高齢者虐待防止法のポイント

高齢者に対する支援と介護保険制度

虐待防止法について説明する際、いつも気を付けていただいていることがあります。

それは通報が「義務」なのか「努力義務」なのかについてです。そしてその通報は「どこにするべきなのか」についてです。まずはこの2点をおさえてください。

その上で、もう1点注意してほしいのは「虐待を受けたと思われる」者を発見した場合なのか、それとも「虐待を受けたことを確認した場合」に通報すべきなのか、今回はこの点について条文を確認します。

今回特に注目したいのは「高齢者虐待防止法」です。

養護者からの虐待

虐待防止法の多くは虐待を「受けたと思われる」ものを発見した者に対して、通報が義務づかれている条文がほとんどです。

ところが高齢者虐待防止法は次のような条文になっています。

第七条 養護者による高齢者虐待を受けたと思われる高齢者を発見した者は、当該高齢者の生命又は 身体に重大な危険が生じている場合は、速やかに、これを市町村に通報しなければならない。

2 前項に定める場合のほか、養護者による高齢者虐待を受けたと思われる高齢者を発見した者は、 速やかに、これを市町村に通報するように努めなければならない。

3 刑法(明治四十年法律第四十五号)の秘密漏示罪の規定その他の守秘義務に関する法律の規定 は、前二項の規定による通報をすることを妨げるものと解釈してはならない。

ということは、生命又は身体に重大な危険が生じている場合は、速やかに通報しなければなりませんが、そうでないならば、通報は努力義務だということになります。

施設従事者からの虐待

次に施設従事者からの虐待の条文を確認しましょう。

第二十一条

養介護施設従事者等は、当該養介護施設従事者等がその業務に従事している養介護施設又は養介護事業(当該養介護施設の設置者若しくは当該養介護事業を行う者が設置する養介護施設 又はこれらの者が行う養介護事業を含む。 )において業務に従事する養介護施設従事者等による高齢 者虐待を受けたと思われる高齢者を発見した場合は、速やかに、これを市町村に通報しなければな らない。

・・・自分が働いている施設で「虐待を受けたと思われる高齢者を発見した場合は通報義務あり」ということですね。

2 前項に定める場合のほか、養介護施設従事者等による高齢者虐待を受けたと思われる高齢者を 発見した者は、当該高齢者の生命又は身体に重大な危険が生じている場合は、速やかに、これを 市町村に通報しなければならない。

・・・自分が働いていない施設等での虐待であれば「生命又は身体に重大な危険が生じている場合は通報義務あり

3 前二項に定める場合のほか、養介護施設従事者等による高齢者虐待を受けたと思われる高齢者 を発見した者は、速やかに、これを市町村に通報するよう努めなければならない。

・・・「生命又は身体に重大な危険が生じている場合でなければ、市町村への通報するようは努力義務

4 養介護施設従事者等による高齢者虐待を受けた高齢者は、その旨を市町村に届け出ることがで きる。

・・・高齢者は自身で虐待について届け出ることも当然できます。

「児童」「高齢者」「障害者」を必ず並べて確認を!

今回は高齢者虐待防止法について確認しましたが、どの虐待防止法が出題されるかは、その年によって違います。ある虐待防止法だけ勉強しても、あまり得点に結びつきません。

必ず、それぞれの虐待防止法を関連付けて、どの虐待防止法が出題されても大丈夫なように準備しましょう。

(と、私の対策講座を受けている人はいつも言われているので聞き飽きてますね(*_*))

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