今日、社会保障の授業で、年金の積立方式と賦課方式の違いを説明しました。
日本の年金は賦課方式、つまり今の現役世代が納めた保険料を、今の高齢者への給付にそのまま充てるという、世代間で支え合う仕組みです。この説明をしているとき、ふと思いました。私たち世代はともかく、今この教室にいる20代の学生からすれば、この仕組みは自分たちの将来への不安そのものなのではないか、と。
高齢者の年金は「守られる」方向にある?
ちょうど今日の授業と重なるように、年金制度には最近、対照的な2つの動きがあります。
1つはマクロ経済スライドです。少子高齢化や平均余命の伸びを踏まえて、年金の給付水準の伸びを物価・賃金の伸びより抑える仕組みで、実質的に年金の価値を目減りさせる方向に働きます。現在老齢基礎年金の金額を決定する際に用いられている考え方です(←国家試験に出題されました)
もう1つは在職老齢年金の見直しです。現行の支給停止基準額は51万円(2025年度)ですが、2025年に成立した年金制度改正法により、2026年4月からこの基準額が引き上げられます(賃金水準に応じて65万円程度に)。これにより、これまで「働くと年金が減る」という理由で就労を控えていた高齢者も、より収入を得ながら年金を満額近く受け取りやすくなります。
一部支給停止されるのは老齢基礎年金ではなく老齢厚生年金である点も注意!←出題実績あり
つまり、片方でマクロ経済スライドが年金の実質価値を抑えつつ、もう片方で在職老齢年金の見直しが高齢者の就労収入を確保しやすくするという、高齢者の生活を支える政策が同時に進んでいるのです。
その一方で、保険料を納めるのはこれからの彼女たち
しかし、賦課方式である以上、こうした高齢者向けの給付を支えているのは、現役世代が納める保険料です。
今日教室にいた学生たちの多くは、在学中は学生納付特例制度を利用しており、今はまだ本格的な保険料負担をしていません。しかし卒業後、就職すれば来年からは本格的に保険料を納める側になります。彼女たちの年収は、就労する高齢の年金+給与の手取り金額よりより少ないケースが多いでしょう。
それでもこれから保険料を納め続けなければなりません。この構図に、彼女たちが制度への不安や、ある種の不信感を抱くのも無理はないと感じました。
彼女たちの不安と将来への関心
国家試験対策の授業なので、あまり横道にそれた話はできません。実際に問われるのは、保険料をどうやって徴収しているのか、保険料の免除制度がどうなっているのか、というところです。iDeCoやNISAといった、彼女たち自身の将来のお金の不安を直接解決するような話まで、十分な時間を割くことはできません。
それでも授業をしていると、学生たちが自分自身の将来の年金に、想像以上に強い関心を持っていることが伝わってくる時間がありました。国家試験とはまた別の次元で、彼女たちは自分の将来のお金のことを、本気で心配しているのです。
私が学生だった頃と比べて
私自身、若い頃は社会保障をきちんと勉強していなかったので、自分がどんな制度に組み込まれているのか、正直よく理解できていませんでした(もともとは英文科だったので・・・)。
一方で今の学生たちは、社会保障の勉強を通して若いうちからこうして社会の仕組みを学んでいます。だからこそ、この賦課方式という仕組みが、自分ごととして、かなり深刻な(そして憂鬱な)問題と位置付けていることを感じました。
彼女たちが国家資格を取得したその先に、安定した収入や老後が待っているのだろうか。こんなに社会にとって大切な資格を取得しようと頑張っている彼女たちの将来がよりよいものでありますように・・・授業をしながら、ふとそんなことを考える時間がありました。
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