高齢者福祉の歴史①|老人福祉法制定後の歴史をわかりやすく解説

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高齢者福祉
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高齢者福祉の歴史シリーズ

語呂合わせで、年表を覚えようとしていませんか。法律は、いつできたかではなく、どのような背景で、どのような内容だったかを覚えていないと解けません。時代背景と一緒に、流れで覚えていきましょう。

高齢者福祉の歴史は全4回です。
→高齢者福祉の歴史①|老人福祉法の制定から高齢化率7%まで(この記事)
→②老人医療費無料化と老人保健法
→③ゴールドプランと福祉八法改正
→④介護保険法の制定と改正

歴史の勉強の仕方についての記事はこちら
→歴史の勉強の仕方

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今回のテーマは老人福祉法から高齢化率7%まで

高齢者福祉の歴史、第1回は老人福祉法から高齢化率7%までです。この時代の中心は、1963年の老人福祉法の制定と、1970年に高齢化率が7%を超えたことです。

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老人福祉法ができる前は、生活保護法が支えていた

老人福祉法ができる前、高齢者の生活は貧困対策の法律の枠組みの中で支えられていました。高齢者は貧困状態であれば、恤救規則や救護法、旧生活保護法、新生活保護法の救済対象になりましたが、高齢者を対象とする独立した法律はありませんでした。そのため、生活保護法の保護施設の一つだった養老施設に、経済的な理由で居宅での生活が難しい高齢者が収容されていました。この養老施設は、1963年の老人福祉法によって「養護老人ホーム」へと引き継がれました。

生活保護法の変遷についての記事はこちら
→生活保護法の変遷|恤救規則・救護法・旧生活保護法からの改正点を解説

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1963年、老人福祉法が制定される

そうして1963年(昭和38年)、老人福祉法が制定されました。老人の福祉に関する原理を明らかにし、老人に対して心身の健康の保持及び生活の安定のために必要な措置を講じることを目的とする法律です。

この法律で規定された内容は、次の3つです。
①老人福祉施設:養護老人ホーム、特別養護老人ホーム、軽費老人ホーム、老人福祉センターなどが、老人福祉施設として規定されました。軽費老人ホームも、この1963年の時点ですでに規定されています。
②老人家庭奉仕員の派遣:老人家庭奉仕員(今のホームヘルパーの前身)は、長野県上田市などが独自に始めた「家庭養護婦派遣制度」という地方自治体の事業がルーツで、1962年に国庫補助の対象となり、この老人福祉法で初めて法律に位置づけられました。
③老人健康診査事業:65歳以上の高齢者を対象とした健康診査事業も、この老人福祉法で規定されました。この健康診査の仕組みは、のちに1982年の老人保健法へ引き継がれました。

1963年の時点では契約制度はなく、大半のサービスは措置として提供されていました。

老人福祉法の措置と、都道府県と市町村の役割についての記事はこちら
→高齢者分野における都道府県と市町村の役割|老人福祉法の措置・高齢者虐待防止法・認知症基本法を一覧表で確認

国家試験では、次のように出題されました。
×「1950年(昭和25年)の生活保護法では,常時介護を必要とする老人の家庭を訪問する老人家庭奉仕員が規定された。」(第36回問題127)→老人家庭奉仕員は、1963年の老人福祉法で規定されました。
○「1963年(昭和38年)の老人福祉法では,養護老人ホーム,特別養護老人ホーム,軽費老人ホームを含む,老人福祉施設が規定された。」(第36回問題127)
×「1963年(昭和38年)の老人福祉法の制定によって,デイサービスやショートステイを含む在宅福祉サービスが法定化された。」(第37回問題86)→デイサービスとショートステイは、1990年の福祉関係八法改正で法定化されました。
×「老人福祉施設の一つとして,介護老人保健施設が規定されている。」(第35回問題134)→介護老人保健施設は、介護保険法に規定された施設です。

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1970年、高齢化率7%を超える

老人福祉法の制定から7年後の1970年(昭和45年)、日本の高齢化率(65歳以上人口の割合)が7%を超えました。国際的な基準で「高齢化社会」に区分される数字です。同じ1970年、厚生省は社会福祉施設緊急整備5か年計画を策定しています(実施期間は1971〜1975年度)。特別養護老人ホームをはじめとする社会福祉施設を量的に整備するための計画で、この計画のもとで施設が増えていきました。税収が右肩上がりで伸びていた高度経済成長期だからこそ実現できた計画で、今のような財源の制約はありませんでした。

すっきり整理 老人福祉法から1970年までの年表

年できごと
1950年生活保護法(現行法)制定。養老施設を規定
1956年長野県上田市等で家庭養護婦派遣制度(老人家庭奉仕員の前身)が始まる
1961年国民皆保険・皆年金の実現
1963年老人福祉法 制定(老人福祉施設・老人家庭奉仕員・老人健康診査事業)
1970年高齢化率7%突入(高齢化社会へ)→社会福祉施設緊急整備5か年計画を策定

次回は老人医療費無料化と老人保健法です

次回は、1973年の老人医療費無料化から、1982年の老人保健法までを確認します。
→高齢者福祉の歴史②|老人医療費無料化と老人保健法をわかりやすく解説

高齢者福祉の一問一答についての記事はこちら
→高齢者福祉の一問一答(30問)|地域支援事業・歴史・老人福祉法と虐待防止

ほかの分野の歴史の記事はこちら
→歴史の記事マップ

過去問を解いてみましょう

第35回問題127

日本の高齢者保健福祉施策の変遷に関する次の記述のうち,正しいものを 1 つ選びなさい。

1 老人医療費支給制度による老人医療費の急増等に対応するため,1980 年代に老人保健法が制定された。
2 人口の高齢化率が 7 %を超える状況を迎えた 1990 年代に高齢社会対策基本法が制定され,政府内に厚生労働大臣を会長とする高齢社会対策会議が設置された。
3 認知症高齢者の急増に対応してオレンジプラン(認知症施策推進 5 か年計画)が 1990 年代に策定され,その計画推進を目的の一つとして介護保険法が制定された。
4 住まいと介護の双方のニーズを有する高齢者の増加に対応するため,2000 年代の老人福祉法の改正によって軽費老人ホームが創設された。
5 高齢者の医療の確保に関する法律による第 3 期医療費適正化計画では,2010 年代から 2020 年代の取組の一つとして,寝たきり老人ゼロ作戦が初めて示された。

解説

1→○ 老人医療費支給制度(1973年施行)により老人医療費が急増したことなどに対応するため、1982年に老人保健法が制定されました。
2→× 高齢化率が7%を超えたのは1970年です。高齢社会対策基本法は1995年に制定され、高齢社会対策会議の会長は内閣総理大臣です。
3→× オレンジプランが策定されたのは2012年です。介護保険法は1997年に制定されています。
4→× 軽費老人ホームは、1963年の老人福祉法制定時から規定されています。
5→× 寝たきり老人ゼロ作戦は、1989年のゴールドプランで示されました。

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第35回問題134

老人福祉法に関する次の記述のうち,正しいものを 1 つ選びなさい。

1 法律の基本的理念として,要援護老人の自立支援の重要性が規定されている。
2 老人福祉施設の一つとして,介護老人保健施設が規定されている。
3 やむを得ない事由で介護保険法の保険給付などが利用できない場合,市町村が採ることのできる福祉の措置の一つとして,居宅における介護等が規定されている。
4 市町村社会福祉協議会には,老人福祉センターを設置する義務があることが規定されている。
5 市町村老人福祉計画は,社会福祉法に基づく市町村地域福祉計画と一体のものとして作成されなければならないことが規定されている。

解説

1→× 老人福祉法の基本的理念は、老人が敬愛され、生きがいを持てる健全で安らかな生活を保障されることや、社会的活動に参加する機会を与えられることなどです。
2→× 介護老人保健施設は、介護保険法に規定された施設です。
3→○ 市町村は、やむを得ない事由により介護保険法の保険給付などを利用できない者に対し、福祉の措置として居宅における介護等を採ることができます。
4→× 老人福祉センターは老人福祉施設の一つとして規定されていますが、市町村社会福祉協議会に設置を義務付ける規定は置かれていません。
5→× 市町村老人福祉計画は、市町村介護保険事業計画と一体のものとして作成され、市町村地域福祉計画とは調和が保たれたものでなければなりません。

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第36回問題127

第二次世界大戦後の日本における高齢者保健福祉制度の展開過程に関する次の記述のうち,最も適切なものを 1 つ選びなさい。

1 1950 年(昭和 25 年)の生活保護法では,常時介護を必要とする老人の家庭を訪問する老人家庭奉仕員が規定された。
2 1963 年(昭和 38 年)の老人福祉法では,養護老人ホーム,特別養護老人ホーム,軽費老人ホームを含む,老人福祉施設が規定された。
3 1982 年(昭和 57 年)の老人保健法では,70 歳以上の高齢者にかかる医療費のうち,その自己負担分を無料化する老人医療費支給制度が規定された。
4 1997 年(平成 9 年)の介護保険法では,要介護認定を受け,要介護と判定された高齢者等は,原則 3 割の利用者負担で,介護サービスを利用できることが規定された。
5 2000 年(平成 12 年)の社会福祉法の改正では,高齢者保健福祉推進十か年戦略(ゴールドプラン)が策定されたことを受け,地域包括ケアシステムが規定された。

解説

1→× 老人家庭奉仕員は、1963年の老人福祉法で規定されました。
2→○ 1963年の老人福祉法は、養護老人ホーム、特別養護老人ホーム、軽費老人ホーム、老人福祉センターを老人福祉施設として規定しました。
3→× 老人医療費支給制度は、1972年の老人福祉法改正で規定され、1973年に施行されました。1982年の老人保健法は、老人医療に一部負担を導入しました。
4→× 介護保険法が規定した利用者負担は、原則1割です。
5→× ゴールドプランの策定は1989年です。地域包括ケアシステムの推進は、2011年の介護保険法改正で国と地方公共団体の責務として規定されました。

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第37回問題86

日本の高齢者福祉制度の発展過程に関する次の記述のうち,正しいものを 1 つ選びなさい。

1 1963 年(昭和 38 年)の老人福祉法の制定によって,デイサービスやショートステイを含む在宅福祉サービスが法定化された。
2 1982 年(昭和 57 年)の老人保健法の制定によって,市町村及び都道府県における老人保健福祉計画の策定義務が法定化された。
3 1997 年(平成 9 年)の介護保険法の制定によって,介護保険の保険者は市町村及び特別区であることが法定化され,併せて広域連合や一部事務組合も保険者になることができるようになった。
4 2005 年(平成 17 年)の「高齢者虐待防止法」の制定によって,使用者(高齢者を雇用する事業主)による虐待が高齢者虐待の定義の一つとして,法定化された。
5 2023 年(令和 5 年)の「認知症基本法」の制定によって,国民に対して,認知症の人を不当に差別する行為を禁止することが法定化された。
(注)1  「高齢者虐待防止法」とは,「高齢者虐待の防止,高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」のことである。
2  「認知症基本法」とは,「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」のことである。

解説

1→× 1963年の老人福祉法で法定化された在宅福祉サービスは、老人家庭奉仕員によるサービスです。デイサービスとショートステイは、1990年の福祉関係八法改正で法定化されました。
2→× 老人保健福祉計画の策定義務は、1990年の福祉関係八法改正で法定化されました。
3→○ 介護保険法は、市町村及び特別区を保険者と規定しています。広域連合や一部事務組合も、地方自治法に基づいて保険者になることができます。
4→× 高齢者虐待防止法が定義する高齢者虐待は、養護者による虐待と養介護施設従事者等による虐待です。使用者による虐待を定義に含むのは障害者虐待防止法です。
5→× 認知症基本法は、国民の責務として、認知症に関する正しい知識と認知症の人に関する正しい理解を深め、共生社会の実現に寄与するよう努めることを定めています。

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