児童をサポートする3つの機関
現在、児童分野でも市町村が第一線の相談機関と位置づけられています。ただし、市町村だけでは対応が難しい課題を抱えた子どもとその世帯があります。そのため、さまざまな相談機関や支援機関が用意されています。
全相談の入口として機能する市町村 児童分野の第一線の相談機関です。さまざまな相談を受け止めますが、専門性が高いものは専門機関につなぎます。
こども家庭センター その市町村に置かれる相談機関です。児童分野と保健分野のどちらの相談にも幅広く対応します。縦割りを脱却した相談機関として、令和6年4月から設置が進んでいます。
児童家庭支援センター より専門性が高い相談支援を受け付けます。市町村では対応できないが、児童相談所が必要なほどの深刻さと緊急性はない場合の相談支援を担当します。
児童相談所 最も専門性の高い機関です。専門職として児童福祉司も配置されています。
これらの役割がだいたい見えてきたら次に
①誰が設置するのか
②設置は義務か努力義務か
③何をする機関なのか
を確認すると、市町村と都道府県の役割分担も同時に見えてきて、すっきり理解できます。
こども家庭センターは縦割りから脱却
窓口の一本化
こども家庭センターは、それまで別々に置かれていた機関①子育て世代包括支援センター(母子保健法に基づく母子保健の機能)②市区町村子ども家庭総合支援拠点(児童福祉法に基づく児童福祉の機能)を一本化したものです。これにより、妊産婦、子育て世帯、こどもへの相談支援を一つの機関で実施できるようになりました。いわゆる「切れ目のない相談支援」を具体化した相談及び支援機関です。
2つを統合したことにより、現在は次のような特徴を持ちます。
・児童福祉法第10条の2と母子保健法第22条の両方に業務が規定されている
・母子保健を担当する保健師と、児童福祉の相談を担当する子ども家庭支援員が両方配置されている
・加えて両方の機能を統括する統括支援員が置かれる
ただし、現在のところ設置は努力義務にとどまっており、義務ではない点は注意しましょう。
サポートプラン(支援計画)
こども家庭センターでは、支援を必要とする方についてサポートプラン(支援計画)を作成します。支援対象者の意向、解決すべき課題、支援の種類及び内容を決定します。サポートプランの対象は、虐待のリスクがある家庭等に限られておらず、行政からの支援を希望する家庭も対象であり、予防的な関わりも担う機関です。
なお、第33回問題139、第34回問題139、第35回問題138では、事例の相談先として母子健康包括支援センター(子育て世代包括支援センター)が登場しています。令和6年4月からこども家庭センターに一体化されているため、今後の出題では名称が変わることが見込まれます。
児童家庭支援センターとの違い
児童家庭支援センターは、児童福祉法第44条の2に規定される児童福祉施設です。地方公共団体や社会福祉法人等が設置・運営しており、児童養護施設や乳児院などに併設されている例が多く見られますが、単独での設置も可能です。
設置にあたっては、都道府県知事が児童相談所からの指導委託先としてふさわしい専門性を有すると認めることが要件になっています。そのため、地域に必要と判断された場所に置かれる仕組みです。
市町村では対応できないが、児童相談所が必要なほどの深刻さと緊急性はない場合の相談支援を担当します。たとえば、施設入所までは必要ないものの、継続的な訪問や支援が必要な家庭があります。あるいは、施設を退所して間もなく、しばらく見守りが必要な家庭もあります。こうしたケースについて、児童相談所は継続的な指導が必要だと判断しますが、遠方の児童相談所が定期的に関わり続けるのは現実的ではありません。そこで、地域にある児童家庭支援センターに指導を委託します。
条文上の業務を確認しましょう。
①地域の児童に関する相談のうち、専門的な知識及び技術を必要とするものに応じ、助言を行うこと
②市町村の求めに応じ、技術的助言その他必要な援助を行うこと
③児童相談所からの委託を受けて指導を行うこと
④児童相談所、児童福祉施設等との連絡調整
上記のように、児童相談所が一時保護や措置に踏み切る段階でもないという地域の子どもと家庭を支えるのが児童家庭支援センターです。児童家庭支援センターは市町村より専門性の高い支援が可能ですが、一時保護や施設入所等の措置を決定する権限はありません。
3つの機関を表で整理
こども家庭センター→縦割りから脱却し、切れ目のない相談支援を行える場所
児童家庭支援センター→やや専門性の高い支援を、より身近な場所で受けられる場所
児童相談所→専門的な調査判定業務などを行う専門機関
| 機関 | 根拠法 | どこに置かれるか | 設置義務 | 主な役割 |
|---|---|---|---|---|
| こども家庭センター | 児童福祉法 第10条の2 | 市町村 | 努力義務 | 妊産婦・子育て家庭・こどもへの包括的な相談支援、サポートプランの作成 |
| 児童家庭支援センター | 児童福祉法 第44条の2 | 都道府県が必要性を判断した地域 | 規定なし | 専門的な相談への助言、児童相談所からの指導委託、市町村への技術的助言 |
| 児童相談所 | 児童福祉法 第12条 | 都道府県・指定都市 | 都道府県は義務 | 専門的な調査・判定、一時保護、施設入所等の措置 |
こども家庭センターは市町村、児童相談所は都道府県という対比が基本です。児童家庭支援センターは、この2つの間で地域の相談を受ける児童福祉施設と位置づけられます。
演習問題で確認!
演習問題
こども家庭センター及び児童家庭支援センターに関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 市町村は、こども家庭センターを設置しなければならない。
2 こども家庭センターは、子育て世代包括支援センターと市区町村子ども家庭総合支援拠点の機能を一体化したものである。
3 児童家庭支援センターは、児童相談所に併設される機関である。
4 児童家庭支援センターは、一時保護を行う権限を有している。
5 こども家庭センターは、都道府県が設置する。
まとめて解説
1 →× 児童福祉法第10条の2は「設置に努めなければならない」と規定しています。努力義務であり、義務ではありません。
2 →〇 母子保健の機能と児童福祉の機能を一体化した機関です。
3 →× 児童養護施設や乳児院などの児童福祉施設に併設されている形が多く、単独設置も可能です。児童相談所に併設される機関ではありません。
4 →× 一時保護を行うのは児童相談所です。児童家庭支援センターは児童相談所から指導の委託を受けますが、一時保護の権限はありません。
5 →× こども家庭センターを設置するのは市町村です。
児童相談所に配置される児童福祉司については、こちらで整理しています。


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