日本の福祉の歴史シリーズ
語呂合わせで、年表を覚えようとしていませんか。法律は、いつできたかではなく、どのような背景で、どのような内容だったかを覚えていないと解けません。時代背景と一緒に、流れで覚えていきましょう。
日本の歴史は全6回です。
→①明治期|恤救規則と慈善事業家たち
→②大正期|済世顧問制度・米騒動・方面委員制度
→③昭和戦前|救護法から戦時厚生事業まで
→④福祉三法から福祉元年・オイルショックまで
→⑤福祉見直し論|新経済社会7カ年計画と日本型福祉社会
→日本の福祉の歴史⑥ゴールドプラン・福祉八法改正から基礎構造改革へ(この記事)
歴史の勉強の仕方についての記事はこちら
→歴史の勉強の仕方
今回のテーマはゴールドプランから基礎構造改革まで
日本の福祉の歴史、第6回はゴールドプランから基礎構造改革までです。この時代の中心は、1989年のゴールドプラン、1990年の福祉関係八法改正、2000年の介護保険法の施行と社会福祉基礎構造改革です。
ゴールドプランと福祉関係八法改正
ゴールドプラン(1989年)
1989年(平成元年)、消費税の導入と合わせて、政府は高齢者保健福祉推進十か年戦略(ゴールドプラン)を策定しました。急速に進む高齢化に対応するため、特別養護老人ホームやホームヘルパー、デイサービスなど、在宅と施設の両面にわたる整備目標を数値で示したものです。
この計画は1994年(平成6年)に見直され、新ゴールドプランとして整備目標がさらに引き上げられました。
福祉関係八法改正(1990年)
ゴールドプランを実行するための法整備として、1990年(平成2年)に福祉関係八法改正が行われました。老人福祉法や身体障害者福祉法など8つの法律をまとめて改正したことから、この名前で呼ばれます。
改正の内容は大きく3つです。
①それまで都道府県が担っていた措置権限の多くを市町村に移し、市町村が福祉サービスの実施主体になりました。
②老人保健福祉計画をはじめとする計画の策定を、市町村と都道府県に義務づけました。
③国、地方公共団体、社会福祉事業の経営者は、在宅福祉サービスを含む社会福祉を目的とする事業を、広範かつ計画的に実施するよう努めなければならないとされました。
3つ目とあわせて、社会福祉事業の経営者には、地域に即した創意と工夫をもって事業を行うことも求められました。
国家試験では、次のように出題されました。
○「地域において必要な福祉サービスを総合的に提供されるように、社会福祉を目的とする事業の広範かつ計画的な実施に努めなければならないとされた。」(第38回問題24)
×「市町村は、老人保健福祉計画、障害者計画、地方版エンゼルプラン(児童育成計画)をそれぞれ策定することとされた。」(第38回問題24)→福祉八法改正で義務づけられたのは老人保健福祉計画です。障害者計画は1993年の障害者基本法、地方版エンゼルプランは1994年のエンゼルプラン以降です。
○「国、地方公共団体、社会福祉事業を経営する者は、社会福祉を目的とする事業の実施にあたり、地域に即した創意と工夫を行うこととされた。」(第38回問題24)
福祉八法改正についての記事はこちら
→福祉八法改正をわかりやすく解説|ゴールドプランから老人保健福祉計画
介護保険法(1997年制定・2000年施行)
高齢化が進んで要介護の高齢者が増え、介護を家族だけで担うことが難しくなっていました。ゴールドプランと福祉八法改正で高齢者福祉の基盤を整えたうえで、1997年(平成9年)に介護保険法が制定されました。施行は2000年(平成12年)です。
介護保険制度の最大の特徴は、行政がサービスの種類や提供者を決定する措置から、利用者がサービスを選び、事業者と契約を結ぶ利用契約への転換にあります。この措置から契約へという流れは、介護保険にとどまらず、社会福祉の制度全体に広がっていきました。
1999年(平成11年)にはゴールドプラン21が策定されています。ゴールドプラン、新ゴールドプラン、ゴールドプラン21についての記事はこちら
→高齢者福祉の歴史③ゴールドプランと福祉八法改正
社会福祉基礎構造改革(2000年)
介護保険制度の考え方を社会福祉全体に広げたのが、2000年(平成12年)の社会福祉基礎構造改革です。社会福祉事業法が社会福祉法に改称・改正され、福祉サービスの利用の仕組みを、措置制度から利用者と事業者の対等な関係に基づく契約制度へと転換することが打ち出されました。
あわせて、地域福祉の推進を目的として、市町村地域福祉計画と都道府県地域福祉支援計画の策定、福祉サービスの適切な利用を支援する日常生活自立支援事業(当時の名称は地域福祉権利擁護事業)、苦情解決の仕組みなども整えられました。1951年(昭和26年)の社会福祉事業法の制定以来、約半世紀ぶりの大改正です。
国家試験では、次のように出題されました。
×「地域福祉の推進に努める観点から、市町村地域福祉計画と都道府県地域福祉支援計画を策定することとされた。」(第38回問題24)→市町村地域福祉計画と都道府県地域福祉支援計画が定められたのは、2000年の社会福祉法です。福祉八法改正の10年後です。
×「社会福祉を目的とする事業を経営する者は、福祉サービスの利用者の意向を十分に尊重することとされた。」(第38回問題24)→福祉サービスの利用者の意向の尊重は、2000年の社会福祉法の内容です。
すっきり整理 ゴールドプランから基礎構造改革までの年表
シリーズはここまでです
日本の福祉の歴史シリーズは、明治期から社会福祉基礎構造改革までの6回です。①から順に読むと、各制度がどのような背景で変わったかを確認できます。
→①明治期|恤救規則と慈善事業家たち
ほかの分野の歴史の記事はこちら
→歴史の記事マップ
過去問を解いてみましょう
第38回 社会福祉の原理と政策 問題24
1990年(平成2年)の「福祉関係八法改正」に関する次の記述のうち、適切なものを2つ選びなさい。
1 地域において必要な福祉サービスを総合的に提供されるように、社会福祉を目的とする事業の広範かつ計画的な実施に努めなければならないとされた。
2 地域福祉の推進に努める観点から、市町村地域福祉計画と都道府県地域福祉支援計画を策定することとされた。
3 市町村は、老人保健福祉計画、障害者計画、地方版エンゼルプラン(児童育成計画)をそれぞれ策定することとされた。
4 国、地方公共団体、社会福祉事業を経営する者は、社会福祉を目的とする事業の実施にあたり、地域に即した創意と工夫を行うこととされた。
5 社会福祉を目的とする事業を経営する者は、福祉サービスの利用者の意向を十分に尊重することとされた。
解説
1→○ 福祉関係八法改正の内容です。
2→× 市町村地域福祉計画と都道府県地域福祉支援計画が定められたのは、2000年の社会福祉法です。福祉八法改正の10年後です。
3→× 福祉八法改正で義務づけられたのは老人保健福祉計画です。障害者計画は1993年の障害者基本法、地方版エンゼルプランは1994年のエンゼルプラン以降です。
4→○ 福祉関係八法改正の内容です。
5→× 福祉サービスの利用者の意向の尊重は、2000年の社会福祉法の内容です。


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