虐待防止法の勉強の仕方
虐待防止法は、1つだけを勉強してもなかなか定着しません。どの虐待防止法が出題されるかはその年によって違いますので、3つを並べて、共通点と相違点を比較しながら覚えてください。
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→児童虐待防止法・高齢者虐待防止法・障害者虐待防止法の比較|対象・類型・通報先を整理
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→児童虐待防止法の通告義務と4類型|通告先と接近禁止命令を整理
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高齢者虐待防止法の対象
高齢者虐待防止法の正式名称は「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」です。2005年(平成17年)に制定されました。
高齢者の定義
この法律でいう高齢者は、65歳以上の者です。要介護認定や要支援認定を受けていることは要件になっていません。認定を受けた者に限るという書き方は誤りです。
加害者の類型
虐待を行う側は、養護者と養介護施設従事者等の2つに分かれます。養護者は、高齢者を現に養護する者であって養介護施設従事者等以外の者をいいます。同居の家族が典型ですが、同居していなくても現に養護していれば養護者にあたります。
高齢者虐待の5類型
高齢者虐待防止法が定める虐待は5つです。
・身体的虐待
・介護等放棄(養護を著しく怠ること)
・心理的虐待
・性的虐待
・経済的虐待
・セルフネグレクトは、この法律の虐待の定義に含まれていません。自分で自分の世話をしなくなる状態のことですが、養護者や養介護施設従事者等による行為ではないためです。
・経済的虐待とは、養護者又は高齢者の親族が、高齢者の財産を不当に処分することや、高齢者から不当に財産上の利益を得ることをいいます。年金を勝手に使う、預貯金を無断で引き出すといった行為です。
3つの虐待防止法の違いについての記事はこちら
→児童虐待防止法・高齢者虐待防止法・障害者虐待防止法の通報先を確認しましょう
養護者による虐待の通報(第7条)
生命又は身体に重大な危険が生じている場合→通報義務→市町村
それ以外の場合→通報の努力義務→市町村
3つの虐待防止法のなかで、通報が努力義務になる場面があるのは高齢者だけです。
通報先はどちらも市町村です。
なお、刑法の秘密漏示罪その他の守秘義務に関する規定は、通報を妨げるものではありません。
養介護施設従事者等による虐待の通報(第21条)
養介護施設従事者等による虐待は、発見した人が誰なのかによって3段階に分かれます。
自分が働いている施設等で発見した場合→通報義務→市町村
自分が働いていない施設等で発見し、生命又は身体に重大な危険が生じている場合→通報義務→市町村
自分が働いていない施設等で発見し、それ以外の場合→通報の努力義務→市町村
自分の職場での虐待については、重大な危険が生じているかどうかにかかわらず通報義務がかかります。
また、虐待を受けた高齢者本人が、市町村に届け出ることもできます。
通報や届出を受けた市町村は、都道府県に報告しなければなりません。
都道府県は、毎年度、養介護施設従事者等による虐待の状況を公表します。
通報を受けた市町村がすること
通報を受けた市町村は、高齢者の安全の確認その他の事実確認を行います。そのうえで、必要に応じて次のような対応をとります。
・養護者による虐待により生命又は身体に重大な危険が生じているおそれがあると認めるときは、市町村長が、高齢者の住所又は居所に立ち入り、必要な調査や質問をさせることができます。
・立入調査を行う場合、市町村長は所轄の警察署長に援助を求めることができます。
・老人福祉法の規定による措置として、養護老人ホームへの入所等が可能です。
・高齢者を分離した場合、市町村長又は施設の長は、養護者との面会を制限することができます。
・市町村は、こうした業務を行うために、高齢者虐待対応協力者との連携協力体制を整備しなければなりません。
・高齢者虐待の防止や養護者に対する支援のため、専門的に従事する職員を確保するよう努めるものとされています。弁護士や司法書士の確保を義務づけているわけではありません。
養護者に対する支援
この法律の特徴は、養護者を支援する規定を置いていることです。
市町村は、養護者の負担の軽減のため、養護者に対する相談、指導及び助言その他必要な措置を講じます。また、養護者の心身の状態に照らして養護者の負担の軽減が必要と認められる場合には、高齢者が短期間養護を受けるために必要な居室を確保するための措置を講じるものとされています。
虐待をした養護者を罰するのではなく、支援することで虐待の再発を防ぐという考え方です。
過去問を確認しましょう
第36回問題135
「高齢者虐待防止法」に関する次の記述のうち,最も適切なものを 1 つ選びなさい。
1 この法律における高齢者とは,65 歳以上で介護保険制度における要介護認定・要支援認定を受けた者と定義されている。
2 この法律では,セルフネグレクト(自己放任)の状態も高齢者虐待に該当することが定義されている。
3 この法律における高齢者虐待の定義には,保険医療機関における医療専門職による虐待が含まれている。
4 この法律では,市町村が養護者による虐待を受けた高齢者の居所等への立入調査を行う場合,所轄の警察署長に援助を求めることができると規定されている。
5 この法律は,市町村に対し,高齢者虐待の防止・高齢者とその養護者に対する支援のため,司法書士若しくは弁護士の確保に関する義務を課している。
(注)「高齢者虐待防止法」とは,「高齢者虐待の防止,高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」のことである。
解説
正答は4です。
1→× 65歳以上の者であればこの法律の高齢者です。要介護認定や要支援認定を受けていることは要件になっていません。
2→× セルフネグレクトは、この法律の虐待の定義に含まれていません。
3→× 虐待を行う側は養護者と養介護施設従事者等です。医療機関の医療専門職による行為は含まれていません。
4→○ 記述のとおりです。
5→× 専門的に従事する職員を確保するよう努めるものとされています。司法書士や弁護士の確保を義務づけたものではありません。
第37回問題86(選択肢の一部を抜粋します)
2005 年(平成 17 年)の「高齢者虐待防止法」の制定によって,使用者(高齢者を雇用する事業主)による虐待が高齢者虐待の定義の一つとして,法定化された。
解説
→× 高齢者虐待防止法が定める虐待を行う側は、養護者と養介護施設従事者等の2つです。使用者による虐待を定めているのは障害者虐待防止法です。


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