育環境、できる限り良好な家庭的環境という順で措置を講じることを定めています。家庭で育てられなければならないとは規定していません。


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