医療保険の学習で多くの受験生が混乱しやすいのが「保険外併用療養費」です。理解しやすいよう、段階を追って整理していきます。
1. 原則と例外のルール
文章にするとわかりにくくなるので、箇条書きにしましょう。
①原則として、日本の公的医療保険では「保険診療」と「保険外診療(自由診療)」を同時に行う「混合診療」が禁止されています。
②もし混合診療を行った場合、本来は保険が適用される基礎的な診療部分も含めて、費用全額が自己負担(10割負担)になってしまいます。
③ただし、この原則の例外として、保険適用部分と保険外部分の併用を認める仕組みが「保険外併用療養費」です。
④厚生労働省は例外的に次の3つの分野のに「保険外」を「併用」することを認めています。
2. 認められている3つの区分
- 選定療養:特別の病室の提供(差額ベッド代)や、紹介状なしで大病院を受診した際の大病院初診料など、「患者が自ら選択して受ける追加的な医療サービス」です。
- 評価療養:先進医療や医薬品・医療機器の治験など、「将来的に保険適用とするかどうかを評価している段階の医療」です。
- 患者申出療養:未承認薬等を迅速に使えるよう、「患者からの申請に基づいて個別に対応する医療」です。
※言い換えると、これら以外の分野で保険外診療を併用した場合は「混合診療禁止」の原則が適用され、全額自費となります。
3. 医療費負担の全体像(3層構造)
保険外併用療養費が認められると、「全額自己負担になる」という原則が解除され、次のような仕組みで医療費を負担することになります。

①特別の費用(保険外の部分)
負担割合: 10割(全額自己負担)
内容: 差額ベッド代、評価療養、選定療養などの特別費用(ここは保険は適用されません)
② 基礎的な診療部分(一部負担金)
負担割合: 1〜3割(年齢や所得に応じて患者が窓口で支払う
③ 基礎的な診療部分(保険給付分)
負担割合: 7〜9割(公的保険から医療機関へ支払われる)
※ ②+③の合計が「基礎的な診療部分(通常の保険診療範囲)」です。
※ 保険外併用療養費制度が適用されることで、①の特別費用を払っても、②と③の基礎的診療部分は保険診療として維持されます。この③の給付部分(7〜9割)のことを「保険外併用療養費」と呼びます。
ポイントまとめ(国試対策)
- 原則: 混合診療は禁止(全額自己負担になる)。
- 例外: 保険外併用療養費制度を使えば、基礎的な診療部分(②+③)には保険が適用される。
- 差額ベッド代: 「選定療養」の代表例であり、全額自己負担(①)となる。
演習問題
① 特別の病室の提供(差額ベッド代)に係る費用は、全額が保険外併用療養費として給付される
×差額ベッド代の部分は全額自己負担です。基礎的な診療部分のみが保険給付されます
② 差額ベッド代は『選定療養』に含まれる
〇国試で出題される選定療養の代表例です
③ 保険外併用療養費が適用された場合でも、基礎診療部分の一部負担金(1〜3割)は支払う必要がある
〇基礎部分の自己負担分は通常通り発生します
④高額療養費が適用されない自己負担分については、保険外併用療養費を利用することができる。
×高額療養費が適用されない一般的な自己負担分(一部負担金)を保険外併用療養費で補うことはできません。保険外併用療養費は、特定の「保険外診療(差額ベッド代や先進医療など)」を併用した際に、基礎的な診療部分を保険適用とするための仕組みです
保険外併用療養費は主に保健医療と福祉で出題される分野です。高額療養費、診療報酬などのも頻出分野なので、必ずチェックしましょう!



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