令和6年改正のポイント
子どもの貧困対策法(正式名称は子どもの貧困対策の推進に関する法律)は、令和6年6月26日に改正が公布がされ、令和6年9月25日に施行されました。
改正されたのは次の6点です。
①法律の題名が「こどもの貧困の解消に向けた対策の推進に関する法律」に変わった
以前の名称は「子どもの貧困対策の推進に関する法律」対策→解消へ
②第2条が新設され、「こども」の定義が置かれた
③基本理念に、将来の貧困を防ぐことと、切れ目のない支援が加わった
④大綱の指標に「ひとり親世帯の養育費受領率」が追加された
⑤大綱を定めるときに、こどもやその家族等の意見を反映させる規定が新設された
⑥民間の団体が行う支援活動を支援する規定が新設された
①法律名変更について
題名に「解消」という単語が新たに入ったのは、こども大綱(令和5年12月22日)で、「こどもの貧困を解消し、貧困による困難をこどもたちが強いられることのない社会をつくること」が明記されたためです。あわせて、法律の中の「子どもの貧困対策」という語も「こどもの貧困の解消に向けた対策」に置き換えられ、表記も「子ども」から「こども」に変わりました。
②こどもの定義について
この法律における「こども」は「こども基本法第二条第一項に規定するこどもをいう」と定義されました。18歳未満、20歳未満等、年齢で対象者を決定するのではなく「発達の過程にある者」と定義されているのが特徴です。
こども基本法第二条 この法律において「こども」とは、心身の発達の過程にある者をいう。
→こども基本法とは|こどもの定義・基本理念・こども大綱とこども計画を整理
③基本理念について
基本理念に新たに加わったのは以下2つです。
・こどもの現在の貧困を解消するとともに、将来の貧困を防ぐこと
・貧困の状況にある者の妊娠から出産まで、そしてそのこどもがおとなになるまでの各段階で、支援が切れ目なく行われるようにすること
④ひとり親世帯の養育費受領率について
養育費の受領率が低い状況が続いていたことを背景に、政府は令和5年4月に養育費受領率の達成目標を定めました。これを受け、この法律に基づく大綱の「こどもの貧困に関する指標」が見直されました。これまでは、こどもの貧困率、ひとり親世帯の貧困率、生活保護世帯に属するこどもの高等学校等進学率、生活保護世帯に属するこどもの大学等進学率の4つが定められていましたが、改正で「ひとり親世帯の養育費受領率」が追加され、5つになりました。
⑤意見反映の規定について(条約との関連に注意)
大綱を定めるにあたって、貧困の状況にあるこどもおよびその家族、学識経験者、こどもの貧困の解消に向けた対策に係る活動を行う民間の団体その他の関係者の意見を反映させるために必要な措置を講ずる規定が新設されました。
この法律の第1条は、児童の権利に関する条約およびこども基本法の精神にのっとると定めています。条約第12条の意見表明権、こども基本法の基本理念にある意見の尊重が、大綱づくりの手続にまで具体化されたことになります。当事者の意見を聞かずに大綱を作ることはできない、ということです。
条約の内容と4つの一般原則は、別の記事で整理しています。
→児童の権利に関する条約とは|受動的権利から能動的権利へ、4つの一般原則と国内の制度
⑥民間の団体への支援について(こども食堂や学習支援等)
国および地方公共団体は、民間の団体が行う貧困の状況にあるこどもおよびその家族に対する支援に関する活動を支援するため、財政上の措置その他の必要な施策を講ずるものとされました。こども食堂や学習支援など、これまで民間が担ってきた活動を、法律上に位置づけて財政面から支える根拠ができたことになります。
演習問題(過去問を法改正にあわせて演習問題にしました)
この法律は第33回問題141で出題されていますが、その後のこども基本法の制定と令和6年改正によって、条文の内容も条番号も変わっています。同じ視点で出題されることを想定して、現在の条文による演習問題を作成しました。
こどもの貧困の解消に向けた対策の推進に関する法律に関する次の記述のうち、正しいものには○、誤っているものには×をつけなさい。
1 この法律における「こども」とは、18歳に満たない者をいう。
2 こどもの貧困の解消に向けた対策は、こどもの現在の貧困を解消するとともに、こどもの将来の貧困を防ぐことを旨として推進されなければならない。
3 大綱に定める指標には、ひとり親世帯の養育費受領率が含まれる。
4 国および地方公共団体は、民間の団体が行う支援活動を支援するため、財政上の措置その他の必要な施策を講ずるものとされている。
5 政府は、2年ごとに、こどもの貧困の状況およびこどもの貧困の解消に向けた対策の実施の状況を公表しなければならない。
解説
1 →× 第2条は、こども基本法第2条第1項に規定するこどもをいうと定めています。こども基本法の「こども」は心身の発達の過程にある者であり、年齢では区切られていません。
2 →○ 第3条第2項の内容です。
3 →○ 第9条第2項第2号に列挙されています。
4 →○ 第15条の内容です。令和6年改正で新設されました。
5 →× 毎年、こども白書として公表されています。こども白書は、こども基本法に基づく年次報告で、少子化社会対策基本法、子ども・若者育成支援推進法、そしてこの法律に基づく年次報告が、こども白書に一本化されています。白書として政府の取り組みを毎年公表するという規定自体は一般的なもので、障害者基本法第13条に基づく障害者白書、高齢社会対策基本法に基づく高齢社会白書などもその一例です。

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