虐待防止法の勉強の仕方
虐待防止法は、1つだけを勉強してもなかなか定着しません。どの虐待防止法が出題されるかはその年によって違いますので、3つを並べて、共通点と相違点を比較しながら覚えてください。
3つの虐待防止法の比較についての記事はこちら
→児童虐待防止法・高齢者虐待防止法・障害者虐待防止法の比較|対象・類型・通報先を整理
児童虐待防止法についての記事はこちら
→児童虐待防止法の通告義務と4類型|通告先と接近禁止命令を整理
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→高齢者虐待防止法をわかりやすく|通報義務と5類型・養護者支援を整理
障害者虐待防止法の対象
障害者虐待防止法の正式名称は「障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律」です。2011年(平成23年)に制定され、2012年(平成24年)10月から施行されました。
障害者の定義
この法律でいう障害者は、障害者基本法2条1号に規定する障害者です。身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む)その他の心身の機能の障害がある者であって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいいます。
*差別解消法も同じ定義です!
加害者類型
障害者虐待防止法では、以下のが3つの者が行うものを虐待と規定しています。
・養護者
・障害者福祉施設従事者等
・使用者
使用者とは、障害者を雇用する事業主又は事業の経営担当者その他その事業の労働者に関する事項について事業主のために行為をする者をいいます。事業主だけでなく、経営担当者も含まれます。
学校、保育所等、医療機関で働く人は、障害者福祉施設従事者等に含まれません。ただし、学校の長、保育所等の長、医療機関の管理者に、研修の実施や相談体制の整備など、虐待を防止するための措置を講じることが義務づけられています。
障害者虐待の5類型
障害者虐待防止法が定める虐待は5つです。
・身体的虐待
・放棄・放置(ネグレクト)
・心理的虐待
・性的虐待
・経済的虐待
使用者による虐待では、雇用している障害者に対して他の労働者が行った暴言や差別的言動を、使用者が放置することも虐待に含まれます。
通報先は誰による虐待かで変わります
障害者虐待防止法の通報は、どのような場合でも、高齢者虐待防止法のように努力義務となることはありません。ただし、通報先が虐待を行った者によって変わりますので注意しましょう。
養護者による虐待→通報義務→市町村
障害者福祉施設従事者等による虐待→通報義務→市町村
使用者による虐待→通報義務→市町村又は都道府県 ←特にここ
・虐待を受けた障害者本人が届け出ることもできます。養護者による虐待、障害者福祉施設従事者等による虐待、使用者による虐待のいずれについても届出ができます。
・通報や届出をしたことを理由に、障害者福祉施設従事者等や労働者が解雇その他不利益な取扱いを受けることはありません。
通報を受けた後の流れ
養護者による虐待(9条〜14条)
市町村が安全確認と事実確認を行い、市町村障害者虐待対応協力者と対応を協議します。生命又は身体に重大な危険が生じているおそれがあるときは、身体障害者福祉法や知的障害者福祉法の措置により、障害者支援施設等に入所させて一時的に保護します。市町村長は立入調査を行うことができ、警察署長に援助を求めることもできます。分離した場合、養護者との面会を制限できます。市町村長は、後見開始等の審判を請求することもできます。
障害者福祉施設従事者等による虐待(17条〜20条)
市町村が通報や届出を受けたときは、都道府県に報告します。なお、施設や事業所への対応は、その指定や監督を行っている市町村長又は都道府県知事が行い、施設や事業所の適正な運営を確保します。都道府県知事は、障害者福祉施設従事者等による障害者虐待の状況、虐待があった場合に採った措置等を毎年公表しています。
使用者による虐待(23条〜26条、28条)
市町村が通報を受けた場合は都道府県に通知し、都道府県は都道府県労働局に報告します。厚生労働大臣は、使用者による障害者虐待の状況、虐待があった場合に採った措置などを毎年公表しています。
市町村障害者虐待防止センターと都道府県障害者権利擁護センター
障害者虐待防止法は、通報や届出を受け付ける窓口を定めています。
・市町村は、市町村障害者虐待防止センターとしての機能を果たすようにするもの、とされています。
・都道府県は、都道府県障害者権利擁護センターとしての機能を果たすようにするもの、とされています。
いずれも障害者虐待防止法に規定されているものです。
市町村の障害福祉の担当部局や、市町村が設置する施設が、市町村障害者虐待防止センターとしての機能を果たします。都道府県も同じで、担当部局や設置する施設が都道府県障害者権利擁護センターの機能を果たします。新しく組織を設置する(専用の建物を作ったり、単体でその看板を必ず掲げなさい)という意味ではありません。
なお、これらの業務は、市町村障害者虐待対応協力者や都道府県障害者虐待対応協力者のうち適当と認められるものに委託することもできます(33条、37条)
配偶者暴力相談支援センターの条文構成と同じです。DV防止法は、都道府県が設置する女性相談支援センターその他の適切な施設が、配偶者暴力相談支援センターとしての機能を果たすようにするものとしています。既にある施設が機能を担うという規定の仕方は共通しています。
過去問を確認しましょう
第38回問題55
「障害者虐待防止法」に関する次の記述のうち,最も適切なものを 1 つ選びなさい。
1 この法律において,障害者虐待は,障害者福祉施設従事者による障害者虐待及び使用者による障害者虐待の 2 つをいう。
2 この法律の対象となる障害者は,身体障害者,知的障害者,精神障害者(発達障害者を含む)であって,障害者手帳を保持している者と定めている。
3 この法律において,精神科病院の業務従事者は,障害者福祉施設従事者に含まれるものとされている。
4 この法律において,使用者は,障害者を雇用する事業主をいい,事業の経営担当者等はこれに含まれないものとされている。
5 この法律において,使用者による障害者虐待には,雇用されている障害者に対する他の従業員の差別的言動を使用者が放置することも含まれる。
(注) 「障害者虐待防止法」とは,「障害者虐待の防止,障害者の養護者に対する支援等に関する法律」のことである。
解説
正答は5です。
1→× 養護者による虐待を加えた3つです。
2→× 障害者手帳の所持は要件になっていません。
3→× 精神科病院の業務従事者は障害者福祉施設従事者等に含まれません。医療機関の管理者に防止措置が義務づけられています。
4→× 事業の経営担当者等も使用者に含まれます。
5→○ 記述のとおりです。
第36回問題56(選択肢の一部を抜粋します)
「障害者虐待防止法」における障害者とは,心身の機能の障害がある者であって,虐待を受けたものをいう。
解説
→× 障害者基本法2条1号の障害者をいいます。虐待を受けた者に限るという定義ではありません。
第35回問題56(選択肢の一部を抜粋します)
2013 年(平成 25 年)に成立した「障害者差別解消法」では,市町村障害者虐待防止センターが規定された。
解説
→× 市町村障害者虐待防止センターを規定しているのは障害者虐待防止法です。
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