事例問題に出てくる専門職
児童・家庭福祉の事例問題は、冒頭で「A児童養護施設のB家庭支援専門相談員(社会福祉士)」のように、所属と職名が示されます。問われているのは、その時点でどう対応するのが適切かです。
誰がどこに配置されているのかがわかっていれば、事例文を落ち着いて読み進められますますので、その点を意識しながら読んでみてください。
児童福祉司(第34回問題141で出題)
児童福祉司は、児童相談所に配置しなければならないと規定されています(児童福祉法13条1項)。都道府県知事の補助機関である職員で、児童及びその保護者からの相談に応じ、必要な調査や社会診断を行い、指導を行います。
児童福祉司には、任用の要件が13条3項に列挙されています。こども家庭ソーシャルワーカー、社会福祉士、精神保健福祉士のほか、大学で心理学・教育学・社会学を専修して一定の実務経験を経た者、医師、社会福祉主事として一定の経験を積み講習会を修了した者などです。
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→ 児童福祉司・身体障害者福祉司・知的障害者福祉司|配置場所と任用資格の違いを整理
こども家庭ソーシャルワーカー
こども家庭ソーシャルワーカーは、令和4年の児童福祉法改正で創設され、令和6年4月1日から始まった認定資格(国家資格ではありません)です。特定の職場を指す職名ではなく、こども家庭福祉分野の従事者の専門性を認定するものです。児童相談所、こども家庭センター、児童養護施設、保育所、学校など、働く場所は幅広く想定されています。
子ども家庭ソーシャルワーカーは、児童福祉司の任用要件のひとつに位置づけられ、こども家庭センターの統括支援員の要件にもなっています。
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→ こども家庭センターとは|児童家庭支援センター・児童相談所との違いを整理
家庭支援専門相談員(第38回問題93、第35回問題142、第34回問題140で出題)
家庭支援専門相談員は、乳児院、児童養護施設、児童心理治療施設、児童自立支援施設に配置されます。ファミリーソーシャルワーカーとも呼ばれます。
家庭支援専門相談員は、児童相談所と密接に連携しながら、入所している児童の早期の家庭復帰や里親委託を実現するための相談援助を行います。保護者との面接や電話でのやりとりを重ね、親子関係の再構築を図ります。
資格要件は3つあり、社会福祉士または精神保健福祉士の資格を有する者、児童養護施設等で児童の養育に5年以上従事した者、児童福祉司の任用要件を満たす者のいずれかです。
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→ 社会的養護とは|5つの施設と里親・ファミリーホームの違いを整理
里親支援センターの職員(第33回問題136で出題)
里親支援センターは、令和6年4月1日から児童福祉施設として位置づけられました(児童福祉法44条の3)。それまで里親養育包括支援(フォスタリング)機関と呼ばれていたものが、施設として法律に規定されたかたちです。
ここで働く職員は、里親の広報とリクルート、里親になろうとする者への研修、児童と里親とのマッチング、委託後の里親養育への支援、委託児童の自立に向けた支援を行います。
児童養護施設と乳児院には、里親支援専門相談員が配置されることがあります。地域の里親を支援する職員です。
この回の出題時点では、まだ里親支援センターは創設されていません。
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意見表明等支援員(第37回問題91で出題)
意見表明等支援員は、令和6年4月1日から始まった意見表明等支援事業に位置づけられた職員です。児童福祉に関する知識等を有する者が、施設に入所している児童、里親に委託されている児童、一時保護されている児童などから意見や意向を聴き取り、それを児童相談所その他の関係機関に伝えて連絡調整を行います。
子どもを指導する立場ではなく、子どもの声をそのまま届ける立場です。この事業の背景にあるのが、児童の権利に関する条約12条の意見表明権です。自己の意見を形成する能力のある児童が、自己に影響を及ぼすすべての事項について自由に意見を表明する権利を保障するという規定が、国内の制度として具体化されたものです。
この記事の最後に載せています。
児童の権利に関する条約についての記事はこちら
→ 児童の権利に関する条約とは|受動的権利から能動的権利へ、4つの一般原則と国内の制度
スクールソーシャルワーカー(第34回問題136、第38回問題94で出題)
スクールソーシャルワーカーは、教育委員会に配置されて学校へ派遣される場合と、学校に配置される場合があります。文部科学省はどちらか一方が望ましいとはしておらず、地域の実情に応じて選ぶことになっています。
問題を抱える児童生徒が置かれた環境への働きかけ、関係機関とのネットワークの構築と連携、学校内におけるチーム体制の構築への支援、保護者や教職員への支援や情報提供を行います。関係機関との連携は校長や担任だけの仕事ではなく、スクールソーシャルワーカーの職務に含まれます。
女性相談支援員(第33回問題137、第37回問題93で出題)
女性相談支援員は、都道府県には配置が義務づけられ、市町村は配置に努めるものとされています。都道府県では女性相談支援センターや福祉事務所、市町村では福祉事務所や本庁に配置されます。令和6年4月1日の困難女性支援法の施行により、婦人相談員から名称が変わりました。
困難な問題を抱える女性の発見に努め、その立場に立って相談に応じ、専門的技術に基づいて必要な援助を行います。DV防止法にも、被害者の相談に応じ必要な援助を行うことができると規定されています。
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→ 女性支援新法とは|困難女性支援法の定義と女性相談支援センター・女性自立支援施設
演習問題
専門職が配置される場所について、次のうち正しいものを 1 つ選びなさい。
1 家庭支援専門相談員は、母子生活支援施設に配置される。
2 児童福祉司は、市町村に配置しなければならない。
3 女性相談支援員は、都道府県には配置が義務づけられている。
4 里親支援専門相談員は、児童相談所に配置される。
5 意見表明等支援員は、児童養護施設に配置が義務づけられている。
解説
1 →× 家庭支援専門相談員が配置されるのは、乳児院、児童養護施設、児童心理治療施設、児童自立支援施設です。母子生活支援施設には母子支援員と少年を指導する職員が配置されます。
2 →× 児童福祉司を配置しなければならないのは児童相談所です。
3 →○
4 →× 里親支援専門相談員が配置されるのは、児童養護施設と乳児院です。
5 →× 意見表明等支援員は意見表明等支援事業に位置づけられた職員で、児童養護施設への配置が義務づけられているものではありません。
「母子支援員」については、「母子・父子自立支援員」と名称が似ています。気を付けましょう。
過去問を解いてみましょう
第38回 問題93
事例を読んで,次の記述のうち,母親の発言を受けた乳児院のA家庭支援専門相談員のこの時点での対応として,適切なものを 2 つ選びなさい。
〔事 例〕
乳児院に入所中のBさんは 1 歳である。出産直後に児童相談所が母親の同意を得て,乳児院への入所措置となった。母親(20 歳)は,生活が落ち着くまでは月 1 回程度の頻度であったが,ここ半年程は週 1 回から 2 週に 1 回の面会を重ねている。最近,母親が面会の際に,Aに向かって「児童相談所から,はじめて取り組む養育であり,現実的に仕事と子育てとの両立は大変だろうと言われた」。続けて「でも,養子縁組は考えられないし,児童養護施設への措置変更も受け入れられない。 2 歳の誕生日までには引き取りたい」と発言した。
1 保育所に通わせることが,家庭引き取りの条件になることが多いので,この機会で保育所を利用するための申し込みを促した。
2 定期的に面会に来ていることの評価を踏まえ, 2 歳の誕生日を目標に家族再統合に向けた取組を一緒にしてみないかと助言する。
3 親が家庭引き取りをすることを前提とし,面会交流ができる養育里親に関して説明した。
4 養子縁組は子どもに安定した家庭を提供する制度であることを丁寧に説明し,国や自治体が作成している資料やパンフレットなどを提供した。
5 小規模で家庭的な児童養護施設が増えていることを話して,児童養護施設への措置変更も選択肢の一つとして考えるように話した。
解説
1 →× 保育所の利用が家庭引き取りの条件になるわけではありません。
2 →○
3 →○
4 →× 母親は養子縁組は考えられないと述べています。この時点で資料を提供する対応は意向に沿いません。
5 →× 母親は児童養護施設への措置変更も受け入れられないと述べています。
家庭支援専門相談員が、家庭復帰に向けて保護者と一緒に取り組む職員であることが表れた事例です。

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