障害者優先調達推進法はどのような法律か
障害者優先調達推進法は、正式には「国等による障害者就労施設等からの物品等の調達の推進等に関する法律」といい、2012年(平成24年)に成立し、2013年(平成25年)4月1日に施行されました。障害者就労施設等で働く障害者の仕事を確保し、その工賃や賃金の水準を上げていくために、国や地方公共団体等が率先して物品やサービスを購入する仕組みを定めた法律です。
障害者が働く場を支える法律としては、事業主に一定の割合以上の障害者を雇うことを義務づける障害者雇用促進法がありますが、障害者優先調達推進法は、雇う側からではなく発注する側から仕事を確保していく方法をとっており、障害者雇用促進法とは別の仕組みとして用意されています。
調達の相手方となる障害者就労施設等
この法律で、国等が優先的に物品等を調達するよう定められている施設等を「障害者就労施設等」といい、障害者就労施設、在宅就業障害者、在宅就業支援団体の三つを指しています。
障害者就労施設には、就労移行支援事業所、就労継続支援A型事業所、就労継続支援B型事業所、生活介護事業所、障害者支援施設、地域活動支援センター、小規模作業所等が含まれます。在宅就業障害者は、自宅等で仕事をしている障害者をいい、在宅就業支援団体は、在宅就業障害者に仕事を提供してその業務を支援する団体として、厚生労働大臣に登録された団体をいいます。
就労移行支援・就労継続支援についての記事はこちら
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国等が行うこと
この法律で国等とされているのは、国、独立行政法人等、地方公共団体、地方独立行政法人です。
まず政府が、障害者就労施設等からの物品等の調達の推進に関する基本方針を定めます。これを受けて国等(国、独立行政法人等、地方公共団体、地方独立行政法人)は、毎年度、その年度の調達の目標や取り組む内容を記載した調達方針を作成して公表し、年度が終わった後には、その年度の調達実績を公表します。
障害者就労施設等の受注機会を増やすように努めることが責務として定められている一方で、調達方針の作成と公表、調達実績の公表は義務付けられています。
また国等は、公契約について、競争参加資格を定めるにあたって障害者の就業を促進するために必要な措置を講ずるよう努めることとされています。
障害者雇用促進法との関係
障害者雇用促進法は、事業主に対して、常時雇用する労働者のうち一定の割合以上の障害者を雇うことを義務づけており、この法定雇用率は国や地方公共団体にも適用されます。
障害者就労施設から物品を調達したり、在宅就業支援団体を通じて在宅就業障害者に仕事を発注したりしても、それによって障害者雇用義務を果たしたことにはなりません。物品を調達するのは売買契約や委託契約等が締結されているにすぎず、雇用契約には該当しないからです。ただし、在宅就業障害者や在宅就業支援団体に仕事を発注した事業主には、在宅就業障害者特例調整金または在宅就業障害者特例報奨金が支給されます。
なお、雇用義務の対象となる障害者は、身体障害者と知的障害者に加えて、2018年(平成30年)4月から精神障害者も含まれています。
障害者雇用促進法についての記事はこちら
→障害者雇用促進法とは|雇用率制度・合理的配慮・職業リハビリテーションの3本柱を整理する
→障害者雇用促進法の法定雇用率とは|対象障害者・ダブルカウント・過去問で理解する
過去問を解いてみましょう
第34回 問題62
「障害者雇用促進法」及び「障害者優先調達推進法」に関する次の記述のうち,最も適切なものを 1 つ選びなさい。
1 国は,障害者就労施設,在宅就業障害者及び在宅就業支援団体から優先的に物品等を調達するよう努めなければならない。
2 国や地方公共団体は,法定雇用率を上回るよう障害者の雇用を義務づける障害者雇用率制度の対象外である。
3 事業主は,障害者就労施設から物品を調達することで障害者雇用義務を履行したとみなすことができる。
4 事業主は,在宅就業支援団体を通じて在宅就業障害者に仕事を発注することで障害者雇用義務を履行したとみなすことができる。
5 事業主は,身体障害者及び知的障害者を雇用する法的義務を負うが,精神障害者については雇用するよう努めればよい。
(注)1 「障害者雇用促進法」とは,「障害者の雇用の促進等に関する法律」のことである。
2 「障害者優先調達推進法」とは,「国等による障害者就労施設等からの物品等の調達の推進等に関する法律」のことである。
解説
1 ○ 障害者優先調達推進法は、国等に対して、障害者就労施設、在宅就業障害者、在宅就業支援団体からの物品等の調達を推進するよう定めています。
2 × 国や地方公共団体も障害者雇用率制度の対象で、民間企業とは別に法定雇用率が定められています。
3 × 物品を調達することで雇用義務を果たしたことになる仕組みはありません。
4 × 在宅就業支援団体を通じた発注も、雇用義務を果たしたことにはなりません。発注した事業主には在宅就業障害者特例調整金または在宅就業障害者特例報奨金が支給されます。
5 × 精神障害者も雇用義務の対象で、2018年(平成30年)4月から法定雇用率の算定基礎に加えられています。


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