【流れで覚える歴史シリーズ】社会保障⑥|年金の歴史・1941年から2004年まで一気読み

社会保障

語呂合わせで、年表を覚えようとしていませんか? 法律は「いつできたか」ではなく「どのような背景で、どのような内容だったか」を覚えていないと解けません。 時代背景と一緒に、流れで覚えていきましょう。

今回のテーマは「年金の歴史」です。①〜④の記事は時代ごとに全体を追いましたが、この記事では年金という一つの軸だけを取り出して、1941年から2004年までを一気にたどります。年金の歴史だけを確認したいときは、この記事をご利用ください。

①戦前・社会保険のはじまりはこちら
②戦後・国民皆保険皆年金への道はこちら
③福祉元年から見直しの時代へはこちら
④介護保険と平成以降はこちら
⑤医療保険の歴史はこちら
→⑥年金の歴史はこちら→今ここ
⑦労災・雇用・介護保険の歴史

年金の改正プロセスだけを抜粋して、年表で確認しましょう。

出来事ポイント
1941年労働者年金保険法の制定1944年に厚生年金保険法へ改称
1959年国民年金法の制定被用者以外にも・無拠出の福祉年金
1961年国民皆年金専業主婦・学生は任意加入のまま
1973年物価スライド制の導入福祉元年・給付水準の引き上げ
1985年基礎年金の導入(施行1986年)2階建て構造・第3号被保険者
1991年学生の強制加入20歳以上全員加入が完成
2004年マクロ経済スライドの導入
離婚時の年金分割導入
給付の伸びを自動調整
3号分割・同意分割
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1941年・労働者年金保険法(公的年金のはじまり)

公的年金は、1941年(昭和16年)の労働者年金保険法から始まりました。対象は工場などの男性労働者です。1944年(昭和19年)に厚生年金保険法へ改称され、事務職員や女性にも対象が広がりました。戦時中に年金が作られた背景は、①の記事をご参照ください。

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1959年・国民年金法(被用者以外にも年金を)

厚生年金がカバーするのは被用者だけで、農民や自営業者には年金がありませんでした。1959年(昭和34年)、国民年金法が制定され、被用者以外の人も年金の対象になりました。

また、制度発足時にすでに高齢で、保険料を積み立てる時間がない人たちのために、全額税金で賄う無拠出の福祉年金も用意されました。福祉年金の支給は、保険料の徴収に先立って1959年から始まっています。

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1961年・国民皆年金

1961年(昭和36年)、国民年金の保険料徴収が始まり、国民皆年金が実現しました。この時点では被用者の妻(専業主婦)や学生は任意加入でしたが、1985年・1991年改正で専業主婦や学生も強制加入の対象になりました。

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1973年・物価スライド制の導入

1973年(昭和48年)の福祉元年では、年金の物価スライド制の導入・給付水準の引き上げが行われました。物価が上がれば年金額も上がる仕組みが組み込まれることになりました。現在はマクロ経済スライドも用いられていますが、この時点では導入されていません(2004年改正をご参照ください)。

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1985年改正・基礎年金の導入(2階建てへ)

1985年(昭和60年)には大きな制度設計の見直しが行われました。
①年金改正は全国民共通の基礎年金が導入されました(1986年施行)

②20歳以上60歳未満のすべての人が国民年金(基礎年金)に加入し、被用者は厚生年金に加入する2階建ての構造になった。
③老齢基礎年金・障害基礎年金・遺族基礎年金の現在の仕組み再編(×新設)
(障害についても遺族についても、以前から対象者ごとに複数の年金の仕組みがありましたが、この改正で、障害基礎年金・遺族基礎年金という共通の1階部分にすっきり整理されました)

この改正で、被用者の被扶養配偶者(専業主婦など)は第3号被保険者となり、強制加入の枠に入りました。

1991年・学生の強制加入

さらに、任意加入対象者になっていた学生も、1991年(平成3年)に強制加入となりました。これで20歳以上の全員が国民年金に加入する形が完成します。

背景には、任意加入だった学生が在学中に障害を負った場合、障害年金を受け取れないという無年金の問題がありました。強制加入とあわせて、保険料を納めることが難しい学生のために、のちに学生納付特例制度(2000年〜)も作られています。

2004年改正・マクロ経済スライド

少子高齢化で年金財政の先行きが厳しくなる中、2004年(平成16年)の改正で、マクロ経済スライドが導入されました。現役世代の減少や平均余命の伸びに応じて、年金額の伸びを自動的に抑える仕組みです。あわせて、保険料の上限を固定し、その収入の範囲で給付を調整する枠組みに転換しました。このほか、離婚時の年金分割制度も、この改正で導入されています。

過去問で確認!

第36回 問題49(日本の社会保障の歴史)
4 1986年(昭和61年)に基礎年金制度が導入され、国民皆年金が実現した。
→× 国民皆年金の実現は1961年です。1986年に施行された基礎年金は、皆年金の実現ではなく、2階建て構造への再編です。

第38回 問題34(2000年以降の公的年金の制度改正)
2000年(平成12年)以降の公的年金の制度改正に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

1 20歳以上の学生を国民年金の強制加入とした 
2 国民年金に障害基礎年金制度が創設された 
3 厚生年金保険において、離婚時の年金分割制度を導入した 
4 年金額の改定の仕組みとして、物価スライド制を導入した 
5 国民年金に第3号被保険者を設けた

1 →× 学生の強制加入は1991年です。
2 →× 障害基礎年金は1985年改正(1986年施行)で創設されました。
3 →〇 離婚時の年金分割は2004年改正で導入されました(施行は2007年)。
4 →× 物価スライド制の導入は1973年の福祉元年です。
5 →× 第3号被保険者は1985年改正(1986年施行)です。

▼他のシリーズはこちら
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