こども基本法を整理するポイント
こども基本法は、令和4年6月に成立し、令和5年4月から施行されている法律です。全20条の短い法律ですが、こども施策の土台になっています。
整理する順番は次の3つです。
①「こども」をどう定義しているか
②基本理念に何が書かれているか
③こども大綱とこども計画は誰が定めるのか
この3つが、そのまま出題されています。
こども基本法はなぜできたのか
第1条は、日本国憲法及び児童の権利に関する条約の精神にのっとり、と始まります。日本は平成6年に児童の権利に関する条約を批准していますが、条約の内容を国内法として位置づける包括的な法律がありませんでした。その役割を担うのがこども基本法です。
同じ時期に、こども家庭庁が発足しています。こども基本法とこども家庭庁設置法は同じ令和4年6月に成立し、どちらも令和5年4月に施行されました。法律とそれを動かす組織が、同時に作られました。
「こども」の定義に年齢はない
第2条は、この法律において「こども」とは、心身の発達の過程にある者をいう、と定めています。
年齢による区切りがありません。福祉の法律では年齢で区切るのが一般的なので、比べてみましょう。
| 法律 | 用語 | 定義 |
|---|---|---|
| 児童福祉法 | 児童 | 満18歳に満たない者 |
| 母子及び父子並びに寡婦福祉法 | 児童 | 満20歳に満たない者 |
| こども基本法 | こども | 心身の発達の過程にある者 |
| こどもの貧困の解消に向けた対策の推進に関する法律 | こども | こども基本法に規定するこども |
同じ「児童」でも、児童福祉法は18歳未満、母子及び父子並びに寡婦福祉法は20歳未満です。母子家庭等への支援は進学や就職の時期まで必要になるため、20歳未満とされています。
なお、児童福祉法は18歳未満の児童を、乳児(満1歳未満)、幼児(満1歳から小学校就学の始期に達するまで)、少年(小学校就学の始期から満18歳に達するまで)に分けています。
これに対してこども基本法は、年齢で区切らずに、学童期、思春期を経ておとなになるまでの切れ目のない支援を想定しています。
この定義は、他の法律にも広がり始めています。令和6年6月の改正で「子どもの貧困対策の推進に関する法律」は「こどもの貧困の解消に向けた対策の推進に関する法律」に名称が変わり(令和6年9月25日施行)、こどもの定義もこども基本法のものを使うようになりました。
「こども施策」の定義も同じ第2条にあります。次の3つが挙げられています。
①新生児期、乳幼児期、学童期及び思春期の各段階を経て、おとなになるまでの心身の発達の過程を通じて切れ目なく行われるこどもの健やかな成長に対する支援
②子育てに伴う喜びを実感できる社会の実現に資するため、就労、結婚、妊娠、出産、育児等の各段階に応じて行われる支援
③家庭における養育環境その他のこどもの養育環境の整備
②に就労や結婚が入っていることに注意してください。こども本人への支援だけでなく、その前段階の支援まで含まれています。
条約の4つの原則と子ども基本法の関係性
第3条には基本理念が6つ挙げられています。このうち前半の4つは、児童の権利に関する条約の一般原則を国内法に落とし込んだものです。
| 児童の権利に関する条約の一般原則 | こども基本法第3条 |
|---|---|
| 差別の禁止 | ①個人として尊重され、基本的人権が保障され、差別的取扱いを受けない |
| 生命、生存及び発達に対する権利 | ②適切に養育され、生活を保障され、愛され保護されるとともに、教育基本法の精神にのっとり教育を受ける機会が等しく与えられる |
| 意見を表明する権利 | ③年齢及び発達の程度に応じ、意見を表明する機会と社会的活動に参画する機会が確保される |
| こどもの最善の利益 | ④年齢及び発達の程度に応じ、意見が尊重され、最善の利益が優先して考慮される |
残る2つは、⑤こどもの養育は家庭を基本とし、保護者が第一義的責任を有するとの認識のもとで十分な支援を行うこと、⑥家庭や子育てに夢を持ち、子育てに伴う喜びを実感できる社会環境を整備すること、です。
②に教育基本法の精神にのっとりという文言が入っている点は、そのまま出題されています。福祉の法律に教育基本法が出てくるのは、意外性があると思うので、意識しないと正誤を答えるのは難しかったかもしれませんね。
こども大綱は義務、こども計画は努力義務
第9条で政府がこども大綱を定めることとされ、第10条で都道府県と市町村のこども計画が規定されています。
| 誰が | 何を | 義務か |
|---|---|---|
| 政府 | こども大綱 | 定めなければならない |
| 都道府県 | 都道府県こども計画 | 定めるよう努める |
| 市町村 | 市町村こども計画 | 定めるよう努める |
都道府県は国のこども大綱を勘案し、市町村は国のこども大綱と都道府県こども計画を勘案して定めます。
こども大綱は、それまで別々に作られていた少子化社会対策大綱、子供・若者育成支援推進大綱、子供の貧困対策に関する大綱の3つを一つに束ねたものです。令和5年12月に閣議決定されました。
また、こども大綱の案を作成する機関として、こども家庭庁にこども政策推進会議が置かれています。会長は内閣総理大臣です。
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第38回 問題95
こども基本法に関する次の記述のうち、適切なものを2つ選びなさい。
1 「こども」について、18歳に満たない者と定義されている。
2 「こども施策」には、子育てに伴う喜びを実感できる社会の実現に資するため、就労、結婚、妊娠、出産、育児等の各段階に応じて行われる支援が含まれている。
3 基本理念の一つとして、教育基本法の精神にのっとり教育を受ける機会が等しく与えられることとされている。
4 都道府県は、こども大綱を勘案して、都道府県こども計画を定めなければならない。
5 児童虐待を受けたと思われる児童を発見した者の通告義務が明記されている。
まとめて解説
1 →× こども基本法第2条は「心身の発達の過程にある者」と定義しています。年齢による区切りはありません。
2 →〇 第2条第2項第2号の規定のとおりです。
3 →〇 第3条第2号の規定のとおりです。
4 →× 都道府県こども計画は「定めるよう努める」とされており、努力義務です。市町村こども計画も同様です。
5 →× 通告義務を規定しているのは児童虐待防止法及び児童福祉法です。こども基本法には規定されていません。
こどもの相談を受ける機関については、こちらで整理しています。
→こども家庭センターとは|児童家庭支援センター・児童相談所との違いを整理
法律の条文が多すぎて、どこを読んでいいのかわからないと感じたら、読む「場所」を意識するのが早道です。どの法律も見るところは同じなので、その場所をこちらでお伝えします。


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