ベンサム・ロールズ・セン|功利主義・格差原理・潜在能力アプローチの違い

第39回社会福祉士国家試験まで
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精神保健福祉士1日目まであと
社会福祉の原理と政策
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3人の関係を理解しながら3人まとめて覚えてしまいましょう

ベンサム、ロールズ、センの3人まとめて整理することで一度に整理できます。ベンサムの功利主義に対する批判からロールズの正義論が生まれ、そのロールズに対する批判からセンの潜在能力アプローチが出てきたました。何を基準に「望ましい状態」と判断するのか、少しずつ変化していることを読む取りましょう。

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ベンサム 最大多数の最大幸福

ベンサム(Bentham, J.)は功利主義の創始者です。人の行動は快楽を求め苦痛を避けるものだとしたうえで、ある政策が正しいかどうかは、それがもたらす幸福の総量で決まると考えました。これを表したのが「最大多数の最大幸福」です。

仮に社会全体の快楽の合計が120、苦痛の合計が80であれば、差し引き40がプラスなので、この状態は望ましいと判断されます。

この考え方では、数字の合計しか見ないため、一部の人が大きな苦痛を負っていても、他の人の幸福がそれを上回れば全体としては「望ましい状態」ということになってしまう点です。少数の人の犠牲が数字の中に埋もれます。ロールズが批判したのは、この部分です。

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ロールズ 無知のヴェールと格差原理

ロールズ(Rawls, J.)は『正義論』(1971年)で、功利主義とは別の正義の考え方を示しました。

ここで使ったのが「無知のヴェール」という思考実験です。仮に私たちがこの世に生まれ落ちる前だとして、「自分がどんな家に生まれるのか、どんな能力を持つのか、健康なのか」が一切わからない状態だったとします。そこで「これから暮らすことになる社会のルールを、生まれる前に考えなさい」と言われたら、人はどういう答えを出すのか、ということをロールズは考えました。

自分がどのような人生を送るのかがわからないということは、自分が最も不利な状況(仕事が見つからない、健康ではない、教育が受けられない等)に置かれる可能性があるということです。であれば、多くの人は「不利な状況に置かれていたとしても、できる限り手厚く支えられる社会を選ぶはずだ」というのがロールズの答えです。

ここから出てくるのが「格差原理」です。ロールズは格差そのものの存在は認めつつ、その格差が最も不利な状況にある人の利益になっていることを条件としました。格差をなくすことを求めるのではなく、その格差が誰の利益になっているのかを問う考え方です。

功利主義は社会全体の合計を見ていました。ロールズが見たのは、最も不利な状況にある人がどうなるかです。

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セン 潜在能力(ケイパビリティ)アプローチ

ロールズは、所得や権利といった財を公正に配ることにより、最も不利な状況にある人でも生活が保障されることを重視しました。一方、セン(Sen, A.)が指摘したのは、仮に「お金」でそれらが保障されたとしても、それによって全ての人に同じ生活が保障されるわけではない、ということです。

たとえば市内の100世帯に1万円が支給されたとします。近くに店があり、体も動く人であれば、そのお金で食料を買って食べることができるでしょう。しかし、移動が難しい人や、近くに店がない地域に住む人は、同じお金を持っていても、簡単に同じものを手に入れるのは難しいということです。また、同じ書類(お金を支給する制度の案内)を100世帯に出したとしても、文字が読みにくい状況にある人や、理解が難しい文章だと感じる人が含まれる場合、制度の案内状が同じように良い影響を及ぼすとは限りません。「今目の前にあるもの」が同じだったとしても、それを活用してどのような生活が可能なのかは、置かれている環境や状況によって様々だということです。

この「実際に何ができる状態にあるか」「どんな生き方を選べるか」の幅を、センは潜在能力(ケイパビリティ)と呼びました。福祉を考えるときに見るべきなのは、何をどれだけ配ったかではなく、その人が実際に何をできるようになったかだという考え方です。

この考え方は、国連開発計画の人間開発指数の理論的背景の一つになっています。

人間開発指数(HDI)とは|センの潜在能力アプローチと3つの指標

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過去問で確認しましょう

第30回 問題22(現:原理と政策)

ロールズ(Rawls, J.)が論じた「正義」に関する次の記述のうち,最も適切なものを 1 つ選びなさい。

1 成員の快楽の総和を最大化する社会が,最も望ましいと論じた。
2 社会で最も不遇な人の最大の便益となるように,資源配分の是正が行われるべきであると論じた。
3 諸個人に対する平等な基本的自由の実現が不可能であることを前提に,正義を論じた。
4 「無知のヴェール」に包まれた個人を想定した議論では,功利主義的な社会が構想されることになると論じた。
5 「さまざまな生き方」を選べる基本的なケイパビリティを平等に配分することが,正義であると論じた。

解説

1 →× 快楽の総和を最大化する社会が望ましいとしたのは、ベンサムの功利主義です。
2 →○ 格差原理の内容です。格差が認められるのは、それが最も不利な状況にある人の利益になる場合に限られます。
3 →× ロールズは平等な基本的自由が実現できないことを前提にはしていません。実現できるものとして正義を論じています。
4 →× 無知のヴェールのもとで人が選ぶのは、最も不利な状況に置かれたときに手厚く支えられる社会です。功利主義的な社会ではありません。
5 →× ケイパビリティに着目したのはセンです。

第28回 問題23(現:原理と政策)

この記事に関係する選択肢を抜粋します。

ロールズ(Rawls, J.)が『正義論』で主張した格差原理によれば、個人の満足の総和を社会全体で最大化させるような資源配分は正義にかなう。

解説

→× 個人の満足の総和を最大化するという考え方は、ベンサムの功利主義です。格差原理は、その格差が最も不利な状況にある人の利益になっているかどうかで判断します。

原理と政策で出題される人名は、こちらの記事マップにまとめています。

社会政策・福祉国家論の思想家に関する記事マップ

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